空の勇者と祈りの姫
卯月
人物紹介
年齢は物語開始時です。初登場の人物はその分年齢を加算してください。
右側の年齢は物語終了時の年齢になります。
・アラタ・レオーネ 20歳→24歳 地球統合宇宙軍大尉。 第一特別宇宙機動艦隊第三大隊副隊長 黒髪茶色の瞳
イタリア系アメリカ人の父と日本人の母を持つ。幼少期戦乱で両親を失い、軍系孤児院で育つ。感情の起伏が乏しいが両親の敵であるライブに対しては激しい憎悪を抱き、特に疑問を持たず軍に入隊。士官学校へ早期選抜入校生として15歳で入学。高い情報分析能力を持ち、人体改造に悪感情を持たないため、通常より改造比率が高い。士官学校卒業時の成績は1000人中30番。
白兵戦と指揮能力が並程度で、反面戦略眼に優れ分析力も高いので参謀向き、同時にドライバーへの高い適正を持つため、参謀本部の内勤か前線での情報管制官かで配属を悩ませた。
孤児院出身者の為か、年下の扱いが巧い。数少ない趣味が登山と彫刻。ライブのいない世界にやってきて生きる目標が無い状態で、取り敢えず何かしらやる事を見つける為にドナウ王国に厄介になる。
実は優位に立つ相手の盤面を、暴力と知恵で破壊する事に愉悦を覚える気質。敵が強ければ強い程燃えるので、ホランドは恰好の破壊対象だったりする、作中最も邪悪な人間。
ホランド戦後にこれまでの功績を評価されて、リトニアから譲渡された南リトニアを下賜された。
・ドーラ アラタの搭乗機V-3Eの管制人工知能
膨大な情報処理を補助するために搭載された補助用人工知能。電子戦機には標準搭載されている。疑似的に人格を与えて円滑に操作を行う目的がある。一応個性のような物はあるらしいが、搭乗者との会話によって色付けされるので、あまり会話しないアラタの場合無個性に近い。名前の由来は古典アニメのロボットから。
ここ最近は感情豊かになったアラタに影響されて非常に人間臭くなった。
余談だが、アラタの死後、千年先まで壊れずに残っている。
ドナウ王国側の人物
・カリウス=オットー=ブランシュ 42歳→46歳 ドナウ国王 茶髪碧眼
隣国からの併合の圧力に毎日耐えて最適解を出そうと胃を傷める毎日。小国ゆえどうにもならないと諦めている。しかし突然やって来た異邦人のアラタに祖国の命運を託す大博打に出て、見事勝利を掴み取る。
アラタを王家に縛りつける為にマリアを嫁がせるが、それが原因で娘とアラタの恋人だったアンナに殴られて意気消沈する程度には繊細な性格をしている。
ザルツブルグ領の混乱を治めるため、一時的に王権をエーリッヒに預けて現地で行政にあたる。
・エーリッヒ=ヨーン=ブランシュ 21歳→25歳 ドナウ王国第一王子 茶髪青眼
才能は凡庸よりの秀才だが、人を信じて使う才がある。平和ならば大過無く国を治める器だが、隣国の圧力に屈せざるおえない状況に臍を噛む。アラタとは身分はあれど良好な関係。
ホランド戦後にレゴス王国の王女オレーシャを娶り、それなりに幸せな夫婦生活を送っている。第一子トリハロンを愛してやまない。
最近次期国王としての力量を着実に付けつつある。
・マリア=クラウス=ブランシュ 16歳→20歳 ドナウ王国第一王女 金髪碧眼
毎日国の為に祈りを捧げる王女。実は結構おてんば。神に祈りが届いて救国の勇者が現れたと喜んだつかの間、優秀だが何気に不愛想な男で困惑中。それなりに交流が深まると、アラタが気になりだし、時折街遊びに誘っている。
ホランド戦後にアラタと政略結婚するが、夫婦仲は至って良好。現在は二児の母として育児に追われている。
夫のアラタとは政略結婚だったが、現在は誰よりも彼を愛している。
・オイゲン=レオーネ 1歳九か月 黒髪碧眼
アラタとマリアの長男。特に病気にならず、すくすくと成長する毎日を過ごしている。
最近は一人で歩き回って家族を喜ばせている。一番最初に話した言葉は『ねー』であり、これは姉のラケルの事だと思われる。
・アドリアス=レオーネ
アラタとマリアの次男。名前の由来は地球のイタリアのアドリア海から付けられた。
・イリス=レオーネ
アラタとアンナの長女、第三子。名前の由来は地球の花イリスから名付けた。
・カール=トリスタ=ブランシュ 11歳→15歳 ドナウ王国第二王子 茶髪碧眼
芸術家肌の王子。兄姉が大好きで甘え気味。王才はあまり無いが愛される王子。アラタの趣味が彫刻と聞いて、大いに興味を持たれる。最近性の目覚めからか、身近な女性の体に興味津々。
最近は実と義理の兄の影響から政治や経済といった学問に興味を示し、自発的に勉強中。
数か月前にやって来たサピン貴族の一人、ロベルタに一目ぼれして猛アタックを掛けており、見事彼女の心を射止めた。
現在は旧サピン領地の大半を下賜されて、婚約者になったロベルタと共に統治に奔走する。
・マンフレート=ザルツブルグ 30歳→34歳 ドナウ南西部領主
顔色の悪い肥満体、美食に耽り身体を壊し気味。身体と同様に肥大化したプライドの持ち主で、自身に王家の血が流れているのを何よりも尊び、反面他者を見下している。暗愚と呼べる人間だが、塩の一大生産地としてかなり潤っているので家が傾く心配が無い。平民のアラタを見下しているが、荒事に免疫が無く、アラタの戦闘者としての素顔の一端を覗き込み、恐怖を植え付けられる。
領地預かりの処遇に不満を持ち、王家に謀反を企てるが、家臣や与力の反乱を受けて一族諸共死亡した。
・ルーカス=アスマン 47歳→51歳 ドナウ王国宰相
王国宰相、現国王の遊び相手だった。家柄もあるが程々に優秀。現在の王国の置かており立場に頭が痛い。心労で神経質になっている。王子のエーリッヒを容赦なく扱き使って鍛えている。
最近ようやくホランドの圧力が弱まったのと、アラタが仕事の一部を引き継いだので、心労から解放されてのびのび仕事をしている。
ホランド戦後は宰相を辞して併合した南アルニアの北東部を下賜されて、他国との国境線で領地の立て直しに追われる。
・クリス=アスマン 24歳→28歳 ドナウ王国諜報部副長
ドナウ王国宰相の息子。元は父親の下で事務官をしていたが、新設した諜報部に出向の身になる。アラタとはそこそこ仲が良く、仕事の能力と情報の扱いに慣れていた事から副長に任ぜられた。子供も何人かいるが、恐妻家として有名で、浮気どころか娼館に行くことすら許されない程に妻に縛られている。
領地を貰った父親について行かずに、現在も諜報部に籍を置いている。
・ミハエル=ベッカー 65歳→68歳 ドナウ王国相談役 白髪
先代国王から仕えている、交渉事や外交に強いが内政や軍事はからきしな男。言葉の通じないアラタの翻訳家と世話役に近い。孫娘にゲロ甘い。息子一人に娘二人がいる。娘は嫁ぎ、息子は外交官として夫婦で赴任中。
最近は年のせいか体調を崩しやすくなっている。495年春、くも膜下出血により昏倒。数日後に息を引き取る。最後は親族や友人達に囲まれて死後の世界を送り出された。
・リザ=ベッカー 62歳→66歳 ベッカーの妻 白髪
ミハエルの妻。歳のせいか最近、病気がち。昔は相当な美人だったらしい。夫とは政略結婚だが、仲は良い。孫を可愛がっている。
年寄りの手慰みと称してマリアが代表を務める孤児院に教師役として教鞭を振るう事がある。
・アンナ=ベッカー 17歳→21歳 ベッカーの孫娘 赤に近い茶髪
ミハエルの孫娘。少し身体が弱く、運動が苦手で本が好き。外交官の兄がいる。現在アラタと恋人関係にある。
ホランド戦後、側室とは言え晴れてアラタに嫁ぐ事が出来て、幸せいっぱいに過ごしている。正室のマリアとの関係は至って良好だが、たまにアラタを巡って火花を散らしている。
サピンから逃げて来たラケルから母と呼ばれて顔をニヤけさせている。振る舞いに加えて、傍から見ると同じ髪の色から親子とよく間違われる。
アラタとの第一子、長女イリスを出産。母子共に健康だったことにアラタも涙を流して喜んだ。
・ヴィルヘルム=ベッカー 19歳→23歳 ドナウ王国外交官 赤と茶の中間の髪
ミハエルの孫で、アンナの兄。外交官として東側の小国家群を歩き回っている。利発で優秀だが感情が顔に出やすく、貴族としてはぱっとしない。性格は負けず嫌いだが善性の人間で、身体の弱い妹を護るべき対象と見て大切にしている。
アラタが部長を務める諜報部に出向中だが、義理の兄弟との役職の差に対抗意識を燃やしている。最近結婚して新婚生活を満喫している。
・ソフィー=ベッカー 17歳 ヴィルヘルムの妻
建務長官ヨアヒムの娘。ヴィルヘルムとは親同士が決めた夫婦だが、夫に尽くす良き妻を目指す。いたって普通のドナウの貴族令嬢だが、アンナとの繋がりでマリアとも親交がある。甘いものが大好きで、レオーネの屋敷にお呼ばれするのを毎回楽しみにしている。
絵が趣味だが、腕前については全く評判を聞かないあたり、お察しである。
現在、第一子を妊娠中。
・ゲオルグ=ベッカー 42歳→46歳 ドナウ王国外交官 茶髪
ミハエルの息子でアンナとヴィルヘルムの父親。サピン駐在の外交官として他の外交官のまとめ役をしていた。凡庸な人間だが、人の心情を汲んで気遣いの出来る善性の人間で身体の弱い娘の事を不憫と思いながらも大事に育てて来た。
サピン王都が戦火に巻き込まれる寸前に脱出しており、現在はドナウの王城で事務職をしている。父ミハエルを亡くしたが、既に家督は譲られていたので、ベッカー家自体は滞りなく回っている。
義理の息子のアラタから頼み込まれて、リトの後釜として貧民街と諜報部の交渉役として毎日慣れない仕事に奔走している。
・ヴィクトリア=ベッカー 37歳→41歳 ゲオルグの妻
ゲオルグの妻であり、アンナとヴィルヘルムの母。中堅貴族の出身だが、平民のアラタが義理の息子になっても大して動じなかった。ベッカー家で一番アンナの幸せを願っている。最近顔の皺が目立ってきているのが悩み。
・ゲルト=ベルツ 41歳→45歳 ドナウ王国近衛騎士団長 茶髪
かなりの剣の腕と弁の立つ騎士。王国の危機的状況に内心、出世の機会がやって来たとほくそ笑む。優秀だが野心家。建務長官のヨアヒムとは友人。
カリウス、アラタと共謀して、王家に反抗的な貴族をあぶり出すためにホランド戦を利用して、邪魔者を戦死させた。その功績を評価されて大領を貰い、カールの片腕としてサピンに赴く。
・ウォラフ=ベルツ 20歳→24歳 ドナウ王国近衛騎士団秘書官 茶髪
ゲルト=ベルツの息子。剣の才は並より上程度だが智謀は父親以上。野心に欠けるが人望はある。妻の名はエヴァで子供は男が一人いる。
ユリウスの王太子擁立を祝う外交使節団の護衛長としてアラタと共にホランドに赴く。
ホランド戦でアラタと共にホランド騎兵別動隊二千を騎士団三百で迎え撃ち、どうにか生き残る。戦後は父と共にサピンで軍事の要を担う。
・エヴァ 20歳→24歳 ウォラフの妻 金髪
ウォラフの妻。夫経由でマリアやアンナと親交を持ち、時折お茶会などをして情報を得ている。
王家への忠誠は高く、王女のマリアにも物怖じせずに意見を言える胆力がある。第二子の娘ニーナが将来美人になると、今から楽しみにしている。
・トーマス=ベルツ 3ヶ月→4歳
ウォラフの息子。妹が出来たので兄の自覚が生まれて、現在父のウォラフに剣の手ほどきを受けている。
・ライナー=スタイン 36歳→40歳 近衛騎士団副団長
剣はそこそこ、知性もそこそこ。書類仕事が得意でとにかく無難な仕事を黙々こなす。実は苦労人と思いきや、王族を賭けの対象にした胴元をやっている。賭けの後は団員達を誘って飲み会を開くのが定番となっている。
・マルクス=シェルマン 17歳→21歳 近衛騎士団員 金髪 長髪
入団したての騎士。ようやく見習いから平団員になって有頂天になっている。剣の腕は並だが騎乗は上手い。アラタの騎乗の指導役に抜擢された。
酒の席で歌をよく歌い、結構上手いと評判。
・ユリアン 22歳→26歳 近衛騎士団員
直轄軍出身の近衛騎士。元は騎兵部隊に在籍していたが、近衛騎士団に移籍した。れっきとした貴族だが実家は軍よりだったので最初は軍に居た。
アラタとマリアが結婚した後は、レオーネ家付の護衛騎士となる。
・イザーク 26歳→30歳 近衛騎士団員
商家出身の近衛騎士。実家の顔つなぎのために入団した為、団内では便利屋扱いされるが、本人は大して気にしない。
・ラルゴ=ホルダ 34歳→38歳 近衛騎士団員
マリア王女の護衛騎士。頻繁に城から抜け出して遊びに行くマリアに頭と胃を痛める不遇な騎士。
ようやくお転婆姫が結婚して胃痛から解放されると思ったら、そのまま護衛騎士として屋敷に着いて行く嵌めになる。ただし、結婚して落ち着いたので、現在はのびのびと仕事をしている。
・オリバー=ツヴァイク 52歳→56歳 ドナウ王国軍総司令
家が代々将軍を輩出するので適性が無いのに司令をやってる。本当は財務官僚あたりが適任。責任感が強く、部下が付いてくる人望ある人。アラタの知識と才覚に一番期待してる人。
色々と無茶振りをしてくるアラタに冷や冷やしながらも信頼関係を崩さない人格者。
戦後は軍を辞め、元宰相オリバーと共に南アルニア南部の大領主となる。
・テオドール=ハインリヒ 51歳→55歳 財務長官
財務官に似合わない大らかな性格の長官。細かい事を気にしない性格のせいでドナウの納税は大雑把な傾向にある。ただし、金儲けの才はあり、取りこぼしより増やす量が多いので黙認気味。
現在は反レオーネ閥の中心人物の一人として暗躍中。
ホランド戦後にカリウスの勘気を被って罷免されたが、首の皮一枚繋り一族総出でカールの下でサピン統治に携わる。
・ジークムント=ブルーム 55歳→59歳 法務長官
非常に厳格な性格の法律家。曲がった事が嫌いで、融通が利かないと嫌われやすい。実は博打が大好きで、休日は博打三昧。
心情的には反レオーネ閥だが、国家が不利益を被ってでも対立するのは望んでおらず、現在の反レオーネ閥からは距離を置いている。
戦後は体力的に長官職が辛くなって役職を辞した。その後、ミハエルが死去して空白になったカリウスの相談役に収まる。
・ルドルフ=デーニッツ 57歳→61歳 学務長官
閣僚内では最年長。現カリウス王の教鞭を取っていた事もある。未知の知識には非常に貪欲だが、やや保守的な性格。息子の一人に治癒の神術使いがいる。アラタを利用価値のある平民と期待しつつ一番危険視している。
反レオーネ閥の中心人物だが、努力家のアラタ個人は嫌いではない。
戦後にカリウスから嫌われて長官を罷免、ドナウ本土の領地も没収されて、東プラニアに領地を貰って一族と共に再出発を図る。
・ヘルマン=デーニッツ 22歳→26歳 学務官僚
ルドルフ=デーニッツの末の息子。治療の神術の使い手で、王家の典医を務めている。学問に対して真摯な態度であろうとしており、学問を政治利用する事には否定的。組織人としては無能なので父親の後を継ぐ気は全くない。アラタの見識を高く評価しており、先生と慕っている。
生まれ持った稀有な才能から努力を評価してもらえない鬱屈した感情を持ち、誰にでも扱える学問への思い入れは極めて強い。アラタの思想に共感して、今後はドナウの教育普及に尽力する。
・ラルフ=アイゲル 46歳→50歳 農務長官
良くも悪くも平均的な人材。とにかく無難な判断が多い。
流れで反レオーネ閥に属していたが、保身から秘密裏にレオーネ閥に鞍替えしており、時々情報を仕入れるために両派閥を行ったり来たりしている世渡り上手。
砂糖利権によって予算が倍増されており、アラタにかなり好意的に接している。
戦後は東プラニアに領地を貰い、長官職は留任した。
・ヘルム=アイゲル 75歳 窯工房主
ラルフ=アイゲルの実の叔父。若い頃に遥か東から流れてきた白磁器の類似品に魅せられて、引退後は自ら窯工房で白い皿の再現に情熱を注ぐ。
アラタから白い皿の製造法を教えられた対価に耐火煉瓦の製作を依頼される。
死後も彼の開いた工房はドナウ陶器産業の中心になって残り続ける。
・ハンス=フランツ 48歳→52歳 外務長官
相談役に元外交官のベッカーがいるので非常にやりにくい思いをしている。今のドナウの苦境は自らの責任と感じている、責任感の強い男。
ホランド戦後からはエーリッヒの結婚相手の調査や、各国へのパイプ作りに余念がない。アラタに対しては特に悪感情は無いが、仕事上の縄張り意識から少し対抗意識を持っている。
戦後はこれまでの功績を高く評価されて、ルーカスの後任として宰相に就く。
・エドガー=シュターデ 36歳→40歳 ドナウ王国特使
ホランドに宣戦布告の文章を運んだ外交官で、和平交渉の総責任者にも抜擢されていた苦労人。殺気立ったホランド王宮内で職務を全うした胆力を評価されている。
ユリウスの王太子擁立を祝う外交使節団の副団長としてアラタと共にホランドに赴く。
戦後は今までの働きに報いる形で、ハンスの後任として外務長官に抜擢された。最年少長官として引き続き苦労人になる。
・ヨアヒム=ガイスト 41歳→44歳 建務長官
閣僚内では最年少。騎士団長のゲルトとは同じ年の友人関係。人使いは荒いが、優秀。若いので妬まれやすく、心労を溜めている。
自分の娘をヴィルヘルムに嫁がせつつ、息子の嫁にゲルトの姪を貰い、レオーネ家と親族関係になる。
農務のラルフと同様、東プラニアに領地を貰いつつ長官を留任した。
・ロラン=ガイスト 21歳 農務官僚
建務長官ヨアヒムの長男。父親の下に就くのが嫌で別の省に入ったが、建設関係は嫌いではない。ドナウ中に灌漑用の水路を張り巡らして、農業生産力を向上させたいと夢を語る癖がある。ゲルトの姪、ウォラフの従姉妹を嫁に持ち、現在は妊娠中。
戦後は西方一の穀倉地帯であるリトニアとアルニアに派遣されて灌漑整備に追われる事が確定している。
・ロート=ゲーリング 64歳→67歳 ドナウ教神官長
王都在住の中堅貴族であり、神官長を務めるミハエルの四十年来の友人。よく一緒に飲んでいる。自他共に認める好色爺で、現在でもあちこちに愛人を作り、日常的につまみ食いをしている。生来なのか女遊びで培ったのかは分からないが、非常に優れた洞察眼を持ち、アラタの溢れんばかりの神への憎悪を見抜いている。
アラタが唯一と言って良い程苦手としている人物。
・エリィ 10歳→14歳 諜報部付の使用人 茶髪青眼
旅の途中に立ち寄った村で盗み食いで罰を受けていた少女。両親が既に他界しており孤児。神術の使い手であり、その力を使って盗み食いをしていた。それがばれて木に吊るされていたところをアラタに引き取られる。
現在はアラタの専属使用人かつ諜報部で雑用をしつつ、礼儀作法や読み書きや数学を勉強中。アラタから贈られた望遠鏡がお気に入り。アラタの事はもう一人の父親の様に慕っているが、最近それに変化が現れ始めている。
・ヨハン 16歳→20歳 ドナウ王城の使用人
両親と共に城で働いている使用人の少年。父親は料理人だが才能が無かったので給仕をしていたが、アラタが来てからは彼の専属使用人になる。諜報部設立後にはアラタに付いて同部署で雑用をしている。最近は年下のエリィに負けたくないので読み書きの勉強をしている。
アルマという同じ使用人の恋人が居る。
・ジャスティ 40歳前後→44歳程度 貧民街の有力者
隻腕の中年男。右腕が無いのは若い頃に姉を手籠めにしようとした代官を殺した時の不覚傷。偽名の由来は正義
現在はアラタとリトの頼みから、砦跡を利用した開拓村の村長を務めている。村長が独身では恰好がつかないと言われて、元娼婦の女性を妻にする。
・ガート 25歳程度→30歳 求道者
重力を操る神術使いのサピン人。戦って強くなる事にしか興味の無い求道者。いつも鍛錬かイメージトレーニングばかりしていて、戦い以外で他者と混じる事の無い女。通称獣女
ホランド兵士二十人を瞬く間に挽肉にするほどの人外の強さを有している。
シズナ川の戦いでは二千のホランド騎兵に真正面から突撃して、殺戮の限りを尽くして生き残ったホランド兵から魔王扱いされる。
リトとの契約が途切れた現在は、より強い者を求めて遠方に旅立った。
・リト 30歳程度→34歳 貧民街の代表
貧民街の顔役を勤める青年。十年前に流れてきた異国人。その正体は十年前にホランドに滅ぼされたリトリアの王子。本名をリドヴォルフ=ラインラントといい、平民の母を持つ事から早々に男児に恵まれない家臣の家に養子入りしていた。アラタとは良いビジネスパートナーの関係を崩さない。
戦後はリトニア王に返り咲き、故国の再建に寝る間もなく奔走する。妻にはカリウスと側女との娘を貰うが、親子ほど年が離れている事を気にしている。ちなみに妻は16歳。
ホランド王国の人物
・ドミニク=アラン=カドルチーク 50歳→53歳 ホランド王国 国王
一代で三つの国を併合した傑物。武力に頼る武辺者だが実力は一級品、加えてプライドが高いが配下の諫言を受け入れる度量も持ち合わせている。次の標的をドナウ王国に定める。
異物の混じったドナウに手痛い逆襲を受けて、西方統一の夢を頓挫させられたが、まだまだ諦めてはいない。
五万の騎兵を率いてドナウとシズナ川で戦い、最後まで臆せず戦って最後は戦場で果てた。
エーリッヒやリトからは王にあるまじき男とボロクソに言われたが、自身の王道を最後まで貫いた。
・バルトロメイ=ホーン=カドルチーク 27歳→31歳 ホランド王国 王太子→第一王子
次期ホランド王国国王。父親程武の才は無いが、堅実な性格で内政に秀でて、宰相の下で腕を振るう。ドナウとの開戦で一方的に叩きのめされ、失意にある。
現在は国王の地位を諦めてでも故国を護る為に奔走中。アラタの事を最大の敵と認識している。
息子のヴィクトルを跡継ぎの居ない弟に養子入りさせて、目に見える形で王家が盤石だと喧伝する。
シズナ川で父ドミニクが倒れた後は、自らユゴスに降伏して敗残処理を担い生き残った。
・ユリウス=カトル=カドルチーク 20歳→23歳 ホランド王国 第二王子→王太子
軍に人気のある若い将軍。兄とは相性が悪く、野心を隠しているが王座を狙っている。功績を立てて他の貴族の支持を得ようと暗躍中。男色家であり、それが原因で次期国王から遠ざけられているが、軍事的才能はホランド随一。
兄のバルトロメイが王太子を返上したのと、サピン征服の功績により王太子へと任ぜられた。
ユゴスとの国境沿いにあるクロア関での攻防戦で副官のオレクと共にナパームの炎に包まれ戦死した。
・タチアナ=サシャ=カドルチーク 14歳 ホランド王国 第一王女
艶のある黒髪が特徴的な少女。二人の兄から溺愛されている。
父ドミニク王がドナウに負けてから、兄バルトロメイの頼みでドナウ軍に降伏の使者として下り、そのまま人質として今後も過ごすことになる。
なぜかアラタに度々子供扱いされて憤慨するが、ドナウでは隔意無く接してくれる数少ない相手として、内心ではアラタを嫌っていない。
・カーレル=メテルカ 57歳→61歳 ホランド王国 宰相
有能だが生粋のサディスト。弱者をいたぶるのが何よりも楽しいと感じている。過去に何人もの競争相手を暗殺してきた冷酷な一面も持つ。
ドミニク死後はタチアナ王女の後ろ盾となる為にドナウへ赴き、アラタに自らと暗殺に長けた家臣団を売り込み、諜報部の下請けとして雇われる。
・ラドミーク=コビルカ 62歳 ホランド王国 将軍
ホランド王国将軍の中でも最年長。軍才は並程度だが、その経験豊富さからそれなりに敬われている。ドナウ侵攻軍の実質的副将に任じられ、経験の浅いバルトロメイ王子を補佐する。
ホランドの未来の為に自ら敗戦の原因となって処刑された。
・オレク 20歳→23歳 ホランド貴族
第二王子ユリウスの乳兄弟。幼い頃からユリウスに仕えており、主からは半身のように扱われている。
非常に嫉妬深い性格をしており、ユリウスに気に入られたアラタに殺意を抱く。
ユリウスが王太子になったことを誰よりも喜んでいるのは疑う余地は無い。
ユゴス国境のクロア関で主人のユリウスとともに戦死した。
・サピン王国の人物
・アーロン=カルデ=エレディア 65歳 サピン国王
男児に恵まれなかった高齢の王。正妻、妾を含めて男児が成人前に早逝し、娘しか居なかった事と生来の優柔不断さによって後継者を決めかねていた事が家臣や親族の争いを激化させてしまった。
ユリウス率いるホランド軍によって王都エルドラを陥落させられ、城を枕に自害し果てる。
・エウリコ=ロドリー=エレディア 40歳 サピン王甥
早くに亡くなったアーロン王の弟の息子。内政軍事に明るく王の資質に溢れるが、独りよがりで他者を軽く見る傾向があり、いまいち人望が無い。
ホランド領アルニアでホランド軍と激突したが、数の暴力に屈し、最後は六千の敵兵と共にナパームで自爆攻撃を行い、戦死する。
・ダリオ=ヘス=エレディア 20歳 サピン王孫
王甥エウリコの妾腹の息子。ホランドとの戦いでは早々にレゴスに逃れていたので、死なずに済んだ。その後は自らをレゴス王政府に売り込んで、傀儡の王として権力を手に入れた。やや芝居がかった物言いを好み気障。
腹違いの弟がいたが、弟が死んでも特に悲しくない。
・アルフォンソ=ディアス 38歳 サピン王娘婿
サピン国内の大貴族出身。本人の資質は並程度だが話術に優れ、利害調整能力に秀でており国内の貴族からは頼りにされている人物。
ライバルのエウリコが戦死した後は王都守備隊の指揮を執っていたが、領土を見捨てて王都防衛に執着し続ける宰相に相当怒りを感じていた。最後は勝ち目のない野戦によってホランド兵に討たれる。
・マウリシオ=バルレラ 60歳 サピン国宰相
アーロン王の腹心。アラタとマリアの婚儀に王の名代として出席していた。王の妹を嫁に持ち、自分の息子を王位につけたいと画策する野心家で、後継者争いを激化させたのは彼の仕業である。但し有能とは言えない。
王都陥落の前に自分の孫娘達を密かにドナウへと逃がし、最後は他の貴族達と共に最後まで抵抗を続けてから戦死した。
・ロベルタ 13歳→17歳 サピン貴族
サピン王国宰相マウシリオの孫娘。サピン一の美貌を持つ絶世の美少女で、アラタも数秒見惚れていた。祖父の命令で、王都陥落前にドナウに逃れており、現在はアラタの家に厄介になっている。祖父から『生きて王家の血を残せ』と遺言を受けており、それを実行する為に慣れない異国で奔走する。
第二王子カールに見初められており、本人もそれを満更でも無いと感じているが、自分が二歳年上なのが負い目。しかし、カールの猛烈なアタックに負けて婚約者となる。
戦後は夫となるカールとともにサピン再興に尽力する。
・クロエ 4歳→8歳 サピン貴族
サピン王国宰相マウシリオの孫娘。従姉妹のロベルタとラケルと共に滅亡寸前のサピンから脱出してドナウに流れて来た。年齢の割に頭が良く、両親や家族と二度と会えない事を理解しており、三人の中で一番悲しみが深く、ドナウに慣れるまで時間が掛かった。
現在はアラタの家での新しい生活に慣れて、それなりに充実した生活を送っている。
アラタの事を父ではなく先生と呼ぶが、内心は父として慕っている。そして西方一進んだ科学知識を持つ父から教えを受けて、ひそかに学者を志している。
・ラケル 5歳 サピン貴族
サピン王国宰相マウシリオの孫娘。従姉妹の二人と一緒にドナウに落ち延びたが、本人はそれを良く分かっていない。両親からは『親戚の姉達と一緒に遊びに行ってきなさい』と言い含められているのをそのまま信じている。
母がサピン人の中では珍しく赤髪で、本人もそれを引き継いでいる。そのためアンナに一番懐いており、母と慕ってアンナを悶えさせている。
最近生まれた弟や妹の面倒を見るのが一番好き。特にオイゲンを溺愛しており、自発的におしめに風呂に食事の世話までしている。
・レゴス王国の人物
・アレクサンドル=ユリアーノ=グリエフ 38歳→42歳 レゴス国王
軍事に疎いが内政に明るい王。毎年切迫している軍事費を少しでも軽くしたいと考え、不倶戴天の敵であるユゴスと長期間の和平を望み、内政に専念したいと考えている。その仲立ちにドナウを使おうとしている。
サピン貴族ダリオを傀儡に、南サピンの一部を実質的に支配下に置いている。
・オレーシャ=プラトー=グリエフ 16歳→20歳 レゴス国第三王女
プラチナブロンド
非常に行動力のあるじゃじゃ馬王女。ありすぎて未だに婚約すらしておらず、将来を危ぶまれているが丁度良いとばかりにドナウのエーリッヒに押し付けられた。母親は側室だが貴族なのでそれほど地位は低くない。趣味が弓術で狼や猪を射殺したこともあり、特に弓は騎乗射手出来るほどの天才である。
エーリッヒとは程よい夫婦仲で、現在はドナウ王城で大人しく暮らしている。
無事に第一子トリハロンを出産。幸せな日々を送る。
・アンドレイ=レジェンス 40歳→44歳 レゴス王国軍総大将
レゴスの大貴族レジェス家の当主で、アレクサンドル王とは従兄弟の間柄で、結婚式には王の名代として赴いた。内政は今一つだが軍事の才に溢れる。大の戦好きだが外交も同じぐらい好む性格。
ユゴス王国の人物
・サハール=メディ=ペトロフ 55歳 ユゴス国王
放蕩息子に胃を痛める不憫なユゴス国王。それなりに才気はあるのにやる気に欠ける息子に毎日苦労しているが、仕事の形式さえ整えておけば、上手く人を使って国を治められると、ある程度信頼している。後は如何に孫に王位を渡せるかだけが息子への主な悩みである。
・ヴァレリア=ヴィヴィチ=ペトロフ 31歳→35歳 ユゴス王国王太子
現ユゴス国王唯一の男児。そのため自動的に次期国王の地位にいるが、本人は面倒に思っている。愚鈍でも暗愚でも無いがかなり怠け癖があり、配下に仕事を任せ切りだが、最低限度の政務はこなす程度の義務感は持ち合わせている。本人も神輿に徹したほうが国内の混乱も少ないと分析しており、ダラダラ生きていたいとしきりに周囲に漏らしている。子供は男が三人居る。
実は名伯楽であり、極めて人物鑑定に優れている。出自に拘らずに有能な人間を何人も発掘しては扱き使って成果を上げている。
・マティ=ラザル 40歳→44歳 ヴァレリア付秘書官
ヴァレリアの被害者。怠け癖のある主人の代わりに大半の仕事を押し付けられる可哀想な人。相応に対価は貰っているが、日常的な胃痛と寝不足から、かなり禿げ上がっているのを相当悩んでいる。心労で痩せており、周囲からは妬みよりも同情の方が強い。
ホランド王国プラニア領の人物
・シャルル=フィリップ 45歳→49歳 ホランド王国領主
王家の縁戚でもあったが、ホランド侵攻時に真っ先に降伏して恭順を示す事で生き永らえたプラニアの領主。その為、領地と財貨を取られたものの、領民は殆ど犠牲にならずに済んだが、反対して戦いに参加した二人の息子を戦死させている。
辺境の開拓地で平穏を享受しつつも、返り咲く機会を虎視眈々と狙っていたこともあり、ドナウの傀儡となる事を受け入れて、人質に最後の息子のセシルを差し出した。
戦後はプラニア王に就き、ドナウの支援を受けながら故国の復興に尽力する。
・セシル=フィリップ 10歳→14歳 ホランド王国貴族
元プラニア貴族の少年。物心ついた頃に故国を失い、辺境の開拓地で厳しい生活を送っていた。歳に似合わない利発な姿勢は、現状を快く思っていない反骨心の顕れである。現在の自分達の苦境は全てホランドが悪いと思っており、そのホランドを叩きのめしたドナウとアラタを尊敬している。現在はレオーネ家に居候中。
人妻好きで、子持ちのマリアに熱を上げているのに周囲は冷や冷やしている。しかし、いつの間にか幼馴染のローザと恋仲になっており、若干人妻への熱は冷めつつある。
ドナウとの結びつきの強さから、五年後にはカリウスの実の姪を妻に貰う予定。
・ローザ 10歳→14歳 辺境の娘
フィリップ領の平民の娘。セシルとは身分に差があるものの幼馴染である。彼に使用人として着いて行き、ドナウのレオーネ家に厄介になる。
屋敷の同年代の使用人少女に焚き付けられて、セシルと恋人になった。
・ジャック=エーカー 53歳→57歳 フィリップ家家臣
フィリップ家に代々仕える武人の一族の一人。れっきとした貴族で、ホランドの侵攻時に一族の大半の人間を失っている。高齢ながらも鍛え上げた肉体に衰えは見えない。
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