コント 取材
ジャンボ尾崎手配犯
第1話
見習いディレクター・ハシバ……富澤
インタビュアー……トミドコロ
野村監督……伊達
球場入口に着くトミドコロ。
トミドコロ「あれ、もう待ち合わせの時間なのに、ハシバさんいないなあ。電話もでないし、どうしたんだろう」
上手側で寝袋にくるまって寝ているハシバ。
トミドコロ「あれ、ハシバさん、どうしたんですか。何で、こんなところで寝てるんですか!?」
ハシバ「あ、早朝バズーカ? 早朝バズーカなの?」
トミドコロ「ハシバさん、僕ですよ。寝ぼけてるんですか」
ハシバ「(間)いや、寝ぼけてないです。あの、ずっと起きてました」
トミドコロ「何でちょっと考えたんですか。どう見ても寝起きの顔ですよ。それより、どうしてこんなところで寝てたんですか」
ハシバ「あ、ちょっと徹マンしてて」
トミドコロ「テツマン?」
ハシバ「徹夜でマージャンっすよ。それで、家に帰るの面倒くさくなっちゃって、ここでトミドコロさん待ってたんっすよ。へへへ」
トミドコロ「僕、何度も電話したんですけど」
ハシバ「すいません、携帯どっかに落としちゃったんっすよ」
トミドコロ「ええ、大丈夫なんですか、それ?」
ハシバ「電話帳3件しか登録してないんで、大丈夫っす」
トミドコロ「電話帳3件しか登録してないディレクターって、そっちの方が不安ですよ。よくそれでフリーになろうと思いましたね」
ハシバ「『元気があれば何でもできる』って猪木も言ってたんで」
トミドコロ「いやいや。ていうか、いい加減寝袋から出てくださいよ。いつまで入ってるんですか」
ハシバ「いや、ちょっとそれは無理っす」
トミドコロ「何で無理なんですか」
ハシバ「服がなくなっちゃった、ヘヘ」
トミドコロ「え、全裸で寝袋入ってるんですか!?」
ハシバ「暑いから脱いで、そこらへんに置いといたら、誰かに盗まれちゃって」
トミドコロ「最悪じゃないですか。どうするんですか」
ハシバ「あと、もう一つヤバイことあるんすけど、あの、怒らないで聞いてくれますか?」
トミドコロ「話の内容によっては怒りますよ」
ハシバ「じゃあ、話さないっす」
トミドコロ「いや、子供じゃないんだから。(溜息をついて)わかりましたよ、怒らないから話してくださいよ」
ハシバ「あのですね、今日のインタビューする相手のギャラ、取っ払いだったんですけど、麻雀ですっちゃいました」
トミドコロ「何やってんですか! まず賭け麻雀は犯罪だし、その上ギャラを使っちゃうってどういう神経してるんですか!?」
ハシバ「怒ってるじゃないすか! 怒らないって言ったのに」
トミドコロ「そりゃ怒りますよ。何やってるんですか」
ハシバ「増やそうと思っただけで、悪気はなかったんすよ。それにあれ、絶対イカサマすっよ!」
トミドコロ「どうでもいいですよ、そんなこと。それより、どうするんですか、ギャラは」
ハシバ「どうするんですかね?」
トミドコロ「何で、急に他人事な感じにしてるんですか。あ!」
ハシバ「どうした?」
トミドコロ「あれ、今日の取材相手の野村監督ですよ」
二人のもとに歩いてくる野村監督。
トミドコロ「お早うございます! 今日、取材させていただくトミドコロです」
ハシバ「ディレクターのハシバです」
野村「なんでこいつはここで寝てるんだ」
トミドコロ「それは、ちょっと、あの、長くなるんですけど……」
野村「まあ、いいわ。今日のギャラ取っ払いでもらえんだろ? 取材終わったら飲みに行くか? 近くにいきつけの店があるんだよ」
トミドコロ「それが、実は……」
ハシバ「野村監督、提案なんですけど、ノーギャラとかってどうすかね」
トミドコロ「ハシバさん、ちょっと」
野村「ノーギャラ? 何を言ってるんだ? ワシは先に球場行くぞ」
歩き出す野村監督。
ハシバ「監督、待ってください!」
転がりながら移動するハシバ。
トミドコロ「ちょっと、ハシバさん!」
コント 取材 ジャンボ尾崎手配犯 @hayasiya7
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