第54話 図書室でもくだらない会話
A「……」
B「……」
C「……ねえねえ」
A「……ん? 何?」
B「静かに」
A「あ、ごめん」
C「ねえ、その本、何?」
A「これ?」
B「……オーストラリア植物図鑑?」
C「なんで、オーストラリアの? 今度行くの?」
A「うーん、そういう訳じゃあないんだけどね」
B「じゃあ、どうして?」
A「うちの近くにね、大きな庭のある家があって、」
C「うん」
A「そこの塀を超えるくらいに、大きく育った木があるんだけどね、その家の前を通って、その木を見た時に、」
B「うん」
A「何故か分からないけれど、『この木はユーカリだ』って思ったの」
B「えっ?」
C「すごっ」
A「だから、こうして確認しているの」
B「ちょっと待って、なんでユーカリだと思ったの?」
A「……勘?」
C「すごすごっ」
B「……まあ、いろいろ言いたいことはあるけれど、結果はどうだったの? その木はユーカリだった?」
A「分かんない」
C「分かんないんかーい!」
B「ちょっと、静かに」
C「めんごめんご」
A「あの家の木が、どんなだったのか、思い出せなくて。この写真と似ている気はするけれど」
B「きだけに?」
A「えっ?」
B「あ、何でもない」
C「コアラが食べたら、ユーカリじゃない?」
B「突然」
A「なるほど」
B「コアラ、どこから連れてくるの?」
A「なるほど」
C「その図鑑を持っていくのは出来ない?」
A「本の背表紙に、『禁』のシールが貼られている」
B「スマホで木の写真を撮って、あとから見直したら?」
A「うーん、人の家を勝手に取っちゃうのはちょっと……」
C「それに、図書室でスマホ使うのはダメだよ」
B「うわ、急にまとも」
C「あ、そうだ」
A「何?」
B「ろくでもないアイディアだよ、きっと」
C「その木のすぐ横で、スマホでユーカリの画像検索をして、見比べてみたら?」
A「……それだわ」
B「急にまとも、PARTⅡ」
C「バハーン」
A「バハーン?」
B「なんで、ユーカリだと思った瞬間に、調べなかったの?」
A「あの時は、そうかなーって、ぼんやり思っただけだったから……あ、」
C「どうしたの?」
A「司書さん、すごくこっちを睨んでいる」
C「あー」
B「まあまあ騒いじゃったからね」
A「静かにしましょう」
B「うん」
C「オッケー」
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