第10話 カエル色の約束B

バーンは燃えている。

「チョークさんは関係ない。俺は俺でケリをつける」

コレクターの兵士たちは、バーンに魅了された。これが、真の黒板のパワー。ドリルは力なく倒れた。

ドントの声に力はない。

「俺はドリルを救えなかった。コイルはまだ、俺について来てくれるか?」

「当然だ、ドント。それよりも、『カザンの国』へ向かおう。『個人』の能力が崩壊しつつある」

「カザンの理論は、『主人公』により個人に片寄ってしまった。今度の主人公ロウヘイにより、集団組織に塗り替えられるとは皮肉だ」

と、ドントはカザンの国に、何かを感じていた。

コイルは宣言する。

「どちらかに偏らず、中立がベストだよね。ケースバイケースってことで…」

と、コイル達は撤退していった。

『バーン、聞こえるか? 仲間の声が聞こえるだろう。この俺『チョーク』は、バーンの生き様を記していく』

「チョークさん、俺はロウヘイとカザンの国へ行くよ。俺はまだ、バーンだからだ。個人として組織として、カザンと戦うよ」

えっ? バーンの口振りだと、僕はカザンとやらと戦うの? 僕はまだ、決心できていない。というか、戦う必要があるのだろうか? 個人を唱いたければ、唱えばいい。

僕たちは、ギルドへと帰還していた。呼ばれるは言う。

「私はね、まだ戦う力がないの。ロウヘイは自由だよ」

僕は驚いた。

「そうか。僕はヨムコに惹かれていたから、ヨムコを『証明』したかったんだ」

ヨムコは続ける。

「無理に証明しなくていいよ、ロウヘイ。ロウヘイが、私を信じてくれるなら、それでいい。プレゼント交換、覚えてる? ノラさんは、成立しない対を成すプレゼントって言っていた」

僕はハッキリと言う。

「成立しない? でもカエルマッサージは、ヨムコには返さないぞ!」

ヨムコも言う。

「私もフィルムはロウヘイに返さないよ! 今思うと、あのプレゼントは、ロウヘイからの見返りを求めていたんだ。あと私は、『カエルの山』が本当は存在しないこと、知ってたんだ。ロウヘイは隠していたけどね。私は山に登るカエルに成りたかったんだよ」

僕はハッキリと言う。

「ヨムコはカエルを目指せばいい。僕はヨムコという自分のカケラを受けとるため、僕自身のため、カザンの理論と戦う。僕はカエルよりもヨムコに魅力を感じているよ」

ヨムコは宣言する。

「山に登った私は、ロウヘイにとって最高の存在だよ」

「体力をつけたいんだな、ヨムコ。待っているから、僕は。二人で山を登れる日を」

カエル色の約束は、果たされるのだろうか? あと、1126メートルの山は、何処に在るのだろう? 何処かにはあるはずだ。

バーンとノラさんは言う。

「主人公トラップからは、逃れられない」

「引っかかって良かった、と決着をつけて、堂々と僕は言う」

僕とヨムコそして沢山の仲間に出会えたから。フリーの傭兵も、悪くないとも思うけど 。

えーと、カザンの国はトンボの国と同等ぐらいの大国だ。カザンを崇める国だったよな。英雄カザンの理論は素晴らしいと、みんな言ったんだ。

英雄が言ったから? 多分違う。カザンは、それだけの理論を打ち立てた。僕たちは、カザンの理論を覆すというよりも、幅を持って欲しいんだよ。カザンは主人公と出会い、『個人能力』に染まってしまったと聞く。さあ、カザンに会いに行こう。

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