第8話 カエルの色は緑色が似合う
池の兵士たちは、抵抗する。涼しい顔をしているトランピ。バーンも苦しい。
「俺もエンペラーのブラッドが、使いこなせたならば…クソ」
えっ、ヨムコの輝きがそして色の種類が、減ってきている。ヨムコは色を絞っている。ヨムコは何かを思い出そうとしている気がするぞ。
トランピの顔色が変わる。
「素晴らしいヒロインだ。『虹色』つまりたくさんのブラッドが最高、と私は勘違いしていた。凄まじい『一つの色』を、ヨムコは創造している。その『能力』は何だ?」
コイルは言う。
「虹色のヒロインが、崩壊しようとしているぞ」
ドリルも続く。
「なんて安心できるヒロインなんだ。池の兵士は弱体した。行けー、テスの兵士の力を見せろ!」
虹色のヒロインは、トランピから与えられたもの。今、ヨムコが祈っているものが、何かは解らないけれど…。
それは、トランピのものではないぞ。ヨムコが見つけた才能だよ。早く確かめたい。そのブラッドが、僕に届かないように! ヨムコの中にあり続けるように! 僕とトノサは戦うよ。
バーンは何かを思い出す。
「これは『ヒロイン』のブラッドだ。しかし、俺の知っている黒板のブラッドとは、明らかに違う。ヨムコが見つけたのは、山登りをする池のカエル!」
「それは、あんな色かい?」
と、コイルとドリル。
グリーンだ、緑色だ。カエルのスタンダードの色だ。ヨムコはトノサのコクピットへと戻る。
「ただいま、ロウヘイ。私、欲張ってた。たくさん才能を欲しいって、思ってしまったよ。やっぱりグリーンがカエルの色にビッタリよ」
ノラさんが、ここで登場する。
「よく言った、ヨムコ。みんな、トランピを叩くぞー!」
「おー!」
と、ノリで叫ぶ人たち。トランピは警戒する。
「ノラは池の楽園の住人だ!」
ノラさんは嫌みを言う。
「いやー、素晴らしいブラッドを手に入れたねー、トランピくん。キミも頑張って」
トランピは動じる。
「くっ、確かに凄いブラッドだが、私にどうしろというのだ?」
ヨムコのレベルが2に上がった。ヨムコは、『カエルの山』のブラッドを覚えた。おいおいカザンの理論よ、ヨムコはもっと凄いって認めろよ。カエル山のブラッドは、本来持たないブラッドを、修練で覚えるスキル。カエルの汗拭きタオル付きだ。
これが『カエルの流すもの』だったんだね。ヨムコは宣言する。
「一生、ロウヘイを逃がさないからね。とりあえず、外に出る体力を私は手に入れる。そして、カエルの山へ行くんだ!」
「おう」
と、僕は言っておく。
バーンは力を取り戻す。
「ロウヘイよ、イチャついてないで、ここを離脱するぞ。トランピに戦意はもうない。ただ、主人公ギルドへのルートが、塞がれている」
どういうことだ?
ここで、コイルとドリルが立ち塞がる。
「テスが黒板を手に入れる。バーンにはもったいないぜ」
ここで、テスの軍隊と戦うのか? いや、逃げ道はない。ルートをどうにかして繋げないと、いけないぜ。
僕はバーンに問う。
「どうする、バーン?」
「テスの兵士たちは、疲労している」
と、バーンの意見。僕は続ける。
「ギルド兵も、同じ条件だぞ」
「ウーン」
と、僕とバーンは悩む。
悩んでいる間に、テスとギルドの戦いは繰り広げられている。ヨムコは焦る。
「揺れる、揺れるよートノサ! ロウヘイはトノサをちゃんと操縦して」
「どうしよう…。いや、戦うぞ。ヨムコ頑張れ」
「えっ、そうなるの」
と、僕とヨムコ。
ヨムコは納得していないが、家に帰れない迷子では終わらんぞ。ここで、ダメ押しのドントの登場。ドントってテスのリーダーじゃないか! これ、ヤバいんじゃないない?
誰か助けて。援軍とかないの? しかし、ドント兵はほとんどいない。
何をしに来たんだよ、ドントのおっさんは? ドントはこちらを見ず、コイルに言う。
「黒板より、ここは戦力を立て直すぞ。兵士と民あっての、黒板という兵器だ。次のチャンスが待て」
コイルとドリルは、文句を言いながらも従う。
「ドントは真面目なんだよなー」
僕とバーンは言う。
「助かったみたいだ」
「やったー!」
と、喜ぶヨムコ。
しかし、ノラさんの顔は険しい。
「ここで、コイルとドリルを潰しておきたかった…。ドントのヤツ、冷静だったな。次が怖いぞ、ロウヘイとバーン様」
テスに立て直されると厄介かあ。だが、深追いするのもアホだろう。僕たちは、主人公ギルドに帰還する。
それから1カ月が経過するも、テスに動きはない。それはそれで不気味だ。その間、僕とバーンは、ミドリの国で特訓をしていたのだがな。
そんな時、チョークから連絡が入り、テスの友好組織からやって来た偵察兵を捕まえたとのこと。目的は何だ? テスは黒板を欲しがっていた。池の楽園の制圧がテスの次の動きだと決めつけていた、僕たちは驚く。
チョークが内部争いをしている間に、テスはコレクターを潰すチャンスと見たのか? ノラさんは、ここで情報を整理する。
「コレクターは、今確かに不安定だ。しかし、テスの目的は『黒板そのもの』であるバーン様であろう」
えーと、よくわからん。
その時、ヨムコは僕をみる。ヨムコのその表情は知ったかぶりだ。バーンはどう考えているかな?
「俺とチョークさんが出会うと、テスにとってどうまずいんだ、ノラさん?」
と、バーン。
ノラさんは、少し解説モードになる。
「黒板とチョークはセットだ。エンペラーのブラッドが、真価を発揮するかもしれない。そこでの主人公とヒロインのブラッドの出会いも、警戒しているだろう」
後に『まな板色の戦い』と呼ばれる、テスとコレクターの最後の決戦が、始まろうとしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます