お薬
お母さん 風邪薬 どこ?
救急箱に入ってるわよ 熱は測ったの?
うん 七度
お腹出して 寝たんじゃないの?
やだもう 子供じゃないんだから
あなたは 笑いながら
すっと 錠剤を口に放り込んで 一口水を飲む
なに?
上手に 薬を 飲むようになったのね
やだもう 子供じゃないんだから
あなたは また笑う
はじめて あなたが 熱を出した夜
私は この世の絶望を
ぜんぶ抱えた みたいだった
ぐったりする あなたに 胸が張り裂けそうだった
薬を嫌がって 小さな小さな足が ぴょんと蹴る
乳白色の薬は ぜんぶ 飛び散って
私と あなたに 降りかかる
私は あなたを 抱きしめたまま
馬鹿みたいに 泣いたのよ
あなたは 上手に 薬を飲めるようになって
子供じゃないんだからと 笑う
そうねと 私も 微笑みながら
どうしてかしら
そんなことが どうしようもなく 嬉しいの
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