第11話 BLをおかずにご飯を食べる

 これは Twitterでの言い間違いいいまつがいを元に

 湧いて出てきたBLである


 そう 腐女子は

 無機物だろうがなんだろうが

 妄想で幾らでもBLを生産することが可能なのだ!


 ちょっと そこ

 腐『女子』?

 とか言うな

 Question Markやめれ

 女はどこまで行っても「女子」だぞ


 腐女子がダメなら

 貴腐人でも 汚超腐人でも 腐ェニックスでもいいぞ!

 むしろ レベルアップしてる感じがいいぞ!


 まあいい

 とにかく

 このあと 頭おかしいBL小説書いたから

 ヤバイと思ったら今すぐブラウザを閉じて

 般若心経でも唱えておくがいい


 ちなみに工ロは皆無だ

 カクヨムで18禁ェロを書く予定はないでござ

 念のため


 大丈夫か


 警告はしたからな?

 



####################################


( 以下 設定をいじって改稿し再公開でござる 表記揺れも ちょい訂正)





『 長編 × 能力 が ほしい 』


 夕刻6時からの開会とのことだったが 主賓である僕は4時には某有名ホテルのロビーにぽつねんと佇んでいた


 「『能力』先生 お待たせしました! 」

 「あ いえ 今ついたところです」


 なんだか初々しいデートの現場みたいな ひねりのない返事をして僕は担当さんの後ろについて歩く

 今日は とある有名出版会社主催の授賞式だった

 僕は 数年前にデビューし 作家として結構な部数を売り上げるまでになっていた


 「すいません 打ち合わせとはいえ早く来て頂いちゃって」

 「いえ 兼業作家じゃないですし 暇なんで全然構いません」

 「いやいや そんなことないでしょう 今や押しも押されもせぬベストセラー作家じゃないですか あっ そうだ 今日はおめでとうございました! 言い忘れてました」 


 元気に祝いの言葉を口にするのに曖昧に笑い返したが 僕は基本的に単発で書くし 好きなときに集中して仕事をするタイプなのだ

 連載を持っていないから  本当に 時間さえあればペンを走らせているようなアイツとは違う……

 脳裏に1人の青年の姿が浮かぶ

 『長編』

 僕とはスタイルの違った書き方をするあの男


 初めて出会ったのも確か こんな授賞式の席だったはずだ

 


 今日も あの時と同じ 立食形式のパーティだった

 

 まだ6時 しかも平日という条件もあってか

 それとも小説の授賞式という特性上なのかラフな私服が結構いる 仕事からそのまま来たらしい ちょっとくたびれたスーツ姿もチラホラ見られる

 サイン会などで顔見知りの作家の姿も見られる


 式も終わり その後は自由に歓談が始まった

 僕は緊張から解放されて 晒し者の一段高くなってる座席から立ちあがって 知り合いを探しに行く


 今回の新人賞は そのうちとれるんじゃないかなと思っていた

 傲慢に聞こえるかも知れないが 僕にはそれだけの能力がある

 本格的に小説を書き始めてから まだ片手ぐらいの年月しか経っていないが

 一つ一つの作品に自信があった

 今回の受賞作も 発売当初から書店に平積みで

 駅前の大型書店を偵察に行ったら沢山の人が手に取っている様子だった


 そんなことを思い出しながら 人混みの中をうろついていると


 「おい」

 

 呼びかけられて 振り向いた

 『長編』だ

 捜していた張本人にいきなり話しかけられて 心臓が跳ねた

 努めて冷静を装って片手をあげた


 「おう 来ていたのか」

 「当然だろ」

 

 いつもの私服ではない 仕立てのいい濃い藍色のスーツが新鮮だ

 背の高い彼によく似合っている


 「お前スーツ買ったの」

 「ああ ワイシャツだけ買うつもりが 店員に熱心に勧められてしまってな……というか なんでお前 俺の着てる服をいつもチェックするんだ」

 「いや なんか新品っぽかったからな」


 慌てて誤魔化したが そんなにいつもジロジロ見ていただろうか

 内心冷や汗をかく

 正直な事を言えば 僕は 多分ヤツのことが好きだ

 

 彼とは同じ高校の出身だった

 在校中は知らなかったが 大学を出て小さいが賞を取ってデビューしてみたら

 出版社の担当に 彼を紹介された

 

 彼の執筆スタイルは 僕とは真逆だった

 緻密な設定を描き 長期にわたって連載する

 短期勝負で アイディアを完結させる 一発屋の僕みたいなタイプから見れば理解しがたい存在だ

 よくまああんなに何年も同じ設定の話を飽きもせずに書き続けられるものだと思う


 だが

 あの真剣な横顔に

 実直な性格に

 いつしか恋に落ちていた


 「忙しいだろうに 今 連載何本抱えてるんだ」

 「隔週3本 月2本 意外と少ないだろ 夏に体調崩して失敗したから減らした」

 「あたりまえだよ 病み上がりに頑張りすぎだろ」

 「安心しろ次の締め切りは3日後だ」


 そうして『長編』と話しているそばからも 次々声をかけられた 


 「あーいたいた」

 「おおー『能力』 おめでとう 」

 「9月に出た本 俺も読んだぞアイディア勝負だったな」

 「やっぱ 才能だよな 目の付け所がいい 今回のこれは売れるぜぇ? 」


 中には僕と同じ新人賞の昨年の受賞者や 華々しくデビューしたのにその後は鳴かず飛ばす といった面々もみられた

 ひとしきり 受賞作や既刊書について ひらめきがいい 革新的だ などと褒めちぎって去って行った


 シャンパンの酔いに後押しされ

 自覚していなかったが 僕は随分と有頂天になってたんだろう


 「才能だけじゃ この業界やっていけないぜ」

 「生存年数5年とか言われてるからな」


 そんな言葉が耳を掠めた

 きっと 聞こえるように言ったんだろう

 やっかみだとは判っていても 体の芯が冷たく凍るのがわかった


 そうだ

 僕には 能力がある

 でも……逆に言えば 能力しかないのだ

 そんなこと 自分でもわかってる


 「……なんだアイツ」


 憮然とした口調で ボソリと呟いた彼のひと言は 僕の耳にはよく聞こえた


 「はは……確かにオレの小説は 発想力が ものをいう感じだから」


 彼が言わんとしていることはわかっている

 いくらアイディアが良くても 小説として文章化するためには 沢山の試行錯誤が必要で 傍から見るより簡単ではないのだ

 余所から 何の苦労もしていないような物言いをされて 彼も腹が立ったのだろう 自分に言い聞かせるように 溜息と共に僕は思いを吐いた


 「オレ ひらめきだけは天才的だし」

 「実力だろ アイディアがあっても書かなきゃ作品にならない」

 「まぁ そりゃそうかもしれないけどさ」

 「謙遜すんな 口だけの奴らとは違う お前は頑張ってるよ」


 ポンと頭に温かな手の平が乗り 乱暴に頭をぐしゃぐしゃとやられた

 ぎゃあ と僕は言って逃げ出した


 「お、オレ……あ、あっちに挨拶に行ってくる! 」

 「おう」


 奴はニヤリと笑って 軽くグラスを掲げた


 


####################################


 『長編』も『能力』のことを気にしていて名前もまともに呼べない感


以下 Tweetした設定


長編 : 人前では格好をつけたがる。禁煙したいがイライラすると煙草を吸ってしまう。能 力の今の仕事っぷりが、実は努力に裏打ちされたものであると知っており、他人に能力が褒められているのを見てモヤッとしている。結構根に持つしつこい性格。エッチもしつこそう。


能力:長編の同僚。長編の地道な努力を積み重ねる仕事っぷりを尊敬しているが、素直に褒められない。実は自分も結構努力家。元々飲み込みは良い方。カッとなると何をするか判らないところがある。ツンデレ体質。酒は弱い方。感覚とひらめきを大事にする。密かに長編のことを気にしている。



 そんなわけで


 我々は日々

 BL萌えを模索しているのである


 ……以上

 現地特派委員 腐老腐死がお伝えいたしました

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