メタネタ委員会

いましん

メタネタ委員会

「昨今のメタネタはおかしい!」


机をバン、と叩いて国語科の山中は言った。


「メタフィクションというものは、第四の壁を超えて読み手に語りかける特殊技法です。それを今の小説は、作者の逃げに使っている!」


「例えばどんな風に、ですか?」


熱弁する山中に、体育科の近藤が質問する。


「何の脈略も無く、急に作者本人が出てきて謝り始める。キャラクターが星やら感想やらを欲しがる。地の文が喋り出す!」


「最後のは見たことないですね。」


鋭くツッコミを入れるのは、数学科の西片だ。


「ともあれ、メタネタの風紀が乱れていることは事実。いずれ子ども達にも影響が出てしまうでしょう。そこで!」


山中は一旦間をおき、周りをぐるりと見渡して言った。


「メタネタ委員会を作りましょう!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



普通なら通るはずも無いこの提案。


しかし、校長が意外にもGOサインを出したことや、山中が生徒から人気があった事が功を奏し、晴れてメタネタ委員会が設立される運びとなった。


もちろん顧問は山中。

委員長は、真面目で国語の点数が良い矢吹。

副委員長は、しっかり者の坂本だ。




「それではメタネタ委員会最初の活動を始めたいと思います。」


矢吹の言葉にパチパチと鳴る拍手。山中は教室の後ろで見守っている。


「まずメタネタ委員会の活動ですが……何をすれば良いのでしょうか。すみませんが山中先生、1度お話して頂けませんか。」


「えー、まずはメタネタというものを学校全体に知って貰わなければいけないね。分からない人も多いだろうから。そして、正しいメタネタを理解してもらうんだ。」


すると、坂本が手を挙げて質問した。


「校内放送で呼びかけるとか、ポスターとかですか。」


「いや、今回考えているのは、冊子を作るんだ。」


ざわつく教室。面倒な委員会を選んでしまったぞという空気。


「いやいや、冊子と言ってもそれほど長くなくていいよ。メタネタを入れた短い物語を書いてくれればいいんだ。例を見せようか。」



そう言って、山中はあらかじめ作ってきた冊子、『メタネタ委員会』を読み始めた。

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メタネタ委員会 いましん @zunomashi

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