第18話 思いがけない招待(Unexpected invitation)
ティムは、鼻をくすぐる美味しそうな匂いで目を覚ました。むくりと体を起こすと、隣りではソニアがベーコンを焼いているところだった。
ティムが目覚めたことに気付くと、ソニアはにこりと微笑みかけた。
「おはよう、ティム」
「おはよう、ソニア」
ティムは目をこすると、ぐっと体に力を込めて立ち上がった。
その日は、鈍色の雲が空を覆っていて、朝なのに辺りは少し薄暗かった。夜に少し雨が降ったのか、荒地に生えていた草に水滴が付いていた。
アナベルは荒野に花が咲いているのを見つけたらしく、ティムから少し離れた所でしゃがみこんでいた。黄色と白のきれいな花に見入りながら、幸せそうに微笑んでいる様子が窺える。
「あれ? ルークは?」
「ルークなら、さっき釣りに行っちゃったわよ。何か、この近くに池があるらしくて」
「池が?」
ティムは目をぱちくりさせた。
「なら、俺も行って来よう。丁度服を洗いたかったんだ。どっちの方向へ行ったの?」
「あっちよ」
ソニアが指した方向に五分程歩いていくと、何本かの枯れ木が生えている中に小さな丸い池が見えてきた。池の手前では、座って釣りをしているルークの背中が見える。
池に近づきながら、ティムは身に着けていた布の服を脱ぎ上裸になった。そして池の前に着くと、服を池の水に浸しバシャバシャとゆすぎ出した。
「バッ・・・テメッ! 何してくれやがる!」
釣りをしていたルークが目を剥く。
「おはよう、ルーク。どうしたの?」
ティムは手を止めると、首を傾げた。
「どうしたの?じゃねーよっ! ようやく魚が警戒心を解いてきたところだったのに、オメーのせいでまた逃げちまったよ・・・」
ルークはがっくりとうなだれると、深い溜息を吐いた。
「ああ、ごめんごめん」
大して悪びれる様子もなくそう言うと、ティムは再度服をゆすぎ出した。一通り洗い終わると、ティムは服を引っ張り上げ、力いっぱい絞り上げていく。
一方ルークは、ティムに邪魔されても滅入ることなく、引き続き糸を池に垂らし続けた。
「でもさ、こんな荒地の中の小さい池に、魚なんていないんじゃないの?」
水面上で服を絞りながら、ティムが言う。
「うっせーな、いるんだよ。ていうか、絞るだけだったらあっちでやれよ。何でわざわざここでやるんだ」
そんなルークのぼやきが聞こえているのかいないのか、ひとまず服を絞り終えたティムは服を開くと、バサバサと振って水を切った。さすがのティムも、水気がルークにかからないようにルークに背を向ける。
ふとティムの方を見たルークは、ティムの背中に妙なアザがあることに気付いた。アザは脇の高さの位置に、背骨を挟んで二つあった。色は、皮膚が焼かれたかのように茶色かった。
「ティム、その背中のアザ、どうしたんだ?」
疑問に思ったルークは、おもむろに尋ねた。
「ああ、これかい?」
服を振る手を止めると、ティムはアザのある辺りを撫で上げる。
「別にケガの痕とかじゃないよ。村の皆が言うには、生まれた時から付いてたんだってさ」
「へえ」
ルークは、ティムの背中を見つめながら、目を細めた。
「何だよ? アザがあるのが、そんなに珍しいか?」
「いや別に・・・、うおおっ!」
突然ルークの持っていた竿が、ビクンビクンとしなった。
「ヨッシャ! 来たぜ!」
「来た? 本当に?」
ティムも思わず、身を乗り出して水面を見る。
ルークは竿を、力まかせにぐいぐいと引っ張り上げていった。それにつれて、竿は更に大きくしなり、今にも折れそうになる。
「これは、でかいぞ! オラア!」
遂にルークは、竿を池から完全に引き上げた。ようやく釣り上げられた魚が姿を現すかと思いきや、釣り上げられたのは魚ではなく、泥まみれになった汚いブーツだった。
ティムは、ぽんとルークの肩に手を置いた。
「ドンマイ」
「チィ、期待させやがって」
ルークは悪態を吐きながら、釣ったブーツを放り投げる。ブーツはボチャリという水音と共に、また元あった場所に帰っていった。
結局魚を一匹も釣ることができないまま、一行は野営地を発った。
「ウサギは取れても魚は取れなかったかあ。残念だったね」
荒地を歩きながら、アナベルが言った。
「まあ、どっかのバカがバシャバシャ洗濯し始めたせいで、魚いなくなっちまったからなあ」
そう言うとルークは苦々しげにティムを見やる。
「だから言ったろ。最初からいなかったんだって」
ティムは相変わらず悪びれる様子もなく、へらへらと返事を返す。
「へーへー、おっしゃる通りですネー」
「冗談だよ、ルーク。へそ曲げんなよ」
ティムは、そっぽを向いて歩き去ろうとするルークの肩にぽんと手を置いた。
「ったく。せっかく、皆の為にでかい魚釣って、今日の昼メシにでもって思ってたのに、お前のせいで台無しだぜ」
「ほらほら、他人のせいにしないの。みっともないわよ」
ソニアからは厳しい言葉が飛び出すが、顔は笑っている。
「チェー。他人のせいを他人のせいって言って、何が悪いってんだい」
ルークは、拗ねるようにぶつぶつと呟いた。
「まあまあ、ルーク。魚はまた次釣ればいいじゃん」
アナベルは優しい口調でそう言うと、ルークの背中を撫でてやった。
「そうよ、ルーク。今日はあるもので何か食べるようにしましょう」
ソニアも優しい口調でそう言うと、ルークに微笑みかけた。
久しぶりに優しい言葉をかけられたのが満更でもないようで、ルークは表情を緩ませた。
「ったく。仕方ねえな。そうするとしますかい」
事が落ち着くと、ティムは地図を取り出し眺めた。
「それで、エルフの里への道はこっちでいいのかな」
「私に見せて」とアナベルが言ったので、ティムは地図をアナベルに渡した。アナベルは地図をじっくりと見て、現在地を確認していく。
「まずは、北西にずっと行かないといけないね。それから海岸沿いに南西に行けば、エルフの里、ブランスウィックに着くよ」
「北西にどれくらい歩けばいい?」と、ティム。
「どれくらいだろ。三週間くらいはかかりそうだね」
「三週間も?」
ティムは思わず瞬きをする。
「そこからエルフの里まではどれくらい?」
「一週間くらい。だから、全体で少なくとも一か月は見ないと」
「それなら馬を買った方が良さそうだわ」と、ソニア。
「でも、そんな金は無いね」
ティムが苦笑いをする。
「まあ、いいんじゃないの。途中に大きい町もいくつかあるし、他のまだどこにあるかすら分かってない守護神石の情報収集もしないといけない。地道に行くしかないよ」
「俺は、ティムの考えに賛成だ」と、ルーク。
「俺のなくした石は、エルフの里に行けば見つかる訳じゃないからな。まっすぐエルフの里に向かうより、町を巡りたいね」
「そうね」
ソニアも頷いた。
「とりあえず、次の町を目指して歩いていきましょう」
次の町へは明日の昼には到着できる距離だった。一行は、気を取り直して荒地を進み始めた。どこまでも続いているかのような広大な荒地だったが、地平線の彼方には雲で白く濁った大きな山があった。その山はドワーフが住むと言われているセドン山だ。一行は、そのセドン山の西を抜けていこうとしていた。
歩き続けて昼を過ぎた頃だった。アナベルが何かに気付いて声を上げる。
「ねえ、あれ見て!」
一行はすぐにアナベルの指し示す方角を見た。すると遠くから物凄い速度で、何かがこちらに近づいてきている。目を凝らしてよく見てみると、それは鎧を身にまとった兵隊の群れだった。
ソニアは、目を大きく見開いて口を両手で押さえた。
「馬に乗った兵士が何人も・・・。まさか・・・」
ティムが叫ぶ。
「逃げよう! 逃げて、どこかに隠れるんだ!」
たちまち一行は駆け出した。しかし走ったところで、見通しの良い荒地で身を隠す場所など無ければ、馬の速さに勝てる訳もない。固いひづめの音と共に、兵隊の群れはあっという間に一行を取り囲んだ。
一行は、既に覚悟を決めて武器を抜いていた。ティムは剣を構えながら唾をごくりと飲んだ。もし相手がヘーゼルガルド軍なのであれば、捕まったら今度こそおしまいだ。かといってまともに戦っても勝てる見込みなど無い。何とかこの場を切り抜けないと!
「お前たち、どこからやって来た! 言え!」
一行の目の前にいた兵士が、剣を突き出しながら喚いた。
その兵士の言葉にティムたちは思わず眉をひそめた。ヘーゼルガルド軍の兵士であればそんなことを言うはずがないからだ。ならばこの兵士たちは一体何者なのだろうか。
「返答がないのなら、偵察兵と見なす。覚悟しろ」
そう言うと兵士は剣を振りかざした。
「ちょ、ちょ、ちょっと待って」
慌ててそう言うと、ティムは剣を地面に捨てて両手を上げた。
「俺たちは、偵察兵なんかじゃない。ただの旅人だよ」
「嘘を吐くな。だったら、なぜ我々から逃げようとしたのだ」
「あんたらがヘーゼルガルド軍だと思ったんだよ」
ルークはそう言うと、ティムに習って剣を置きゆっくりと両手を上げた。
続いてソニアはレイピアを、アナベルも杖を置き、両手を上げる。
「なるほど。よく見たらエルフもいる。嘘は吐いてなさそうだな」
今度は別の兵士が口を開いた。いたって落ち着いた口調だった。
「なぜヘーゼルガルドから逃げているんだ?」
ティムは一瞬真実をそのまま答えようかどうか躊躇った。しかし今ここで下手に嘘をつくのは得策ではないと思ったティムは、事のあらましを正直に伝えることにした。
ティムの話を聞きながら、その兵士はティムたちを推し量るように見ていた。話が終わった後もティムたちをしばらく見つめていたが、やがてふっと息を吐くとゆっくりと口を開いた。
「我々はラークハイム王国の兵隊だ。そして今君たちがいるここは、もうラークハイム領内。だから尋問させてもらった。先程の無礼な振る舞いを許してほしい」
そう言い終わると同時に、先程ティムたちに剣を突き付けていた別の兵士は剣を収めた。それにより張り詰めた空気が少し緩み出した。ティムたちも上げた両手を下げて、各々の武器を仕舞っていく。
その兵士は更にこう言った。
「ヘーゼルガルドから逃げているのであれば、私たちに付いて来るがいい。ラークハイムまで案内してあげよう」
その提案は、あまりにも突然だった。ティムたちは何と返事をしたらいいか分からず、その場に立ち尽くした。
「すまない。当然そんな顔になるな」
ティムたちの困惑した表情に気付いた兵士はそう言って詫びると、顔全体を覆っていたヘルムをゆっくり脱いだ。
「私の名前はセラフィニ。ラークハイム王セラドールの息子、セラフィニ・ラークハイムだ」
それを聞いたティムたちは、少し驚いた。まさか一国の王子が見回りをやっているとは思わなかったからだ。
ヘルムの下の顔は一国の王子らしく、気品に溢れていた。真っ直ぐに伸びた漆黒の長髪、すらっとした鼻筋、穏やかな瞳、シャープで力強い輪郭。そんなセラフィニの顔付きには、男性的な精悍さと女性的な美しさが共存していた。
セラフィニは言う。
「ラークハイムの城下までは、ヘーゼルガルド軍も追っては来れない。それに丁度城に戻ろうと思っていたところでね。良ければ一緒に来ないか」
「は、はあ」
ティムは目をぱちくりさせながら、気の抜けた声を出した。
「そりゃあもう、願ってもない話なんですが、僕たちみたいなただの旅人を、どうしてまた・・・」
セラフィニは小さく笑った。
「そんなこと気にしなくていい。今までの旅の話でもゆっくり聞かせてもらおう。城の中のつまらない生活に、陛下も飽き飽きしてるんだ。君たちが来てくれれば、きっと歓迎されるだろう」
「本当ですか」
ティムは目を輝かせた。
「大した旅じゃないですけど、話くらいならいくらでもしますよ」
「ティム、ちょっと」
後ろで聞いていたソニアが、ティムの腕を引っ張った。そのままセラフィニから離れた所まで連れて行くと、ソニアは小声で言った。
「本気なの」
「ん、何が?」
「何がって!」
ティムの緊張感のなさに思わず声のトーンを上げてしまったソニアは、ちらりとセラフィニを見やった。セラフィニは特にこちらを気にすることなく、部下の兵士と何やら話をしているようだった。
ソニアは声のトーンを落として続ける。
「あの人の言う通りに付いていくつもりなの」
「ああ」
ティムは頷くと、表情を引き締めた。
「歓迎ってことは、まず間違いなく晩餐には招待されるはずだろうからね」
「どういう意味?」
「だって、王族の晩餐って言ったら、俺たちが食べたことないようなご馳走が出るに決まってる」
ティムは喉を鳴らして涎を飲み込んだ。
「山羊肉、いや、もしかしたら牛肉が出てくるかも・・・」
「もう!」
ソニアは、ティムの肩を掴み揺さぶった。
「ヘーゼルガルドであんな目に遭ったのに、こんなに簡単に王族を信用するのね」
「あわわ、待って、待って。冗談だよ、冗談」
揺さぶられながら、ティムが弁解する。
ソニアは手を止めた。
「本当に冗談なの?」
「ああ。でもラークハイムには行こうと思ってる。やっぱりヘーゼルガルド軍の手が届かない所に行けるのは大きいよ」
「あの言葉を信用してるの?」
ソニアが眉を顰めた。
「ラークハイムとヘーゼルガルドが実は通じてたら? あのセラフィニって人が私たちをヘーゼルガルドに引き渡すかもしれないわ」
「それは無いよ」
ティムは断言した。
ティムの自信に満ちた物言いに、ソニアは一瞬思考を巡らせた後言った。
「何でそんなことが分かるの?」
「ラークハイム兵たちは、最初俺たちのことを偵察兵なんじゃないかと疑っていただろう。この付近でラークハイム以外のハビリスの王国といったら、ヘーゼルガルドしかない。その上俺たちは東から西へ歩いているところで、ラークハイム軍に見つかっている。ということは、俺たちがヘーゼルガルド方面から歩いてきていることを知っていて偵察兵だと考えたってことになる」
ふと横を見ると、アナベルが近くまで来てティムの話に聞き入っている。
ソニアは何度かゆっくり頷いた。
「ヘーゼルガルドから来る不審者を偵察兵と見なして取り締まってるってことは・・・」
「ほら、キナ臭い匂いがしてきただろ?」
ティムはにやっと微笑むと、更にこう付け加えた。
「で、それがラークハイムに行くことのもう一つの理由、そして決定的な理由だよ」
「それは、どういう意味?」
「ヘーゼルガルドから逃げる時、俺が言った言葉覚えてる?」
ソニアは思い返す。あの夜のティムの言葉はすぐに脳裏に蘇ってきた。
『近い内に必ずここに戻って来よう。そして、その時は三人じゃない。もっと巨大な戦力を引き連れてね』
「うん」
ソニアは頷いた。
「まあ、敵の敵は味方って奴だよ。もしラークハイムをバックに付けれたら、ヘーゼルガルドに奪われた守護神石だって取り戻せる可能性が出てくる」
「なるほどお」
感心したようにアナベルは目をぱちくりさせた。
「でも信用していいのかしら」
ソニアが不安げに俯く。
「そこは、さあねえ、としか言いようがないな。でも俺たちはもう石を持ってない素寒貧だよ。俺たちをどうこうしたところで、彼らの得になることなんてあるのかな」
ソニアは唸った。
「それは確かにそうだけど、何か変だわ」
「ああ、それは確かにそうなんだ。話がうますぎるとは思う」
ティムは、相変わらず部下と話し込んでいる様子のセラフィニを見た。
「あの王子、多分何か隠してる」
次にティムはアナベルに視線を向けた。
「という訳で、ラークハイムに行ってみることにしたいんだけどいいかな?」
「うん、あたしはいいよ」
アナベルはあどけない笑みを浮かべて頷いた。
「ごめんな、アナベル。折角誘ってくれたのに」
「ううん、ホントに大丈夫! それに正直に言うとね、あんまり自信なかったんだ。折角来てくれても里のみんなはティムたちに協力してくれないかもしれないから・・・」
「そんなこと気にしなくたっていいよ。もし協力してもらえなかったとしても、それはアナベルのせいじゃないんだからさ」
「おーいおい、いつまでもごちゃごちゃやってねえで、とっとと決めろよー」
ルークの胴間声が聞こえてきた。
「って、きっと思ってるぜ、そこの王子様も」
意見が一応まとまりルークもぼやき出した所で、ティムたちはラークハイム軍の集まっている所まで戻った。
「お待たせしてすみません。ラークハイムに連れてって下さい」
「いいとも。歓迎するよ」
そう言うと、セラフィニは破顔一笑した。
「あの、あたしもラークハイムに入ってもいいの?」
アナベルが不安げな表情で尋ねる。
「ああ、勿論だよ。我々はヘーゼルガルドのような民族差別主義を掲げていないからね」
セラフィニの返答を聞くと、アナベルの表情は一気にぱあっと明るくなった。
「で、今からすぐラークハイムに向かうのかい?」と、ルーク。
「ああ。今から向かえば日没には到着できるだろう。勿論馬の脚でならね。君たちは馬がないみたいだから、私たちの後ろに乗ってくれないか」
セラフィニに言われた通り、一行は一人ずつ兵隊の馬の後ろに乗せてもらった。ティムはセラフィニの後ろに乗り込んだ。全員が乗ったことを確認するとセラフィニは馬の腹を蹴り、馬は走り出した。それを合図に兵士たちも馬を走らせる。
一行は目まぐるしい速さで荒野を駆け抜けていった。さっきまで自分たちの立っていた場所に生えていた枯れ木が、今ではもう小さな点にしか見えない。
「ギャー! ちょっとタンマタンマァッ!」
悲鳴が聞こえてきた方向を見ると、ルークが馬の上で暴れていた。すぐ前の兵士を物凄い勢いで揺さぶっている。
「止めてくれ! 怖い! 死ぬ!」
「お前、何をする! 振り落とすぞ!」
兵士はルークの手を引きはがそうとするが、渾身の力がこもったルークの手は兵士の肩から離れようとしない。
そんな滑稽な様相を目にして、ティムは大笑いした。
「ルーク、お前馬に乗れないのか?」
ティムの声が聞こえているのかいないのか、ルークは奇声を発しながら、まるで蛸のように兵士の体にしがみ付いている。
ティムは前に向き直った。乾いた風が勢いよく吹き付けて、ただでさえ寝癖だらけのティムの髪が更にボサボサになっていく。これまで長い道のりをゆっくりと歩いてきていたティムにとって、馬での移動は実に気分の良いものだった。ティムは目を輝かせながら、あっという間に過ぎていく荒地の景色を眺めた。しかし時間が経つにつれて、旅の疲れがどっと出てくる。馬の揺れも相まり、いつのまにかティムは眠りに落ちていった。
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