第2章 影と光の王国(The Kingdoms of shade and shine)

第11話 ヘーゼルガルドの王家 (Royal family of Hazelguld)

 霧がかかった山岳地帯を木の柵が囲んでいる。その柵の中、山岳の麓の勾配が緩い場所には民家が乱立していて、更に山岳の頂上付近に巨大な建築物が聳え立っていた。ヘーゼルガルド城である。


 その石造りの城にティム一行は目を奪われた。ヘーゼルガルド城は薄い霧の中、荘厳な佇まいで、一行を遠目から見下ろしていた。


 木の柵についていた入り口の扉を押して城下町に入ると、ティムは眉を潜めた。


「あれ?」


「どうした、ティム?」

 歩を進めながら、ライアン聞く。


「いや・・・」

 ティムは辺りの様子を伺いながら言う。

「ヘーゼルガルドの城下町って、こんなもんなのか?」


 まだ昼下がりだというのに、ヘーゼルガルドの城下町に人は少なかった。家屋や商店は立ち並んでいるがどこか寂れていて、想像していたものとは違っていた。賑やかな声が聞こえてくる訳でもなく、町はとても静かだった。城下町というよりも集落に近い。


「まあ、最後に行った町がカルディーマだったんだぜ。普通の町はこんなもんだろ。ヘーゼルガルドっていったって城があるってだけで、城下町はただの町だ」


「そうなのかあ」


 すると、後ろを歩いていたアナベルが口を挟む。

「まあ、そんなことはどうでもいいじゃん。ヘーゼルガルドに着いたことだし、まずは、ぱぁっとやろうよ」


 その横にいたソニアも微笑する。

「そうね。もうすぐライアンともお別れだし、まずは酒場にでも言って、ご飯食べて、一杯やりましょうか」


「おっ。俺を送り出してくれるのかい。嬉しいねえ、ソニアちゃん」


 ティムもにっこり笑った。

「そうだね。アナベルも仲間に加わったことだし、まずは酒場にでも繰り出すかあ」





 一行が入った酒場は薄暗かったが、なかなか賑わいを見せていた。オートミールを口に運びながら、大人しく葡萄酒を飲んでいた男たちが、一行をちらりと見やる。恐らくヘーゼルガルドの庶民だろう。


「お腹空いたねえ」

 アナベルが能天気な声を出しながら、お腹をさすった。


 ソニアが言う。

「そうねえ。でも、まずは、お酒を頼みましょうか」


 一行は、飲み物を注文するべくバーカウンターの前まで来た。

 バーカウンターには既に他の客がいて、店主と話し込んでいるようだった。その客は強く巻き毛がかった赤茶色の長い髪をしていたが、股引を履いているから男性のようだ。こちらに背を向けているので、人相は分からない。

 一方店主の方は、眉の太い小太りの中年男性で、薄くなりつつある前頭部を露わにしていた。


 一行が更に近付くと、一行の存在に気付いた店主が、いらっしゃい、と低音の効いた声を出した。そして、店主と話していた客もこちらを振り返る。


 顔を見た瞬間、その客は男性ではなく女性であると分かった。日に焼けた浅黒い肌。鋭い目つきをしているが、長いまつ毛は女性らしさを主張している。少し突き出している唇は、彼女の気高さを表しているかのようだった。絶世の美女とまでは行かないが、かなりの美形である。


「こんにちは」

 ティムは、店主の方を向いて言った。

「ビールを四人前下さい。後、何か適当に食べ物を」


「はいよ。じゃあ四十ルーンだよ」


 一行はお金を出し合って代金を支払った。支払い終えると、店主は酒樽の口からブリキのジョッキにビールを注ぎ始める。


 四人分のジョッキをいっぺんにバーの台に置くと、店主は言った。

「じゃあ、席に座って待っててくれ」


「はあい。ありがとう」

 ティムがビールを受け取り席に戻ろうとすると、隣から気味の悪い猫なで声が聞こえてきた。


「ねえ、そこの可愛い子ちゃん。俺と一緒にヘーゼルガルドという名の愛の船に乗りながら、終わらない恋の航路を突き進まないかい?」


 振り向くと、ライアンが先程まで店主と話していた女性客に絡んでいた。しかしその女性客は無言でビールのジョッキに口をつけていて、ライアンの誘い文句に全く反応しようとしていない。


「おい、ライアン。何やってんだよ」

 苦笑いしながら、ティムはライアンの肩に手を乗せた。


 一方ソニアは、白い目でライアンを見て溜息を吐いた。アナベルは細い眉を上下に動かして唖然としているようだった。


 ライアンは首を横にねじって、ティムを流し眼で見た。

「見りゃ分かるだろ。口説いてんだよ。俺のことはいいから、あっち行ってろ」


 ライアンは手で追い払うような仕草をした後、またその女性の方に向き直った。女性の肩に手を回す。

「ほら、ツンツンすんなよ。俺とエルゼリアの夜空を見上げながら星の数だけ愛を囁き・・・ぐおッ!」


 ライアンはうめき声を上げた。その女性がライアンの、あろうことか股間に痛烈な蹴りを入れたのだった。


思わずティムまで顔を歪める。蹴られた股間を押さえながら、ライアンは断末魔の苦痛に口を目いっぱい開き、膝から地面に崩れ落ちた。


「汚ねえ手であたしに触るんじゃねえよ!」

 その女性は毅然とした態度でそう言い放ち、ライアンを睨みつけた。そして興醒めしたのか残りのビールを一気に飲み干すと、無言で酒場から出て行ってしまった。


 すぐさまティムがライアンに近寄る。

「ラ、ライアン、大丈夫か?」


 ライアンは、依然として股間を押さえながら、言葉にならないうめき声を上げていたが、やがて、怒り狂ったような面持ちで叫んだ。

「あ、あのクソアマァー!」


「あっはっはっは!」

 アナベルは、苦しんだり怒ったりしているライアンのことを、指を差して爆笑していた。


「軽々しく知らない女性の体を触った罰ですよ。自業自得です」


 ソニアはあきれ顔でそう言うと、ふと目線を上に上げた。その表情は、何か昔の記憶を探っているかのようだった。


 不思議に思ったティムが聞く。

「ソニア、どうかしたの?」


「うーん・・・」

 ソニアは目を細めた。

「今の女性、昔どこかで見たことがある気がするんです」


「へえ」


「ティムは、心当たりありませんか?」


「うーん、俺は全然知らないなあ」


 そう答えて、ティムは問いかけるようにアナベルを見た。アナベルは頬をリスのように膨らませて、首を横に振ってみせた。


「そうですか。まあ、私の気のせいかもしれないけど」


「ソニアは旅が長いみたいだし、どっかであの人か、あの人に似た人を見かけたんだよ」


 ティムは二人分のジョッキを持ち、片方をソニアの方に突き出した。

「何はともあれ、とりあえず四人で乾杯といくか。ほら、ライアン」


 ティムは、まだ床でのけぞっているライアンを足で小突いた。





 ライアンの今後を祈り、そしてアナベルとの出会いを祝す乾杯を終えると、店員の女性がオートミールを持ってきた。別の客たちが食べているものと同じものだ。


「そういえば、アナベルって今いくつなの?」

 オートミールを食べながら、ティムはもごもごと言う。


「六十五歳」


「へえ、六十五歳かあ。六十・・・」

 ティムは、思わず口に含んでいたオートミールを全て吹き出しそうになる。

「え、本当は?」


 アナベルがきょとんとした顔をする。

「本当だよ。今年で六十五歳」


「いやいや、アナベルよお」

 ライアンも苦笑いを隠せない。

「お前さん、どっからどう見ても十代半ばの女の子だぜ。とても六十過ぎたオバアチャンには見えねえがな」


「ううん、アナベルは嘘は吐いてないですよ」と、ソニア。

「知らないんですか?エルフは私たちハビリスの四倍も寿命が長いんですよ」


「えぇ?! そうなの?!」

 ティムは目を丸くする。それはハグルも教えてくれなかった。


「ああ、そういえばそんな話聞いたことがあるな」

 ライアンは納得したように目を細めた。


「ええと、四倍ってことは、俺たちの年齢観からすれば・・・」


 ティムは思考を巡らせていると、「大体、十六歳くらいですね」と、先にソニアが答えを出した。


「すごいな、アナベル。年の功だな」

 ティムはビールを口に流し込む。


「へへー。すごいでしょお」

 アナベルは得意気な笑みを浮かべると、ピースサインをしてみせた。


 ティムは、自分たち三人は皆十八歳だということをアナベルに伝えた。するとアナベルは、「ハビリスの年齢観では、皆あたしよりお兄さん、お姉さんだね!」と言って、無邪気に笑った。そういうあどけない表情や仕草を見ていると、ますます六十五歳という実感が沸かない。


「あ、そういえば」

 ソニアが思い出したように口を開いた。

「アナベルは、魔法は使えるの?」


「ええっ?」

 アナベルは眉を潜めて、笑った。

「使えるに決まってるじゃん」


「決まってる?」

 ライアンが目をぱちくりさせる。


「ああ、そうかあ。ハビリスの人たちの中には、使えない人もいるんだあ」


「というか、ほとんどの人は使えないよ」

 ティムが苦笑いを浮かべる。

「じゃあ、エルフはみんな使えるの?」


「うん。小さい時から教えてもらえるからね」


「すげえなあ、エルフって」

 ライアンが口をぽかんと開ける。


「パールとの共鳴はできるの?」

 ソニアが聞く。


「うん。できるよ」


「確かパールは、愛を司る神の化身ね。当然色んな魔法が使えると思うけど、パールと共鳴してるってことは得意なのは回復魔法かしら」


「そうだね。軽いケガなら簡単に治せちゃうよ」


「それは助かるなあ」

 ティムが呑気な声を上げる。

「ゴブリンやトロルがうようよしてるもんな。いつか絶対負傷する自信があるよ」


「お前、そういう自信だけはあるよな」

 ライアンが呆れたように笑った。


「あれ、もう無いや」

 ティムはジョッキを口に運んだが、既に空だった。ジョッキを持って立ち上がる。「誰か他に、おかわりする人いる?」


「お、じゃあ」

 ライアンは残ったビールを一気に飲み干すと、ジョッキを突き出した。

「俺にもう一杯よろしく」


「オーケイ」


 ティムがジョッキを受け取ると、アナベルが立ち上がった。


「あ、じゃあ、あたしも行くよ。あたしもおかわりしたいし、お手伝いする」


「ああ、アナベル、ありがとう」

 そう微笑むと、ティムはソニアを見た。

「ソニアは、おかわり大丈夫?」


「あ、うん、大丈夫。ありがとう、ティム」


 二人がテーブルを離れ、その場にはソニアとライアンの二人が残った。


 ふと気がつくと、ライアンが、にやにやと意味深な笑みを浮かべてこちらを見ている。


 ソニアが、苦笑する。

「どうしたんですか、ライアン」


 ライアンはにやにやしたまま言った。

「ソニアちゃん・・・ティムに惚れただろ?」


 それを聞いたソニアは、思わず勢い良く立ち上がってしまった。周囲の客が驚いてソニアを見る。すぐに否定しようと思ったが、上手く言葉が出てこなかった。


 そんなソニアの様子を見て、ライアンはさぞ可笑しそうに、喉を鳴らした。

「くっくっく。そんな焦るこたあねえじゃねえか」


「いえ、べ、別に」

 ソニアは赤面しながら、また席に着いた。

「ただ、あの時はすごく怖かったので、助かって安心しただけです」


「かっかっか。そうかい、そうかい」

 ライアンはまだ笑っている。


 ばつが悪いソニアは、咄嗟に話を反らすことにした。

「ラ、ライアンは、あの時、怖くなかったんですか?」


 ライアンが笑うのを止めて、片眉を上げる。

「怖い?」


「ライアンの意識が戻った時、私たちは縄で木に括りつけられてて、目の前ではティムがあの盗賊たちと一緒に宴会をしてたんですよ。それを見て、裏切られたんだって、自分は殺されちゃうんだって、思わなかったんですか?」


「ああー」

 そう相槌を打った後、突然ライアンは、げらげらと笑い始めた。


 ソニアは怪訝な表情をする。

「どうしたんですか?」


「いや、すまんすまん」

 ライアンはようやく笑いを抑えると、続けた。

「そういう考えには全く至らなかったよ。意識が戻った瞬間、まず俺とソニアちゃんが縛られてることにびっくりして、何があったんだろうとは思ったけどな。ただふと目の前を見たら、ティムが奴らと普通に話していやがるから、こりゃあ良かった、って感じだな」


「良かった?」

 ソニアはますます怪訝な表情になった。


「良かったじゃねえか。捕まって縄で縛られちまった俺たちを、ティムが赤の他人の振りして助けようとしてるんだぜ」


 ソニアははっとした。ライアンは、ティムのことを、微塵たりとも疑ってはいなかったのだ。目の前で敵と楽しそうに宴会をしているティムを見てソニアは絶望感に満ちていた一方、ライアンは、助かる、と心の中で叫んでいたのだ。

 勿論ソニアはライアンとは違って気絶しておらず、ティムの名演技の一部始終を見ていたということもあるだろう。ただそれでも意識が戻った時のあの状況で、ティムに対して何の疑念も抱かなかったというのか。


「な、何で、何でそこまでティムを信じることができたんですか?」


 ライアンは苦笑した。

「おいおい、ソニアちゃん。俺とティムが何年来の付き合いか知らねえのか? こんなちっこいガキの時から一緒に遊んでたんだぜ。あいつは、仲間を見捨てられる奴じゃないってことを、俺は知ってんだよ」


 ソニアがぽかんと口を開けて話を聞いていると、ライアンはこうも付け加えた。


「俺、基本的に向上心の無い奴は嫌いなんだが、あいつは人が好過ぎるんだ。だから、俺はあいつが大好きなんだよ」


 ライアンとソニアでそんな話を繰り広げていると、ティムとアナベルがテーブルに帰ってきた。アナベルは両手にビールのジョッキを、ティムは片手にビールのジョッキ、もう片方の手には皿にのったパイを持っていた。


 ティムは、ジョッキと皿をテーブルに置いた。

「オートミールだけじゃソニアは足りないかなって思って、小タラのパイも持ってきたよ」


「た、足りてるから、大丈夫です」


 しかし結局ソニアは、その大きなパイをほとんど全部一人で食べた。アナベルだけが、驚きの声を上げていた。





 酒場から出た一行は、落ちてきた太陽を見て夕暮れが近づいてきていることを知る。時間が経っても相変わらず、町は静かなものだった。


「さあて。そろそろお城へと向かいますか」

 ティムは腕のストレッチをしながら、誰にともなく呟いた。


「向かいましょー」

 アナベルが笑顔で、片手を天に突き上げる。


「ライアンとも、いよいよお別れだな」


「そうだなあ。早いもんだぜ」

 ライアンはふと感慨に耽った。

「本当にあっという間だったな」


「ライアン、お城の兵隊さんになるんだね。頑張ってね」と、アナベル。


「ああ、頑張るぜ、アナベル」

 ライアンはウインクをした。

「お前とはほとんど一緒に旅ができなくて残念だったが、ティムとソニアを今後ともよろしく頼むぜ」


 アナベルは「ほーい!」と元気の良い返事をした。


「私は一週間だけでしたけど、一緒に旅ができて、楽しかったですよ、ライアン」

 ソニアが微笑む。


「ああ、こちらこそだぜ、ソニアちゃん。魔法教えてくれて、ありがとうな」

 更にライアンは、思い出したように言った。

「あ、そうだ。こいつをティムに渡しておかねえとな」


 ライアンは懐からルビーを取り出し、ティムに差しだした。


 ティムは、人目につかないように素早くそれを受け取ると、袋に閉まった。

「ライアン、本当にもらっていいの? 別に気が変わったなら、俺は理解するよ」


「男に二言は無えよ」

 ライアンは力強くそう言った。

「共鳴できるようになったし、火もボヤ程度なら起こせるようになったけど、これはエルゼリアを救う為にお前が必要なものだ。俺が持っていたって仕方ねえさ。約束通り、お前に託すよ」


 ティムは微笑した。

「分かった。お前の気持ちは無駄にしないよ」


「おう。頼むぜ、ティム」

 ライアンは、今度はティムにもウインクを投げかけた。


「お前こそ、ヘーゼルガルドの為に、エルゼリアの為に、兵士として頑張れよ」


「合点承知の助だ」

 ライアンは胸を張ると、ふっと表情を緩めた。

「ま、この前も言ったが、いつでもヘーゼルガルドに遊びにきてくれていいんだぜ。別に金輪際のお別れじゃねえ。だから、軽い気持ちで、な?」


「ああ。分かってるって。悲しくなんてないさ」


 勿論、それは嘘だった。悲しい気持ちは拭えない。でも実際、お互いエルゼリアの為に闘っていく為のお別れだということを思うと、そこまで悲しくはなかった。


 強い風にあおられながら、勾配のきつい坂をしばらく上り続け、一行はヘーゼルガルド城の前まで来た。ヘーゼルガルド城の城門の付近には、鎖帷子を身にまとったヘーゼルガルドの兵士たちが数人待機していた。


 一行が近づいてくるのに気がつくと、兵士のうちの一人が近寄ってきた。

「何だ、貴様ら。何か用か」


 先頭を歩いていたライアンが何か言おうと口を開いたその時、城門が開いた。そこには、同じように鎖帷子を身にまとった男が立っていた。


「ライアンにティム。待っていたぞ」


 兜で顔が見えにくくなっていたが、フレデリックであることは、声ですぐに分かった。


「フレデリック!」

 ティムが声を上げる。


「しばらく振りだな」

 フレデリックは微笑した。

「君たち、中に入りたまえ。王が奥でお待ちだ」


 ソニアがティムに小声で尋ねる。

「お知り合いなんですか?」


 ティムは頷いた。

「ソニアと会う前にカルディーマでちょっと話したことがあるんだ」


 一行は言われるがままに、城門の前まで歩み寄った。


「おっと。そうだ」

 一行が城の中に入ろうとした時、フレデリックは思い出したように言った。

「訪問者は、城の中に武器は持ち込めないことになっているんだ。悪いが、武器の類は、今ここで私に預けてくれ」


「ああ。構わないよ」

 ティムは頷き、剣とナイフを差し出す。


「私もでしょうか、フレデリック上官」

 ライアンがうやうやしく言う。


「ああ、君もだ。まだ我らがヘーゼルガルド軍の兵になった訳ではないからね」


 ライアンも剣を差し出し、続いてソニアがレイピアを、アナベルがロッドを差し出した。


 武器を回収しながら、フレデリックはティムたちを眺めるように見た。

「どうやら、君たちと会った時から、仲間が二人、増えたようだね」


「うん。こっちがソニアで、こっちがアナベルっていうんだ」

 ティムが二人を紹介する。


「石も前よりも集まったのかい?」


「ああ。今俺たちが持っているのは四つだ。その内一つは、まだ借りてるだけなんだけど」


「何と」

 フレデリックは息を呑んだ。

「この短期間の間に更に二つも見つけるとは」


「偶然が重なっただけさ」

 ティムは、言葉とは裏腹に得意げな顔をしてみせた。





 フレデリックに導かれ、一行は城の中に入った。

 そこは薄暗く、空気はひんやりとしていた。まるで洞窟の中にでも入ったような気分だった。壁に兵士がずらりと並んでいて、その奥に王座がある。そして王座には王冠を被った亜麻色の髪と髭を蓄えた恰幅のいい老人、ヘーゼルガルド王が座っていた。


 そしてその左には、肩まで伸びた同じ亜麻色の髪をしているローブを纏った細身の男が座っていた。また王の右には、仕立ての良い服を着た額の禿げ上がった初老の男が立っていた。


 ローブの男の左には、先程酒場で出会った女性がいた。酒場にいた時とは打って変わって、鎖帷子が全身を包んでいる。彼女は腕を組んで、そしらぬ顔で壁にもたれかかっていた。他の兵士は背筋を伸ばしてぴんと立っているのに対し、彼女は幾分だらしない姿勢だ。


「あっ、あのアマ!」

 ライアンが目を見開いた。目には怒りの色が露になっている。


「さっきのお姉ちゃんだ」

 アナベルが指を指して、目を丸くする。


「ああーっ」

 今度はソニアが突拍子も無い声を上げて、口を手で押さえた。

「思い出した」


 ティムは振り向いた。

「ソニア、どうしたの?」


「あの人、どこかで見た気がするって言いましたよね。私、思い出しました。修道院に居た頃です。あの人、私の言っていた修道院の修道女だったんです。でも彼女は、すぐにやめちゃったんですけど」


「へえ、そうだったのか」


「私、彼女とは話したことがないんだけど、王国の王女だっていうからとても目立ってて、顔を覚えていたんです。でも多分、彼女は私のことは知らないでしょう」


「お、お・・・王女だとォォォ?!」

 ライアンが、顔の穴という穴を全開にした。

「な、何てこったぁ・・・!」


 話し込んでいる一行に、奥に座っている王がにっこりと微笑みかけた。

「ほれ、何をしておる。もっと近くまで来るが良いぞ」


「は、はい」


 ティムは、緊張した面持ちで更に歩み寄る。後ろから一行がそれに続いた。


 王の目の前まで来ると、一行は横一列に並び、王と対面した。


「諸君、ここまでご苦労であった。私がヘーゼルガルドの王、エドマンドである。諸君らのことは既にフレデリックから聞いておるぞ」

 エドマンドは、低音の響いた声で言った。「だが四人か。聞いているのは二人だけだったはずだがな」


「今は四人になりました」

 ティムが答えた。そしてソニアとアナベルの紹介をする。更に石がもう二つ見つかったことも話した。


 ティムの話を聞き終わると、エドマンドは唸った。

「なるほど。更に石を見つけておるのか。さすがジョナスとボヘミアンの息子たちじゃ」


 ティムとライアンは、ぺこりと頭を下げた。


 エドマンドが言う。

「そうだな。それではこちら側の自己紹介もしておくとしよう。まずわしの右にいるこいつは、マルコムという。ヘーゼルガルドの王子、つまり私の息子だ」


「どうぞ、お見知りおきを」

 マルコムが軽く会釈をしてみせる。すらっとした鼻。薄い唇。白い肌。切れ長の瞳は、静かな知性と力強い理性を醸し出していた。


「こいつは、ヘーゼルガルド随一の魔法使いでな。修道院では断トツトップの成績だったのだ。頭も切れるし、冷静沈着。わしの自慢の息子だ」

 エドマンドは、隣りに座るマルコムを見やると顔をほころばせた。


 こんなこそばゆくなるような紹介を受けた後も、マルコムは冷ややかな表情でティムたちを見据えていた。その姿からは、王家の血筋を引く者だけが持つ特別なオーラのようなものが感じられた。


「そして、マルコムの右にいるこいつは、ヘーゼルガルドの王女、わしの娘のシルビアだ」


 紹介を受けたシルビアは、無言でティムたちを見やると頷くように会釈をしてみせた。しかし相変わらず壁にもたれながら、腕を組んだままである。酒場で会った時も無愛想だったが、今はより一層機嫌が悪そうな顔つきだ。眉間に深く皺を寄せ、元々鋭い目つきを更に研ぎ澄ませながら、ティムたちを睨みつけている。


「ティム、あの人恐い・・・」

 小声でアナベルが声を引きつらせる。


 無理もない。一体何がそんなに気に入らないのか知らないが、シルビアが放っている殺気は尋常ではなかった。それ程まで酒場での一件が腹立たしかったのだろうか。


 エドマンドはシルビアを横目で見やると、ばつが悪そうに言った。

「まあ、この通りあまり愛嬌のある娘じゃないが、許してやってくれ」


 愛嬌が無いなんてレベルじゃない。今にも誰かを殺しそうじゃないか!と、ティムは心の中で叫んだ。


 虫の居所の悪そうなシルビアを尻目に、エドマンドは紹介を続ける。

「で、わしの左にいるこの男じゃが、コルニックという。ヘーゼルガルドの大臣だ」


「どうぞ、よろしくお願い致します」

 コルニックは頭を下げた。薄くなった頭皮が露わになる。


「さて、自己紹介はこんなところか」

 エドマンドを大きく息を吐いた。

「それでは、諸君たちの用件の話をしようではないか」


 エドマンドは、まずライアンを見やった。

「ジョナスの息子、ライアンよ。そなたは、わしに仕えたいということだったな」


「はい!」

 ライアンは力強く返事をした。


「ヘーゼルガルドの為に、命を捧げる覚悟はあるか?」


 ライアンは躊躇わなかった。

「あります」


 エドマンドはそのまましばしライアンの目を見つめていたが、にっこりと微笑んだ。

「よし、分かった。そなたは、今晩より叙任式の準備を始めなさい。詳しいことは、そなたの父親から後で説明があるだろう」


「は、はいっ! ありがとうございます」

 ライアンは鉄のように固まりながら、腰を曲げて、頭を下げる。

「それで、父上は今どちらに?」


「今は、警備の為に出払っているが、日没までには戻ってくるはずじゃ」


 ライアンは再度、深々と頭を上げた。


「さて、と」

 エドマンドは、今度はティムに目を向けた。

「次はそなたの番だ。ボヘミアンの息子、ティムよ」


「はい、王様。僕たちは・・・」


 ティムが話し始めてすぐ、エドマンドが口を開いた。

「みなまで言わんでよい。守護神石を探してここに来たのであろう」


 ティムは一つ瞬きをすると微笑した。

「はい、その通りです。王様」


「既に守護神石が四つとは、正直に言って驚いた。これは称賛に値するぞ。素晴らしい。よくぞここまで集めた」


「お褒めに預かり光栄です、王様」


「そう、実に素晴らしい」

 エドマンドは宙を見つめた。

「守護神石・・・。我々を創り出した、偉大なる神々の化身・・・。石の姿とはなってしまっているが、秘める力は計り知れない。持ち主の身体能力を格段に高め、強力な魔法の力まで与えてくれる、偉大な力の石だ。この守護神石こそがエルゼリアに生きる者にとっての宝。そして、ヘーゼルガルドの命運を握る究極の武器だ・・・」


 ティム一行に目を戻すと、エドマンドは続けた。

「神々には悪いが、神々は石のままの方が価値があるのだ。神々が石になっている今、その恩恵を利用しない手は無い」


 ティムは、表情を強張らせた。何か様子がおかしい。


 一行を見据えながら、エドマンドは語気を強めた。

「将来のヘーゼルガルドの栄光の為に、守護神石は重要な存在だ。ヘーゼルガルドは、石を必要としている。ヘーゼルガルド以外に石があってならん。全ての石はヘーゼルガルドが頂くのだ・・・」


 エドマンドがそう言い放った後、王の間に緊迫した沈黙が流れた。

 ティムは、今の状況がいまいち飲み込めないまま、何もできずに硬直していた。


「陛下」

 沈黙を破ったのはライアンだった。声が震えている。

「た、大変お言葉ですが、創造主である神々が石になってしまった今、エルゼリアは危機に瀕しております。魔族により美しい自然は破壊され、民も魔族により迫害を受けています。民の生活も悪くなる一方です。それではヘーゼルガルドの為にはならないのではないでしょうか?」


 エドマンドはライアンに視線を向けた。眉間に皺を寄せる。

「そんなことを、わしが知らんとでも思ったのか?」


 ライアンは、さっと下を向き、地面を睨んだ。


 エドマンドは続ける。

「だがそんなことは何の意味も持たない。力があれば、魔族など恐れるに足りぬ。力こそ全てだ。力があれば、何が来ようと王国を守れる。守護神石を全て持っていれば、ヘーゼルガルドは安泰だ。何人もヘーゼルガルドを陥落させることはできないのだよ。永遠にな」


 ライアンは、頭を軽く下げた。

「軽率な発言でした。申し訳ございません」


「分かれば良い」

 エドマンドは頷くと、ティムたちを見やった。鋭い目つきだった。

「さて、本題に移ろう。お前たちはヘーゼルガルドに協力するか? それとも歯向かうか?」


 ティムはぐっと下唇を噛みしめながら、ポケットの上からサファイアを触った。サファイアは、エドマンドの手に行くことを必死に拒んでいるようにティムは感じた。


 もう一度、エドマンドは聞いた。

「さあ、どうするのだ」


「王様」

 ティムは口を開いた。頭の中は真っ白なのに、勝手に口から言葉が滑り出る。

「この石は、お渡しすることはできません」


 また王の間に沈黙が訪れた。


 やがてエドマンドは、口と鼻から少しずつ息を吐き出しながら呟いた。

「そうか・・・。折角助かる機会を与えてやったというのに。やはりお前はボヘミアンの息子だな」


 ティムが眉を潜める。

「それは、どういう・・・」


「十五年程前、ボヘミアンはヘーゼルガルドに訪れたのだよ。守護神石を探してな。奴は守護神石の一つ、サファイアを持っておった。そして、奴はわしの申し出を断りおった。今のお前と同じようにな」


「ま、まさか」

 ティムは、血の気が抜けて行くのを感じた。


「だがこちらが取り押さえようとすると、奴は魔法を使って、取り囲んでいた兵士たちを吹き飛ばしたのだ。その隙に奴は城を出て、馬に乗り、逃走を図った。こちらもすぐに追いかけたが、結局は見失ってしまったのだ」


「父上は・・・死にました」

 ティムは、呆然とそう言った。


「それも、フレデリックから聞いておる」

 エドマンドは、満足気に笑みを湛えながら頷いた。

「あの間抜けめ。大人しく石を差しだせば、死なずに済んだものを」


 その一言で、ティムは理性を失った。奇声を上げて、エドマンドに飛びかかろうとする。しかし後ろにいたヘーゼルガルド兵に押さえつけられて、身動きが取れなくなった。エドマンドは、その様子を狂気に満ちた目で見つめながら、大声を上げて笑った。


 その隙にソニアは、魔法でこの場をやり過ごそうと咄嗟に手を前に突き出した。

 しかし呪文を唱えようとしたその時、ソニアの体に強烈な悪寒が走った。呪文を唱えようにも口が動かない。

 奇妙な力が向かってくる方へ反射的に目を向けると、そこにはエドマンドの息子、マルコムがいた。マルコムは両手を胸の前に出し、無機質な瞳でソニアを見つめながら、ぼそぼそと呪文を唱えていた。


 ソニアは、シルビアはともかくマルコムのことはしっかり記憶していた。忘れもしない修道女になりたての頃、マルコムは修道院で超優等生として有名だった。成績は一人だけ抜きん出ており、魔法の天才として周囲からちやほやされていたものだ。更に王家の人間ということもあり、相当目立っていた。ただソニアが修道院に入ってしばらくしてマルコムは修道院を去ってしまい、ソニアはシルビアと同様マルコムとも実際に口を聞いたことはなかった。


 ソニアは必死に口を動かそうとするが、口はまるで自分の口ではないかのように固く動かない。マルコムがソニアの魔法を封じ込めているに違いなかった。


 ティムが落ち着きを取り戻し出すと、ヘーゼルガルド兵たちはティムを引っ張り起こし、元々立っていた場所へ突き飛ばした。立ち上がってもティムは、エドマンドを睨みつけている。


 エドマンドがまた口を開く。

「それがお前たちの出した答えなのであれば、仕方あるまい。ライアン!」


 名前を呼ばれたライアンは、さっと顔を上げた。その顔はすっかり青ざめている。


「お前に最初の仕事を与えよう。そこの三人の身柄を捕えるんだ」


 ライアンの表情が一気に引きつる。ゆっくりと首を動かし、横に立っている三人を見た。


 ソニアは、心配そうな表情でおずおずとライアンを見返した。アナベルは口をヘの字に結んで、エドマンドを睨みつけていた。


 思わずライアンは歯を食いしばった。背筋に嫌な汗が滴り落ちるのを感じる。


「ほれ、さっさとやらんか」

 なかなか動かないライアンに、エドマンドは痺れを切らした。

「それとも、ヘーゼルガルドに忠誠を誓えないとでも言い出すか?」


 エドマンドに急かされたライアンは、意を決してティムたちの方へ歩き出した。静寂の中、ライアンの靴音だけが響き渡る。そしてライアンは、エドマンドを睨みつけているティムの肩を掴んだ。


 そこでティムは、ライアンを見た。すると、尋常ではなく険しい面持ちのライアンがティムの目に飛び込んできた。


 ティムは、弱々しく首を振りながら顔を歪めた。

「ライアン、まさかな。まさか、俺のこと、裏切るなんてことは・・・」


 ライアンの表情は変わらなかった。そして肩を掴んでいる手に力を入れると、何も言わずティムの両手を後ろで掴んだ。


「ライアンッ!」

 ティムが途端に暴れ出す。それを見て、周囲にいた兵士が一気に三人を取り押さえた。


 兵士たちに押さえつけられながらも、ティムたちは抵抗し、暴れた。そしてその様子を、ライアンは青ざめた顔で見つめた。


「ライアン! 何でだ! 何でだよ!」

 もがきながら、ティムは悲痛な声で叫んだ。

「お前、正義の味方なんだろ! 何で・・・、何でこんなことになっちゃうんだよ!」


 ライアンは溜まっていた唾をごくりと飲み込むと、冷や汗の吹き出した顔で言い放った。

「すまねえ、ティム。俺にとっての正義は、ヘーゼルガルドなんだ。ヘーゼルガルドは、俺にとっての正義なんだ・・・」


 ライアンの言葉は、ティムに対して言っているというよりも、自分自身に言い聞かせているように聞こえた。


 ティムはもがき続けた。ライアンの言葉の意味が全く理解できないのは、別に自分が興奮しているせいではないと思った。


「あなたは、恥を知るべきだよ!」

 甲高い声が響いた。


 咄嗟に声が聞こえた方を見ると、アナベルが兵士たちに押さえつけられながら、エドマンドを睨みつけていた。

「苦しんでいるのは、他でもないあなたの民でしょ? それを無視して、王国の栄光など有り得ない。ハビリスの指導者として、私たちのエルゼリアを救おうという気は無いの?」


「むう?」

 エドマンドは、眉をひそめてアナベルを凝視した。

「おい、フードを取れ」


 アナベルを押さえていた兵士が、アナベルのフードを取り払った。たちまちアナベルの尖がった耳が露わになる。兵士たちは息を飲んだ。


「くっくっく。なるほど、これは面白い」

 エドマンドは低く喉を鳴らして嘲笑した。

「エルフがハビリスの王国にのこのこと現れるとはなあ。しかも偉そうに説教まで垂れるとは。自分たちの領土すら守れない、下等民族の分際でな」


 すると周囲の兵士たちからも笑い声が沸き起こった。中には蔑みの声を上げる者もいた。


「エルフは下等民族なんかじゃないもん!」

 生々しい差別の言葉をぶつけられても怯むことなく、アナベルは頑としてエドマンドに向かって行った。

「エルフが文明的に、ハビリスに大きく影響を与えてきたのは、ハビリスでもみーんな知ってることじゃん。なのに、ハビリスの指導者が、そんな浅はかな考え方しかできないなんて、恥さらしもいいところだよ!」


「貴様! 王を愚弄するか!」

 兵士長クラスと思われる中堅兵士一人が、いきり立って剣を抜いた。

「そもそも貴様のような薄汚い異民族が、高尚なヘーゼルガルドの領内に入ることなど認めてはおらんのだぞ! 今すぐその忌々しい首をはねてくれるッ!」


「ガーレン、もうよい。下がれ」

 落ち着いたトーンでそう言うと、エドマンドは口元を歪めて笑った。

「まあ急がず行くとしよう。どうやら殺さねばならん輩は貴様だけではないようだからな」


「くそっ、離せ! 離せよ!」

 ティムは必死にもがいた。しかしもがいてももがいても、屈強な兵士たちに押さえつけられているティムは、少しも身動きがとれなかった。


 その様子を満足げに眺めながらエドマンドは言った。

「通告しよう。明日の朝、お前たちの公開処刑を行うことにする。それまでは牢獄で、せいぜい死までの時間を満喫するんだな」


 その言葉に愕然として表情を歪めたのは、ティムたちではなくライアンだった。

「へ、陛下。何も殺すことは・・・」


 するとエドマンドは鋭い視線をライアンによこした。それに気圧されて、ライアンは押し黙る。


 兵士たちが、ティムたちの両腕をがっしりと掴み立ち上がった。ティムたちも、なされるがままに立ち上がる。


 エドマンドが口を開く。

「一応言っておくが、ヘーゼルガルドの牢獄は、我が息子、マルコムの強力な魔力で完全に閉ざされておる。従って、ヘーゼルガルドの牢獄から逃げ出せた者はこれまで一人としていない。脱獄など絶対に不可能だ。無駄な希望は捨てることだな」


「ふざけんな!」

 兵士たちに身柄を拘束されながらも、ティムは喚いた。

「絶対に脱獄して、お前の鼻をあかしてやるからな、マルコム!」


 エドマンドの横にいるマルコムは、青白い唇を歪めて笑った。

 氷のように冷ややか笑みだった。

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