第9話 和解

姫羅が目覚めるとリューンはいつもと変わらず姫羅を抱きしめ寝ていた


「・・・・」


昨日の事もあり姫羅はリューンが怖かった

姫羅はリューンを起こさないように起き上がりリビングに出ると鏡台やら姫羅のために買ってきた荷物を見て約束を破った事に罪悪感を感じるのだった。

朝食を作り終えた頃、不意に視線を感じ振り向くとリューンが居た


「お、お早う御座います・・・」


「お早う・・・」


なんだか気まずい二人、リューンが出かけるときに言うのだった


「分かってるな・・・」


「はい・・・」


出て行くリューン気まずさが一週間続いた頃


「またか・・・」


リューンが外の馬小屋に出て行って暫くしてから戻てくるのだった


「どうしたの・・・」


「馬が暴れていたんだよ・・・」


「馬?」


「ああ、一頭暴れ馬がいてな、なかなか懐いてくれなくてさ・・・」


「そうですか・・・」


「それと・・・」


言いかけたが黙るのだった


「あの・・・」


「なんだ」


「お願いが・・・」


「なんだ」


「貴方に黙って出て行かないから・・・

家の周りだけ出られる様にして欲しいの・・・一日中家の中だけに居ると変になりそうです」


ドキドキしながら言うとリューンは腕を組みながら考えるのだった


「ダメですか・・・?」


「良いだろう・・・家の周りだけだ」


久しぶりに姫羅が笑うとリューンも笑うのだった


「それと鏡台や服有難う・・・」


「ああ・・・」


「あと二つ分からない言葉があるのですが・・・教えてくれませんか?」


「いいよどの言葉だ?」


「はい・・・紙に書いて見たのですが分からなくて」


その紙をリューンに見せる姫羅


「えっ!?あ・・・それはどこから見たんだ?」


「この本からです、難しい言葉ですか?」


「いや・・・その・・・・・・・・」


リューンが大切にしている本だった


本まで読めるとわな・・・。


「本の内容で少しは分かるか?」


「なんとなく・・・でも難しいです」


「この男はその女性が」


言うとリューンは姫羅を優しく抱きしめた


「分かったか・・・?」


「はっ、はい!!」


顔を赤くしながら姫羅は理解したのだった


これは恋愛小説なんだ!?好きと愛してるを男性に聞くなんて私ってバカ・・・


「他には無いか?」


「この国のことやほかの国のことを聞きたいです」


「この世界は東西南北に別れ季節も分かれている」

「東西南北に・・・」


「ああ、ここは北の国凍える国で一年中真冬だ、南は灼熱の国は夏、東は始まりの国は春、西は静寂の国は秋で中心の国はもう滅びたが無の国で春と秋の中間の季節だ」


「そうですか・不思議な世界ですね・・・」


「そうか・・・」


「はい、何もかもが新鮮で・・・」


「でも今感染病が流行っているから当分はこの国の外には出さないぞ」


「はい・・・」


「今日はもう遅い寝るぞ」


「はい」


リューンは姫羅を抱き上げベッドに入る。


やっと笑ってくれた、気不味い雰囲気がいつまで続くのかと思った俺は姫羅が居るだけでいいんだ。

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