第8話 独占欲

此処にきてから何日が経ったのだろう姫羅は不意に外を見ながら思う


「外に出たいな〜」


此処にきてから一歩も外に出た事が無いしでも出るなと言っていたし・・・


外に出るのを諦める昼になりリューンが帰るとキッチンやリビングに姫羅の姿がなく


逃げたのか!?


思ったリューンだがバスルームから出てきた姫羅を見た時にはホッと胸を撫で下ろした


「お帰りなさい早かったですね、食事にしますか?」


「ああ・・・」


な、なんだ〜シャワーを浴びていたのか・・・


安堵したが不意にリューンは思った


鏡台や身の回りの物を買ってこなくてはこのままでは可哀想だな後で買ってくるか・・・


「あ〜君帰りが遅くなるよ」


「はい・・・私の名前は姫羅です」


「姫羅か・・・外には出るな外は危ない」


「はい」


笑顔で見送る姫羅片付けをしながら外を見ると金の鳥が飛んでいた


「はっ!あっ!あの鳥!!」


外に出たいが薄着だし確か・・・


リューンがクローゼットからコートを出すのを見たことがあり探す姫羅はコートを着て外に出たのだった


大丈夫よね少しだから・・・


リューンの約束を破る姫羅、金の鳥を追いかけて行くと遺跡にたどり着いた


確かここらへんにきたわよね?


見渡すと祭壇に鳥が居た


「あの家に帰りたいの」


女神よ・・・


それはかなわない・・・


「私は女神じゃない」


お前は私が選んだ女神だ・・・


「でも・・・」


東の国に行き歌を歌うのだ歓喜の歌を・・・


「えっ!?歓喜の歌を?」


そうだ・・・


東に行くのだ・・・


鳥は消えていった


「はあ・・・帰れないの私」


一体ここはどこなの?


リューンは遅くなると言っていたし少しなら・・・


祭壇の近くに腰掛け大好きな歌を歌いだすのだった


時を忘れて歌っていると・・・


リューンが家に帰ってきてしまた


「ただいいま」


・・・・・・・・・・・・・・・。


静まり返る部屋姫羅の返事が聞こえず荷物を置き部屋を見渡すとどこにも姫羅がいないことに気付いた


「居ない!!

あれほど出るなと言ったのに!!」


怒りが込み上げ握りこぶしを震わるリューン


「どこに行った姫羅!!!!」


足跡が遺跡に続いておりリューンは走り出した


「ハッ!!呼ばれたような・・・

もう帰らなくちゃ」


遺跡あとから出るとリューンと鉢合わせになる


ま、マズイどうしよう・・・


「どうして外に出た!!」


「えっ、あの!?」


訳を言う前にリューンはかなり怒ていたのか姫羅の首を鷲掴みにし持ち上げた


「うっ、くっ!?」


声も出せなくもがく


死んじゃう!!


我に返ったリューンは力をぬき姫羅を抱きしめる


「お前は俺のものだ!俺の側に居ろ誰にも渡さない!!!!」


意識を失いかけている姫羅を担ぎ帰る気が付くとベッドに寝かされていた姫羅


起き上がり辺りを見ると鏡台や身の回りの物を買ってきているのがわかる


彼に悪いことしたんだ・・・


ソファに腰掛けているリューンに姫羅は謝るのだった


「ご、ごめんなさい・・・」


リューンは姫羅を見上げた


「もう何も言うな・・・一度は許す・・・二度はない」


言いながら姫羅の首に自分の手跡が残っているのに気づき


「ごめん・・・我を忘れ君を傷つけた・・・」


薬を塗る為近づくと姫羅が後退りするのだった


私が悪かっのは分かるけどこ、怖い・・・・・・・・・


「薬を塗るだけだよ・・・」


首に薬を塗りスカーフで隠すのだった


「有難う・・・」


「お前が逃げなければ何もしない・・・

もう寝ろ夕食はいらない・・・」


リューンからはお酒の匂いがし姫羅は素直にベッドに横になるのだった

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