灰の少女
● マーシュとコリーナ
GM:
さて、マーシュは恋人コリーナの家がこの近くにあることを知ってます。
てくてく歩き、とうとうマーシュはコリーナの家の前までやってきてしまいました……。
マーシュ:
「さて、このへんだったはずだが……」
「(マリーのことは話しても怒られ話さなくても怒られるだろうなーアハハハハどうするかなー!!)」
冷や汗だらだらで力ない笑みを浮かべつつ。
GM:
マーシュがそんなことを考えているとドアが開きます。ギイィィィ……。
マーシュ:
思わず土下座します。
GM:
コリーナ「……きゃっ、え? え!?」
コリーナ「もしかして……マーシュ!?」
マーシュ:
「すいません、遅くなりました……」(ひれ伏し)
GM:
コリーナ「あ、あんた何年も連絡よこさないで何やってたのよ! あなたがフラフラしてる間に働いて結婚資金とかいろいろ貯めてたんだからね!」
クスクル:
……脱いでいればよかった。
マーシュ:
だから脱ぎません!!!
「す、すまんかった! その、オレも色々あって」(わたわた)
マリー「……なんで土下座してるんですの?」
GM:
コリーナ「ちょっ、何よその女は!? 新しい女連れてきたから別れるってこと!? キィィーブッ●してやる!!!」
マーシュ:
「ヒィッ!?」
GM:
コリーナは家に入って包丁を取り出してきます!
ワイズマン:
ワーオ。
クスクル:
聖なる包丁。
ワイズマン:
ヨルムンガンドを屠りし者を屠りし者。誕生なるか。
GM:
もちろんコリーナの狙いはマリーです。マリーは危機を察知して武器を抜くかもしれません。
マーシュ:
マリー「なんですのこの粗暴な女は?!」 やべーわ修羅場だわ……。
「待て、話せばわかる!!! 話せばわかるはずだ!!」
GM:
コリーナ「な、何よ……じゃあ弁解の時間をあげるわ! 30秒くらいね!」
マーシュ:
「妹みたいなもんで故郷の子だってば! ただの弟子だよ!! 恋愛対象じゃないよ!(ああよかった30秒も話せる!!)」ノンブレス!
GM:
コリーナ「ふうーん? いいわ、信じてあげる。で、横でニヤニヤしてるおっさんは?」
マーシュは後ろから突然声をかけられます。
???「よおマーシュ! ここで待ってりゃ会えると思ったぜ」
ワイズマン:
誰だ!?
マーシュ:
「……え、ま、まさか……おっちゃん?!」
ロリア:
鍛冶屋のおっさん?
ワイズマン:
まさかの!
GM:
そう、片足がない鍛冶屋のおっちゃんです!
マーシュ:
「久しぶりじゃないかー!」とテンションが上がります。
GM:
ダグド「よお、ちゃんと魂が残ってたんだな! 会えて何よりだぜ!」
マーシュ:
「おっちゃんこそ、魂残ってたんだな! へへっ」
GM:
コリーナ「なによ! 何なの!? そんなに顔が広いのアンタ!? キィィー男にまでもてちゃってー!!」
マーシュ:
「待ってそれも誤解だ誤解ですコリーナさん、オレはそっちのケはな――」
GM:
ダグド「ハッハッハ! おまえのアレがうるさいが暇ができたらうちに来いよ、おまえの【ロングブレイド】とか鍛えてやるからよ!」
マーシュ:
「ちょっと!!!! おっちゃん!? 今すごい誤解受けてるから黙ってて?!」
GM:
(あ、そういえば勇者の初期装備は【ショートブレイド】だ)
ダグド「おっとおまえのは【ショートブレイド】だったか? ハッハッハー!」
なんかこれすごくひどい意味に聞こえるぞ!
マーシュ:
誤解は深まるばかりだー!!
ワイズマン:
南無三。
GM:
コリーナ「もうー何なのよーーこの変態どもがー!!!!」 (包丁振り回しながら)
マーシュ:
「違うんですコリーナさま信じてください、オレは一途に……ああっ!?」
GM:
コリーナの叫び声をバックに、シーンは徐々に暗転します……。
マーシュはこのあと、コリーナに散々弁解したあとワイズマンの行き先に向かいましたとさ……。
* * * * * * * * *
● ワイズマンの帰還
GM:
そして最後にワイズマンです。
マーシュと別れたワイズマンは、理術士ハキムの家の前までやってきました。
今度の住まいは火山ではなく、城下町の隅のほうにある住宅街の一角に家がありました。
マーシュ:
おひっこししてるー。
GM:
「10才から始めるフォース塾」みたいな看板が下がっており、どうやら研究の成果をいかしてフォースの先生をやっているようですね。
ワイズマン:
Knock Knock!
GM:
老人の声「どなたかな?」
ワイズマン:
「師よ。再び参上できてこれほどの喜びがあるでしょうか」
GM:
ハキム「おお、ワイズマン君! ……私の知ってるワイズマン君じゃよな? ヨルムン、の後に続くのは?」
ワイズマン:
「ガルツ、間違いありません」
マーシュ:
ガンドー!?
ロリア:
間違ってるー!?
GM:
ハキム「ガルツは黒い騎士の方じゃろがー!」
といいつつ、ハキムはワイズマンとガッチリ握手をかわします。
ハキム「無事じゃったんじゃな、ワイズマン!」
ワイズマン:
「はっはっはー! 師匠こそ相変わらずボケには甘い!」
GM:
ハキム「ほっほっほ。そうそう、わしはここで塾をやっておるんじゃよ、ワイズマン、とりあえず中に入りなさい」
ワイズマン:
「はっ。ではお邪魔いたし……んん?」
GM:
ハキム「見せたいものがおる……といえば、もう分かるかの?」
ワイズマン:
「猫でも飼われましたか、師よ」
「いえ、人のものではない毛が少々。探偵の基本ですよ」
GM:
ハキム「うーん惜しい、それはたぶん獣人の生徒の毛じゃ……」
マーシュ:
そう、なんとそれはゴーストドッグさんで……。
クスクル:
空気を読まないゴーストドッグさん。
GM:
が、ワイズマンは毛とは別に、【生命探知】にものすごく懐かしい存在をキャッチします!
以前同じ対象に使った【生命探知】はあなたに絶望感しか与えませんでしたが、今は違います。
声を聞きつけて、ワイズマンが探知した生命体が二階から降りてきます。ワイズマンの目の前に現れたのは……。
ロリア:
老婆「ワシじゃよ」
ワイズマン:
心の絆:ババア
マーシュ:
心の絆(盛大に吹き出しながら)
GM:
感動の再会すぎて涙が出るけど違いますー!!
二階から降りてきたのは……なんと、ケモ耳しっぽが生えていないシースでした!
ワイズマン:
「ああ……やはり勘違いなどでは……」
GM:
シースはワイズマンを見て一瞬戸惑いましたが、一息吸って、笑顔で言いました。
シース「……おかえりなさい、お父さん」
それは、ワイズマンが念話以外で初めて聞いたシースの声でした。
クスクル:
そういえばシースって喋れなかったもんねぇ~。
マーシュ:
シースよかったね……良かったね……!!
そうか、半ケモにならなかったおかげで迫害もされてないのか……!
ワイズマン:
「師よ、これはまやかしでも私を試しているわけでもないのですね? 信じられない。シースの魂はあのとき確かに……」
「シースよ、“あの”お前なのだな……?」
GM:
シース「ロリアさんに魂を分けたときはちょっと危なかったですけれど……お父さんのことを思い出したら、帰る場所が分かったんです」
シース「……そんな経緯のシースです、ご満足ですか?」といってシースはふふっと笑います。
ワイズマン:
シースからちょっと顔が見えにくいように上を向いて歩み寄り、抱きしめましょう。
いまの涙もろもろの情けない顔は娘に見せたくないですからね。
GM:
シース「私もずっとこうしたいと思ってました! “お父さん”!」
シースもワイズマンに抱きつきます! ハキム師がニコニコして見守っています。
ワイズマン:
しゃべろうとすると嗚咽が出そうなので、黙ったままシースの背中を撫でるのでした。
マーシュ:
(いやあ……実にいいですね……)
クスクル:
(ケモ耳しっぽがないなんてタクーシが納得しないと思うよ。実に残念)
ロリア:
(半獣の姿を保ったの無駄になったぞ!!!!)
マーシュ:
(ろ、ロリアさんは泣いていいよ!!)
GM:
(いやー描写中に気付いたけどこの世界情勢だとロリア以外ケモ耳になれないもん!)
ワイズマン:
(全獣人ならいるはずだ! 世界に希望は残っているぞ!)
GM:
さて、ワイズマンさん、なにかシースと話したいことなどはありますか?
このシーンが終わると、話を聞きつけた他のPCが家に攻め込んできて団欒(だんらん)どころではなくなります。
ワイズマン:
少し落ち着いたズマン。
「シースよ、今まで放りっぱなしで本当にすまなかったな。これからは欠けてしまった時間を取り返していこう」
GM:
シース「それじゃあお父さん……私、ピクニックに行ってみたいんです! 早速明日にでも!」
シース「あ、でも服を何とかしないと変かも……」 ※もちろんお父さんの服の方です。
ワイズマン:
「いいだろう! ピクニックでもクリニックでもどこにでも連れていってやろう!」
ロリア:
クリニック。
GM:
シース「はい、ありがとうお父さん! っていきなり病院ですかー!?」
ワイズマン:
「おいしいものを食べて、ゆっくり過ごし、そして平和を楽しもうじゃないか!」
GM:
シース「はい!」
* * * * * * * * *
GM:
ではその頃……ロリアとクスクルのもとに、怪盗みたいな格好のおじさんが歩いてたという通報が入ります!
マーシュ:
通報。
ロリア:
通報される見た目なんだ……。
マーシュ:
それに疑問視をしていなかったかつてのマリーと今のマーシュどうなの……。
ワイズマン:
ズマンが元いた領地の服飾文化があまりナウくなかったんでしょう。かわいそう。
GM:
まあ通報というか、軽いヒソヒソ話レベルでしょうけどね。
ロリアさんって非番でも街のお気軽な交番的な扱いを受けてそうなので、そういう軽い噂も入ってきます、はい。
ロリア:
「そんな姿で昼間から出歩くおじさんって、まさか……」
GM:
そして合流予定だったマーシュもワイズマンのもとにやってきます、で合流していいですよ!
マーシュ:
「助けてくれコリーナに殺される!!(シースが見つかっただって?! よかったな!!)」
バーン!! と派手に入ってきます。
GM:
ロリアさんとクスクルさんもどうぞ!
ロリア:
「ごめんくださーい、ここに怪盗姿の怪しい人がいるって話を聞きましてー」
クスクル:
「めでてぇ時は酒だ、酒ー、こっちは迎え酒だー、どりゃー」
GM:
クスクルまた飲んでる!
ハキム「おや、今日は客が多い1日じゃのう、最初のあの日を思い出すわい」
マーシュ:
「……シース、本当にシースなんだな……!」
GM:
シース「マーシュさん! ロリアさんにクスクルさんまで……!」
ロリア:
「……ッ!? シース……さん?」
GM:
シース「よかった……ロリアさん、無事だったんですね……どうなったか分からなくて……」
ロリア:
「良かった、本当に良かった……!」
若干涙ぐんでます。
GM:
シース「……はい!」 シースは精一杯の笑顔でこたえます!
マーシュ:
「え……ロリア?! それにクスクルまで!」
ロリア:
「マーシュさん!? ワイズマンさんまで!」
ワイズマン:
「その声は……忘れもしない! ロリア嬢! クスクル君! いやクスクル君はどうした!?」※ケモノじゃないのかという意味で
マーシュ:
マリー「……みんなお友達なんですの?」
「うん、ちょっと、昔ね」
ロリア:
「そちらは……ローズマリー、さん?」
見た目は小さくなったマリーさんって認識でいいんですよね。
マーシュ:
「あー、その、なんだ。みんなと旅したのはオレのほうでさ……」とロリアに説明。
ロリア:
「……なるほど」
GM:
シース「ローズマリーさん、ここにいる皆さんはね、世界と多くの人々を救ったんです。ね?」
マーシュ:
マリー「へ、へー……? よく存じませんけど、やはり師匠はすごい人なのですわね!」
ロリア:
「しかしまさか、みんな記憶を持ったまま同じ世界に戻るなんて……」
ワイズマン:
「フッ、フッハッハッハ!!」
クスクル:
「よーし、再会を祝して朝まで飲むぞーーー」
ワイズマン:
「うむ、マーシュ! 酒屋からエールとワインをありったけ買ってきてくれたまえ!」
マーシュ:
「い、いま外に出るのかっ!? オレに死ねというのか?! (コリーナに)見つかる!!」
ワイズマン:
「なんだね。いやなら構わんぞ。そうなったら我輩は“勇者様”がどんな戦い方をしていたのかを克明に語り継ぐだけだ」
マーシュ:
マリー「えーなにそれ聞きたいききたいですわー!」
ワイズマン:
「理術士にして詩人ワイズマンの仕事はこれからだ! ワーッハッハッハッハ!」
GM:
ああ、【ゼヌーラ】の件が脅迫に使われてる……! これはマーシュさん一生下僕ですわ……。
マーシュ:
「……すいません、いってきます、いきますよ畜生! マリーやみんなはここにいていいから! あと話さなくていいから! というわけでこの子は頼むよ」
「(コリーナからつい逃げてしまったけどなんて言い訳しよう……)」と冷や汗ダラダラしながらお金預かって出ていきます。
クスクル:
「1ばーん、くすくる、まーしゅがたたかってたばめんの、ものまねしまーす」(ぬぎっ)
GM:
ではそんな感じで、シーンは外へ移ります……。
* * * * * * * * *
GM:
さて、マーシュが家から出ていく姿を、陰から見ている人がいました。
マーシュ:
ま、まさか(ガタガタガタ)。
ワイズマン:
マーシュさん刺されてまう……。
ロリア:
ゲームオーバーイベントかな?
GM:
見てたのはコリーナじゃないです!
そしてマーシュさんはそのまま走り抜けてOKです!
マーシュ:
セェーフ!!!
GM:
さて、隣の家の屋根の上から、1つの魂が皆さんの楽しそうな様子を眺めています。それは、妖精イーリスの魂でした。
イーリス「私のいない世界になっちゃってちょっと寂しいけど……きっと、これでいいんだよね」
イーリス「……みんな、楽しそうでよかった……これが、私たちの守った世界なんだ……」
クスクル:
(んー、それはちょっと寂しいなぁ……)
GM:
※マーシュさんは何もいない空間に振り向いたりしてもいいんですよ。
マーシュ:
「(神様仏様精霊様、どうか道中見つかりませんように!!)」
と走りぬけようとしたとき、何かの視線を感じた気がして、ふとそちらのほうを見てみます。
GM:
イーリスの魂はマーシュに手を振りますが、マーシュには見えません。
マーシュ:
「ん……気のせいかな?」と、そのまま走り去ります。
GM:
イーリス「それじゃ……また、別の世界で会おうね、みんな……」
イーリスは皆さんの様子を見て安心した顔になり、そして別の世界へと飛び立っていきました……。
マーシュ:
イーリス、ばいばい……寂しい。
クスクル:
成仏しちゃった?
GM:
イーリスは『闇』が生まれなかった世界には作られていないからね……。
マーシュ:
レインも生きてますしね……。
ワイズマン:
「……ん? いまなにか聞こえたかね?」
GM:
シースも何となく窓の外を見ますが……そこには何も見えません。
シース「……さようなら、ずっと見守ってくれた人……」
ロリア:
「? シースさん、どうかしましたか?」
GM:
シース「……ううん、何でもありません。さあ、今からパーティーの準備ですよ!」
クスクル:
シースがふと窓の外を見ると、そこには口から七色の吐しゃ物を漏らしているクスクルがいたりしますか? しませんでした。
GM:
そんなもの見えてもシースはコメントしません。
さて、こうして、ハキムの講義室でパーティーの準備が始まります!
ワイズマン:
塾を会場にして叩きだされるかと思ったらそんなことはありませんでした。
ロリア:
そして画面が絵画状になって一枚絵のパステルカラーに。
GM:
そうそうそんな感じで。
ロリア:
隅にFin。
マーシュ:
「酒ありったけ、もてるだけ買ってきたぞー」(重量4)
ワイズマン:
ああ、あと少し遅かったら一枚絵の上の方に窓付きでマーシュさんの笑顔が浮かんでるところでしたよ。
マーシュ:
完全に死んだ扱いだー?!
ワイズマン:
「よーし、酒の次は【サボテンの肉】と【動物の肉】と【枯れた草】と【焦げた草】を買い込んでくるのだ! 行けマーシュよ!!」
(※【枯れた草】と【焦げた草】はエラッタで購入不能になりました)
マーシュ:
「それパーティにするメニューの内容か?! なぁ!? それがパーティになるの旅の途中だけだぞ?!」
ワイズマン:
みんなはゲテモノだっていうけど、我々からしたらごちそうなんですよ。サボテン以下諸々は!
GM:
はーいそろそろ締めに入りますよー。
ということで、一度は離ればなれになったように思えた皆さんでしたが、何の因果か再びこうして集まることができ、しばし楽しい思い出話に花を咲かせましたとさ……。
-エピローグ-
こうしてヨルムンガンドとの戦いは、勇者たちとそれに関わった一部の人々だけの、知られざる伝説となりました。
ヨルムンガンドと戦った絆の仲間たちは、今は同じこの世界に集い、穏やかに暮らしています。
しかしまたいつか、再び世界の危機がおとずれるかもしれません。そうなったとき、皆さんはまた集い、そして脅威に立ち向かうのでしょう……。
そして私もまた、第2の人生を送っています。明日は、お父さんとピクニックに行くことになりました。そんな夢が叶ったのも、勇者たち皆さんのおかげです。本当にありがとうございます、勇者の皆さん……。
楽しみで今夜は眠れるか分かりませんけれど……それでは皆さん、おやすみなさい……。
片道勇者TRPGリプレイ 『灰の少女とヨルムンガンド』 - 完 -
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