いっぷく

凸助

第1話 よしだとさたけ




7月 -某高校・校舎裏-

12時35分


「 ……。」


「 ……。」


パキッ…


ふーふー、ズズッズズズ…


「 ……。」


「さっきのアレなに?」


ピクッ


ケホッ…ウ ヴン…ふーふー、ズズッ


「な、なにが?」 もぐもぐ


「いやなにがじゃなくてさっ」


「 ……。」 ふーふー…ズズッ


「 ……。」


「よしざわ」 ボソッ


ブッ…ケホッケホッ…かはっ、ふ…ふー


「いや、ふーふーするなて」


「えっ、なにが?」


「いや、なにがじゃねーし、完全に今動揺したやんけ。二回もむせてるし明らさまじゃんよ」


「あ、違う違うこのカップ麺が熱かっただけ」


「うっそっだっろ、まだシラを切るか?てか普通にさっき売店のとこで吉沢さんからなんか手紙貰ってたじゃん?

僕、君の横でふつーに見てたんですけどおおお」


「 ……。」


「やっぱ豚骨にすれば良かったなあ」ボソッ


「いや待て、マジもう無理だから。もう無理があり過ぎるから、もう俺、吉沢さんからの手紙を大事そうに胸ポケットにびっくりする程のにやけ面でそっと収納してるお前見ちゃってるし、真横で」


「ああ、あれ?」


「ああ、あれ?!ああ、あれと来ましたか。とぼけるのが下手過ぎてムズムズしてきたわ…」


「俺ムヒ持ってるよ」


「いらねーーよーー‼︎今世紀最大にいらねーよ、いやだからお前さっき吉沢さんから手紙貰ってただろ?お互いなんか頬を染めちゃったりなんかして、一瞬なんか2人だけの世界作っちゃってただろ⁈俺はもう真横に居たからさ、真横に。もうなんならちょっとお前らだけの世界に誤って片足入っちゃってたかもしんねーな。

うん、入っちゃってたかもな、俺の右足だけメルヘンだよどーすんだよ!

てか何で高校生がムヒ何て持ち歩いてんだよ、馬鹿かよ」


「しゃ…しゃべるねえ…」


「うっせ、ばーか死ね‼︎」 バクバクッ


「おっ、怒ってる?」


「 ……。」 バクバクッ


「…ごめん、俺、実はあけみちゃんと」


ピクッ

「ちょっ、ちょい待て。いや、うん…わかった。もうわかったから」


「いや、よくねーよ、俺実はあけみちゃんと付きあ」


「ちょちょちょーい、ちょい、ちょうい。とりあえずあけみちゃんって呼ぶのやめようか、ね?とりあえず吉沢さんに切り替えよう。ね」


「っえ、なんでだよ。あけみちゃんは、あけみ」


「佐武よお…」


「 …?」


「俺さぁ…吉沢さんのこと、ずっと好きだったんだよお…」

うぐっ ぐすっ


「えっ、う…嘘だろ…」


「マジだよー、もおマジ中のマジだよー…

あけみちゃんかー、いいねえ…ん呼びてえー」


「いや、マジごめん!俺なんも知らなくて!知ってたら絶対に」


「どっちだよー…」号泣中


「えっ?」


「どっちから告白したんだよー…」号泣中


「あけっ…いや、吉沢…さんからだけど」


「 ……… 」 号泣中


「マジ、ごめんな。本当ごめん!俺にとって吉田は大事な親友だからさ、いやこれ真面目に」


「だっ…だっせーこと言ってんじゃねーよ、ばっ、バカじゃねーの?

お、俺は大丈夫だからさ、ちょっと動揺しただけだし!吉沢さんのこと、大事にしろよな!浮気なんかしたらよ、フルボッコだかんな!」

- 精一杯強がり中-


「よ…吉田ぁ。」感激中


「ほれ、麺が伸びちまうぞっ、食べろ食べろ」


「お、そうだな。」


「 ……。」 ズズッズズッ


「 ……。」 バグッハグハグ









(あけみちゃんかあ…いいなあああ)



……………………………ぺしっ。


「やっぱムヒ貸して」


「はいよ」







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