DreamStory
葵あゆみ
第1話 出逢い
8月。
澄み切った青空、涼しい風が窓から入ってくる。窓側に座っていた男子高校生は外を眺めている。いまは夏期講習をしているみたいだ。男子高校生の名前は奏汰(かなた)。ここの学校に通う高校2年生。頭が悪くはないが家にいても暇という理由で夏期講習に参加している。
キーンコーンカーンコーン、、
夏期講習終了のチャイムが鳴り、周りの生徒が帰る準備をし始める。奏汰も帰る準備をし始め、ふと廊下をみると、見慣れない女子が廊下を歩いていた。その女子は長い黒髪で色白な女子。奏汰には輝いて見えた。
「見たことない子だな・・。」
帰りの準備を手早くすませ、奏汰は女子を探すために教室にでた。廊下には夏期講習から帰る人や教室の前で雑談をしている女子たち、奏汰がみた女子の姿はもうそこにはいなかった。不思議に思った奏汰だったが、深く考えることはなかった。
夏休みのため、まっすぐ家に帰ってきた奏汰はリビングにきた。
「ただいまー。」
ガチャッとドアを開けながら言うと、キッチンにいた奏汰の母の、「おかえりー。」の言葉が聞こえてくる。奏汰はカバンをソファーに置き、洗面所に向かう。
手を洗い、うがいを済ませリビングに帰ってくると、テーブルには夕飯のハンバーグが置かれていた。
「今日は奏汰の好きなハンバーグね。」
「やった!ありがとう母さん。」
奏汰は「いただきまーす!」と言ってハンバーグを食べ始める。
数時間後、夕飯を済ませた奏汰は自室にきた。寝巻きに着替え、ベッドに横になる。ふと、学校でみた女子を思い出した。
「あの子、、どこのクラスの子だろう。」
枕元に置いてあるスマホを取り、友人の彰人(あきひと)に聞いてみることにした。彰人は女子のことならなんでも知っている。どこから情報を仕入れてるのかわからないぐらいの物知り。というよりただの女好き。ただ奏汰とは話が合う友人の一人だ。女子の話題を振るとすぐ返信が返ってくるそんなやつだ。奏汰は今日みた女子の特徴を書き込み、返信を待つ。するとすぐに返信が返ってきた。
「・・・え?」
彰人からのメールの返信が早いのは訳があった。『そんな女子いたか?俺の目の記憶にはそんな可愛い子があの学校にいるなんて!その話ぜひ聞かせてくれ!』という内容だった。
「確かに制服を着ていた、、けど同学年じゃないってことかな、、。」
奏汰は『同学年ではないのかな』とメールしてみたが、『全学年チェックしてる俺にもわからん。調べてみようか?』ときた。
「あきにもわからないのかよ。」
奏汰は彰人と数十分メールしたが、結局わからなかった。夜が更け、ベッドに横になった。奏汰は女子のことが気になるが、だんだんと瞼が落ちていった。
【・・・て・・・・・助けて・・・】
遠くから声が聞こえて来る。ここは奏汰の夢の中。暗い暗い空間に奏汰は客観的に空間を彷徨い、意識がないはずだった・・。
「ん・・。」
奏汰はふと目が覚めた。枕元に置いてあるはずのスマホを取ろうと手で探る。だが、どこにもスマホの感覚はない。寝返りをしてスマホを探そうとすると、そこにはスマホがなく、、と同時に奏汰の目の前には、、
「ここどこだよ、、。」
ちゃんと目を見開き周りを見渡すとそこには草原が広がっていた。誰もいない奏汰しかいない場所。スクッと立ち上がり、改めて周りをみると、遠くに街があるようだった。
「俺は、、自分の部屋で寝たはずだよな、、ここはどこだ、、。」
周りを見渡しながらとりあえず奏汰は街を目指すことにした。遠くに見えた街はしばらく歩くと近くに見えてきて、城門のような場所にたどり着く。ここが入り口のようだ。入り口には奏汰の世界にはいないような甲冑をきた人が2人、門を挟むように立っている。奏汰からみて左側の人が、
「ようこそ。旅の人かい?宿舎は入って右側だよ。」
と話しかけてくれた。奏汰はほっと胸を撫で下ろし、街へ入っていく。街は活気が溢れており賑やかな街だった。門にいた人が言った通り、右側に宿舎らしき建物がある。ふと、建物の壁にチラシが貼ってあるのが見えた。奏汰はチラシのある方へ駆け寄り、よく見てみると、
「この子は、、。」
チラシに載っていたのは奏汰が学校でみた女子によく似た女の子だった。さらにチラシの文字も日本語ではなかった。だが、話している言葉はなぜか奏汰にはわかった。すると宿舎からエプロンをきたおばさんがでてきた。
「あ、すみません!」
奏汰は呼びかけると、おばさんが奏汰に気がついた。
「あら、旅の人かい?なにか聞きたいことでもあるのかい?」
「ここは、どこですか?」
「ここかい?ここはアルストロ。国王ローディア様が治められる国だよ。ここは城下町さ。」
「アルストロ、、??」
DreamStory 葵あゆみ @AoiAyumi
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