ごくごく自然な家庭で育てられた少女の手記

加賀山かがり

はしがき――

 気づけば、わたしは一人でした。

 ともだちは、います。

 お父さんもお母さんも、います。

 だけど、わたしは一人でした。

 こわいんです。わたしは、こわい。

 お母さんが、こわいです。お父さんが、こわいです。

 お母さんとお父さんはときどき、わたしのことをないしょ話しています。

 それが、こわいんです。たまらなくこわいんです。


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