第4-3話 多くのKDP作家が、ここにきて活動を小休止しているのは…。

 やはり作品を10位、上梓して、どこからも出版社からお声がかからない現状をWEB作家は嘆いているのだと思います。


 趣味で創作の場に携わっている人が感じないプロへの茨の道についても、いい加減、自分の能力を思い知るというべきか、もっと言えば、仮に出版社経由で電子書籍や紙本を出版しても、先発隊のしき事例から結果が見えてしまい、先行き不透明で光を失ってしまう、悪循環に陥っている。


 芥川賞にしても、20年、30年、小説を書き続けて、ようやく念願の夢を手に入れる作家も大勢いますので、物事を短絡的に考える必要はないように思いますが、現状がことのほか厳しいことは言うまでもありません。


 今の電子書籍界隈は、夜明け前の一寸先は闇の状況に例えられ、玉石混淆ぎょくせきこんこう、暗闇の中での暗中模索、視界ゼロの恐怖を伴っているようにも映ります。


 多くのKDP作家が、ここにきて出版を休止し、筆を折る道を選んだのは、ある意味、仕方がないことのようにも思えます。


 それにしても、紙本化した先発隊、ここにきて完全に勢いを失っていますね。今までの既存のやり方、流行のジャンル、過去に、はやったやり方では、完全に通用しない時代が訪れたのかもしれません。


 時代が求めているのは、ニューカマーの到来で…。

 既存の既得権益を飛び越えた、ニュー・ヒーローの到来を待ちわびている傾向が強いのかもしれません。


 人に例えるなら、時代に閉塞感がある中で、救世主のように、ある日、ポッと世に出た、宇多田ヒカル。マライア・キャリー。ホイットニー・ヒューストンのような、はたまた創作部門での、ブルゾンちえみのような、規格外の作家の存在が待ち望まれるのかもしれない。


 日本の小説界隈で言うなら、シドニー・シェルダン、片岡義男、赤川次郎。ダブル村上、サラダ記念日の俵万智、なんとなくクリスタルの田中康夫、父親が詩人の吉本隆明を親に持つ、吉本ばなな、最近では、蹴りたい背中の綿矢りさ、蛇にピアスの金原ひとみ、苦役列車の西村賢太、共喰いの田中慎弥、火花の又吉 直樹…など。

 

 いつの時代も、ヒーロー、ヒロインには事欠かないのが文壇の強みだ。それにしても数え上げればキリがなく、 まさに枚挙にいとまがないとは、このことではないでしょうか?


 多くのKDP作家、アーリーアダプタと呼ばれる作家陣は、すでに作品を多数、この世に問うてきましたので、それなりの自分への評価も知っていますし、得られた対価、果実としての費用対効果を既になんらかの形で得ています。あまりここで体力を消費したくないというのもあるのでしょう。


 作品を20も30も、はたまた50作品も未来のない電子書籍に上梓して、ここでアイデアを枯渇させてしまうより、体力温存、インプットへの道を模索し始めたのかもしれません


 電子書籍界隈から紙本化へのトレンドは、時代に逆行していて、もはや時代遅れの傾向が強いと一部では揶揄されますが、プロの物書きを目指す以上、誰もが夢見るウィニング・ロードとして、避けて通れない道であることは確かです。


 以前にも増して紙本化への道は針の穴ほどにも狭くなってしまい、小説家新人賞の道も競争激化させていますが、これに懲りず、時代に左右されることなく、前を向いて執筆活動に専念したいと思います。


 階段を2段飛ばしして登り続けることは非常に体力を消耗しますし、ましてやシンデレラのようなサクセスストーリを夢見て過ごすほど、自分は若くもありません。


 誰かが、意気消沈した出版業界に風穴を開けるべく立ち上がり、救世主とならん限り、出版不況への終わりなき道は、永遠に続くのでしょうか? 不況の波は、着実にWEB作家の内臓を喰い散らかし、WEB作家の体力を奪う暴挙に出ているように見えますね。

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