第22話 闘

シュッ シュッ


剣聖が剣を振るたびに空気が切れる音がする。だがその音は決して大きなものではない。それだけ精錬されているのだろう。


俺は防御魔法を展開し続け、なんとか凌ぐ


「オラァ!!」


剣聖渾身の一撃が迫る


上級防御魔法ハイ・シールドッッ!」


時間があまりにも少ないので神級絶対防壁アルティメットシールド・ゴッドを使うことができない。せめて上級防御魔法ハイ・シールドで受け流す。


「ああああああああ」


痛い。受け流したが、右肩に穴が開いてしまった。

だが、何とか一矢報いたい。


「まだいくぞ」


魔力が減ってきて倦怠感に包まれるが、防御魔法を張りながら、攻撃魔法を紡ぐ。

そんなに魔力が残ってないから大したものではないが。


「しぶといな。守るだけじゃ勝てんぞ」


返す言葉もない。


「剣聖流上段切りッ!!」

聖剣が高速で通過することより、空気との摩擦で火が付く。が、俺の目はそれをとらえるほどよくできているわけではない。


相手が剣を振りかざす直前に一歩下がる。


「なんだ?」


今まで動かずに防御魔法を展開していたやつが突然動いたのだ。そりゃぁ動揺もするだろう。


隙だらけですよ。


攻撃を放った剣聖は大きく剣を振った状態。その隙は刹那にも満たないだろう。


氷之槍アイススピアー


遠距離攻撃。とっさに距離を取った剣聖もこればっかりは避けられない。


「俺に魔法攻撃は効かん……?」


狙ったのは足元。だが、俺にネタ晴らしをする余裕はない。

枯渇しそうな魔力を込めて


暗黒剣創造ダークソードメイキング


聖剣ハールンヴェルトには大きな弱点がある。それは魔属性の攻撃が軽減できないことだ。


俺が魔法を唱えた瞬間剣聖に大きな焦りの表情が浮かぶ。


「くっそ、足元が動かない。」


それなりに魔力を練りあげたものだ。そう簡単に外れては困る。


「フン」


中段構えで振る。中学から練習した技だ。



「ぐぉ」


剣聖の腹に攻撃が通る


「はぁ、はぁ」


俺はもう満身創痍だ。だが、これで……


うん?剣聖が氷を外している?いや、もう外れているのか?

するとゆっくりと歩んできて、、

こちらまであと四十メートル程のところで


「危なかった。くらえ」


俺はそこで意識がなくなり……

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