第13話 旅立ち

 「少年は満ちたりていた。学問はできるし、運動もそこそこできる。そして、金銭的にも余裕があった。 だが、少年は虚しかった。これまでの人生すべてが空虚に感じられる。なぜなら、少年には周りに合わせて生きていくしか能がなかったからだ。そんな時、闇を振り払うように現れた彼こそが、彼の人生に彩を与えた。それはほんのわずかな希望を提示したに過ぎない。だが、少年の目には希望の塊に移ったことだろう。……」



「ひっぐ、え、っぐ……我が、主、そんなに悲しい過去を、お持ちとは」


朝、食堂に行くと堕天使アザゼルが、ギランドの話を聞いて泣いている。

堕天使が泣かされるとはなかなかない光景だ。


「し、失礼、取り乱しました。出発しましょう。」

「ああ。」


今日、魔王軍の幹部を討伐しに行く。


「み、皆さーん装備とかはいいんですか?」


山本が問う。

「装備は旅の途中で自分に合ったものを見つけるのが一番だろう」

「愚問」

「主の意のままに」



「だからってTシャツ一枚っていうのは……」


「いいから行くぞ!」

「はいっ」


俺たちは馬車に乗る

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「馬車というのは、遅いし、揺れるし、不便なものでございますねぇ」

「お前は飛べるからな」


確かに揺れる。そして思ったより遅い。だが、俺は馬車にこだわる。その心は


「なぁ、禁術セイントダークマジックマスターりし者、冒険者っぽくて燃えるぜ」


こういうことだ。


「主、後、一週間はかかりますよ?」

「そうですよ、転移魔法で行きましょう」


「「だが断る!!」」


使い道は間違っているような気がするが、声はピッタリそろっていた。


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「宿場町が見えてきました!今日はあそこに泊まりましょう」


「おう。」


宿、その宿は日本の旅館を思い出させるような……あれ?日本語で書いてある?


「なぁ、アザゼル?ここって日本?」

そんなはずはない。だが、懐かしみを感じて一抹の期待を込めて問う


「よくご存じですね!第一次大戦よりもさらに2000年ほど前でしょうか?ここにはにっほんという国があったはずです」


にっほんとかいろいろ違うが、ここには俺たちと同じような異世界から来たやつがいるかもしれない。滞在の価値はある



「おい、見ろよ、、」


ギランドさん、それは……


「ジャパニーズトラディショナル、、フィギュアだ!!!!!」


「うおおおおおおおおおお」


「ど、どうされました?大丈夫ですかッ!?」


「あー、この人たち、ダメな気がするー」

______________________________________



「では、転移いたしますのでよく捕まっておいてください」


「「「はーい」」」


結局転移することにした。だってご神体フィギュアは手に入れたし


「いきますよー、転移魔法テレポートッ」


「「「うあああああ」」」



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