第9話 旧友

「さすが我が主、魔王ダファルを目にしてもあの態度を保てるとは」

内心焦っていた。

「あ、ああ。当然だ」

目をキラキラさせながらアザゼルが見る。

「やっぱりすごいです!」

「ああ、、」

嘘は得意じゃない。

「なんだか元気ないですね。」

「そ、そうか?」

……いつばれるかな?

______________________________________


魔王ダファルと戦っておよそ一週間がたつ。その様子を記録した魔法カメラ(この世界の監視カメラのようなもの)の映像により、俺の存在は広く知られるようになっていた。

「それで?どうしたのですか?」

ある少女は興味津々に状況を問い、

「魔法の属性は?」

ある政府高官は弱点を聞き出そうとし、

「すごいです!!」

ある堕天使アザゼルは褒めたたえた。


そして、

「まったくお前はすごいな。」

目の前にいたのは……


「……悪魔使ギランド??なのか?」

「ああ、しばらくぶりだな。」


≪悪魔使ギランド、俺の中学の友人≫


「どうしてここに?」

「お前の机の中のノートにあった特異点に行ったのさ。安心しろ、あれは処分してある。」


隣で会話についていけずにいた堕天使アザゼルが動き出す。


「何者?敵ではないようだけど。」

「ああ、こいつはな……」


と、俺が紹介するよりも早く、


「ふはははは、我の名は悪魔使ギランドだ。汝、名は?」

「堕天使アザゼルです。我が主の友人と判断します。今は忠実な使い魔をやっております。お見知りおきを。」


すると、

「あのー……」

「ああ、忘れていた。一緒に連れてきた客がもう一人いた。紹介する。夜魔喪妬やまもとだ。」


「なんだか、アクセントが違うような……山本隼人です。鈴木先輩、久しぶりです。」


はて、誰のことだか。


「こいつを連れて俺たちは一週間ぐらい前に特異点に行き、この世界に来た。」

「そうか。お前が来たということは何かが起こるな。天啓を受けたのだろう。」

「そうだ」


「あのー、お二方の話には終わりが見えないうえにカオスなので、いったん中断させていただきますね。」


そして、


「あっちの世界に戻れる方法、わかりました。」

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