第4話 予感∴出逢い

 一人暮らしは栄養が偏る。魚を焼かなくなった。魚焼きグリルはあるのだが、魚焼き器が欲しい。煙が出ないやつ。だから、刺身を食べるのだ。


 明日も仕事。秋物の洋服を買いに、少し大きな駅に来た。コンコースってこんなに騒がしかったかな。

 昨年まではこの駅からバスで職場に通っていた。現在は違う路線だから、この駅に来ることはほとんどない。


 夕飯も食べて帰ろう。そう決めて、7階のレストラン街に足を運んだ。

 眼下には駅のロータリー。タクシーのテールランプが一直線に並んでいる。初めて見る色の新幹線が見えた。そうか、ここはこの新幹線が通るのか。実家のある地域では見られない新幹線だったから、新鮮に感じる。

 さぁ、ハンバーグを食べよう。オムライスと迷ったが、ハンバーグにする。セットにサラダを追加して、とりあえず野菜を確保する。


 ドリンクバーコーナーから、ソフトエスプレッソという飲み物をアイスでチョイス。エスプレッソがソフトってなんなんだ。ブレンドじゃダメだったのか。と考えながら一口飲んだ。うん、ブレンドコーヒーだな。


 突然、苗字を呼ばれた。自分を呼んだのかはわからないが、その声に聞き覚えがあった。だから、呼ばれた方向に顔を向けた。

「やっぱりそうだったな」

 そう言いながら満面の笑みで近づいてくる人物。それは、大学のサークルの先輩だった。

「太田先輩。お久しぶりです。」

 太田先輩。自分より2歳上で、身長は180センチを超える。サークルでは、鴨居におでこをよくぶつけていた。高校までサッカーをやっていたが、怪我が原因でサッカーを辞めた。しかし、筋肉トレーニングは続けていたらしく、細マッチョという部類に入る体型をしている。先輩を目当てにサークルに入る学生が多かったが、皆、1ヶ月ほどで辞めていった。

 自分も先輩に憧れてサークルに入った。先輩と後輩としては、いい関係を築けたと思っている。自分が大学を卒業する頃に、先輩はサークルに来てくれた。それ以来だ。

「田中、1人か?」

 申し遅れました。自分は田中です。

「ええ、仕事終わりなんです。」

「奇遇だな。俺もだ。」

「先輩、お仕事なんでしたっけ?」と質問をしながら、思い出した。先輩の仕事は、

「がっこうのセンセ。」

 そう、高校の先生。ということは、

「部活ですか?」

「あたり。サッカー部の練習試合がこの近くでな。」





◆ 先輩との恋を始めますか?

➡︎はい いいえ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る