topics30 親子で心理合戦!?
第三十七帖 横笛(【超訳】episode37 親友が遺した想い)に寄せて
源氏と夕霧はれっきとした親子です。冷泉帝とは違って、こちらは最初の正室葵の上が産んだ息子。誰がどう見たって父親と息子です。
若いうちに勉強して実力をつけるようにと、本当だったらもう少し高い官位で
そして夕霧が一途に雲居の雁を想っていてなかなか他の縁談にも目もくれないので、『恋の伝道師』源氏パパがあれやこれやと恋愛講座をたれたのが第三十二帖【
それより以前にも恋愛がらみで源氏と夕霧は話をしています。そのときは玉鬘についてでした。
「ホントのとこ、玉鬘さんのこと父ちゃんどう思ってんの?」
「(内心ドキドキ)どうって、別に。娘じゃん?」
「ホントに? 尚侍にして父ちゃんのアイジンにもしようって思ってない?」
「なな、な、なっ、なんだよ。ソレ(やべぇ! バレてる!!)」
夕霧は源氏と玉鬘がハグしているところを覗き見しちゃってます。玉鬘とは血がつながっていないとわかった夕霧も玉鬘を口説いてみようとしましたがあえなく玉砕。腹立ちまぎれに源氏を牽制しようとしたのかもしれません。
感情で動くパパ源氏に対して理路整然と考える息子夕霧。心理合戦では夕霧の方が有利かな?
今回の【横笛】でもまた親子の心理合戦が行われました。
夕霧は亡き友人柏木の遺言が気になっています。柏木と女三宮に何かあったのか。何かあったから源氏が柏木のことを怒っているのか。
源氏は夕霧が柏木の未亡人の女二宮のことをどう思っているのか気になります。
「女二宮とはどうなってんの?」
源氏が夕霧を追求します。
「どうにもなってないよ。柏木の遺言で様子を見に行ってるだけだし」
夕霧はしれっと追及をかわします。女二宮のことをもう友達の未亡人としてでなく、恋しい人と想っているけれど、まだパパには本心を明かしません。
「未亡人相手にマチガイ起こすなよ」
「そんなわけないし」
いつの時代でも親の忠告は子供にとってはうっとおしいものですよね。それならそっちはどうなんだよ、と夕霧が反撃に出ます。
「柏木がさ、この横笛を子孫に伝えたいって」
今度は源氏がうろたえます。
(い? 夕霧、お前知ってんの?!)
「そういえば、柏木つながりだけど、父ちゃんに悪いことしたって言ってたよ」
「え……?」
(やっぱ、知ってんのな!!)
「なっ、なな、なんのことだろな。さっぱりわかんないけどな」
そしらぬフリをするしかない源氏はそのまま話題をすりかえました。柏木が子孫に伝えたいと夕霧に夢で託した横笛は、こじつけまがいの言い訳で源氏が引き取りました。もうこの笛を源氏が受け取った時点で、柏木の罪が疑惑から確信に変わっていますよね。
恋愛スペシャリストの源氏パパが固真面目息子の夕霧くんに「浮気はすんなよ」とアドバイスをしてやろうと思ったら、「そっちはどうなんよ?」と切り返されてしまいました。
しかも絶対知られてはならない「禁断の恋」ネタ。源氏と夕霧の心理合戦はまたもや夕霧の勝ち、かしら?
こと恋愛ネタならツッコミどころ満載のお父さんですもんね。それにしても自分の色恋沙汰を棚に上げて息子の女性モンダイに対しては口うるさい源氏くんです。
やっぱり教育パパなの?
「マチガイ起こすなよ?」
少し笑えませんか? ダメか、笑っちゃ。
ね、ね、おとーさん、ご子息に説教たれる前にご自分の胸に手を当ててみて? その昔マチガイを起こしたのはダレ?
「浮気はすんなよ」
いったいどの口が言ってんのかしらね? やっぱり笑えませんか?
あ、あなたはいつでも「本気」でしたわね。
ね、紫の上さま。
ご主人ったらこんなことおっしゃってますけれど。
ごめんなさい。笑っている場合ではありませんね。
誰かがガツンっと言ってやらないと……。
えっと……、何を言えばいいのかな?
誰の件?
どのエピソード?
源氏くん、今は紫の上さまをフォローしてあげて。
心をこめてそばについてあげていて。
懺悔は紫の上さまにね。
あるでしょう? 星の数ほどの懺悔。海よりも深い後悔。
☆【超訳】源氏物語のご案内
関連するエピソードはこちら。よかったらご覧になってくださいね。
episode37 親友が遺した想い 横笛
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054885617918
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます