topics24 タメイキの第二部開幕……
第34帖 若菜上(【超訳】源氏物語episode34-1 それは水紋のように)に寄せて
さて第一部のラスト第三十三帖【藤裏葉】で夕霧と雲居の雁が結ばれて、子供達も親の手元を離れ、政治的にも准太上天皇の位に昇りつめた源氏。これからは出家の準備なんかしながら穏やかな
恋の川の
そんな湖面に一滴の雫。それは水紋となり、広がり、さざ波となります。
朱雀院の出家という一見源氏とは直接関わりのない出来事が今後の源氏に大きな大きな影響をもたらすのです。
娘の女三宮の夫になってほしい。面倒を見てやってほしい。
このとき源氏39歳、女三宮13歳。ちなみに夕霧が18歳。明石女御が11歳。自分の子どもと同じ年頃の内親王さまとの結婚。
最初源氏は断ります。
でもここで例のビョーキが再発するのです。
「永遠の憧れ、藤壺の宮さま恋しい」病……。
藤壺の宮さまの姪で容姿もよく似ていた紫の上を、少女のころに源氏は見初めました。
女三宮も藤壺の宮の姪だったのです。
「ひょっとしたら宮さまに似てるかも……」
「紫ちゃんがあんなに似てるから女三宮も似てるんじゃね?」
「宮さまの姪か……」
「宮さま……」
こうなると気になって仕方がありません。そして結局この結婚を承諾します。
………………。
源氏くん、キミは宮さまの親戚みんなと結婚するつもりなんかい?
たとえ容姿が似ていたとしてもその人は藤壺の宮さま本人ではない別人なんだよ?
紫の上が容姿も似ていて素晴らしい女性だから今回もって期待したの?
そもそも紫の上を藤壺の宮さまの代わりにそばに置いて妻にした「身代わり婚」だって失礼なハナシなんだよ?
また同じことするの?
そしてこの結婚話を聞いた紫の上は相当なショックを受けます。
娘として育てた明石の姫君もお嫁入りして巣立っていき、源氏と穏やかに暮らしていくはずだったのに。
長い間恋していた朝顔の君とだって結婚しなかったのに。(源氏は結婚したかったけれど、朝顔の君にその気がなかった)
どうして?
朱雀院さまからのお願いだから?
どうしてあなたが引き受けないといけないの?
確かにあなたは気が多いけれど、もう大丈夫だと思っていたのに。
紫の上の混乱はよくわかりますよね。
しかも女三宮が自分より身分の高い内親王なので向こうが「正室」になる。
「源氏の妻の座」から追われるのはわたし?
わたしは飽きられたの?
あなたとは永遠に愛し合っていけるって思ってたわ
人の想いなんて変わりやすいものなのにね
なんの保証もないことを信じてたなんてバカみたいね
一方の源氏は3日間連続して新婦の元に通う婚礼の儀式の時点ですでにこの結婚を後悔します。
女三宮があまりに幼かったから。
自分の妻としてあまりに物足らなかったから。
39歳のオッサンが13歳の女の子に一体何を求めていたんだ?
ばっかじゃないの?
何を期待してたのよ?
「今頃結婚なんかするんじゃなかった。惚れっぽい俺がバカだった」
って涙ぐんだんですってよ。
もうね……。
泣くなよ。バカたれが。
いい年したオッサンが泣くか?
自分のバカさ加減に泣いたのか?
引き受ける前に考えようよ。
仮に引き受けたらそのあとどんなことになるのかシュミレーションしなさいよ。
親子ほど年の離れた内親王さまとどんな結婚生活を送るのか。
その内親王さまを幸せにできるのか。
その結婚を紫の上がどう思うか。
ああ、ムカつく、腹立つ、頭くる!!
源氏ってとにかく「自分」が中心の人です。相手がどう思うか、相手にどう想われるかなんて考えない。しかも妙にポジティブだからもし相手のことを好きになれなかったらとか、うまくいかないんじゃないかとかも考えない。
そしてそこからの「やっぱり紫ちゃん最強ラブ」病……。
子どもっぽい(ってホントにまだ子どもですものね)女三宮と比べると紫の上は何もかもがパーフェクト。美しさも優しさも賢さも。
一晩離れていても寂しい
すぐにでも会いに行きたい
去年よりも今年
昨日より今日
ますますあなたが愛おしくてたまらない
「一晩離れるのもツライ」
よう言うわ。こんだけ夜歩きしておいて。
キミの紫ちゃんへのラブ度はMAXかもしれないけれど、紫ちゃんのラブ度は反比例なんだよ。気づかないかなぁ……。
おバカな源氏くんの人生後半ともいえる第二部の物語。
健気すぎて同情極まる紫ちゃんの嘆きの物語。
さあ、みなさんの思いの丈を叫んでみてください。呟いてみてください。
☆【超訳】源氏物語のご案内
関連するエピソードはこちら。よかったらご覧になってくださいね。
episode34-1 それは水紋のように 若菜上
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881684388/episodes/1177354054885543378
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