☆源氏の世界 ⑨男子の衣装
前に女子の衣装のご紹介をしたので(源氏の世界⑦艶やかな十二単)、今回は
まずは正装から。桃の節句に飾るお内裏さまの服装だと思います。洋服の格式で言うとタキシードね。儀式のときなどに着用します。束帯と言います。宮中では大きく分けて文官の役職と武官の役職があり(それぞれに階級があります)、文官の束帯と武官の束帯では少し違いがあるので、文官束帯と武官束帯と呼ばれます。
どちらも冠をかぶります。
そして衣冠というのが現代のスーツ的役割で、宮中にはこれで参内します。束帯を省略して着やすくしたもので束帯よりゆったり着用できたので「宿直装束」と呼ばれて宮中の夜の勤務服だったみたいです。
次に
よほど位が高ければ直衣で出勤することもあったみたいで、みんなが
最後の
女子の服装でもご紹介した袖などの表と裏の色合わせ「重ねの色目」は男子にもあります。季節によって、年齢によって、また男子しか使えない色目などさまざまだったようです。
ちなみにどんな服装の場合でも男子は冠か烏帽子をかぶります。宮中では冠をかぶるのがきまりなので、常に宮中にいる帝は必ず冠をかぶっています。なので烏帽子姿の帝はあり得ないワケです。貴族たちは自宅では烏帽子をかぶります。たとえ家の中でもです。男子は寝るとき以外は被り物をかぶっていることになりますね。
また
衣服を見れば階級がすぐわかるわけなんですよね。
官位八位以下が
源氏の息子の夕霧が元服をしたときに着る衣装(正確にはその色)を見て皆が驚きました。通例でいけば四位程度の位を授かるはずですが、源氏が与えたのは六位の位で、衣装の色は緑色でした。
雲居の雁と引き離されるときに彼女の乳母は「姫さまのお相手が六位とはね」と夕霧の身分の低さを嘆きます。夕霧はこんな歌を詠みました。
「こんなに傷ついているのに(袖が血の涙で染まっているのに)浅葱色(緑)の服だってバカにするの?」
四位か五位なら赤系統の色でしたが、六位は緑色で官位が低いのが一目瞭然です。
従兄弟や友人に比べて低い官位での就職だったので、緑色を纏っての宮中での仕事に夕霧は引け目を感じていたようです。
また禁色といって天皇、東宮以外が着てはいけない色があり、現代まで残っている色が天皇の
平成天皇の即位の礼のときに天皇陛下がお召しになっていたお色が黄櫨染でした。きっと次の代の即位の礼のときにも見られるお衣装でしょうね。
色彩と色目
http://kariginu.jp/kikata/5-1.htm
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