世界最強の竜騎士が転生した先は現実世界でした【4・1、虚構ノベルより刊行希望】
六千字未満
〇
なにやらうるさい音に起こされ、俺は寝ぼけ眼をこすった。耳の奥まで響く様な甲高い音。
ぼやけていた視界がはっきりとしてくると、音の出所が目に入る。
――なんだこれ?
手に取ったそれは薄い板の様だった。表面はつるつるで、鉄でもなさそうだけど、どちらかと言えばガラスに近い素材でできていた。横には何やらボタンが付いている。試しに押してみると板には時計の様なマークが表示された。
「おっと! 凄いな、魔力で動いてるのか?」
突然板に色がついたものだから、俺は少々面食らってしまった。
時計のマークをタッチすると、やかましかった音が聞こえなくなる。
「アルスリア帝国の発明品かな?」
俺はその珍しい板を見せようと、寝起きの悪い僧侶のサリーを起こそうとした。
「サリー。朝だぞ! ほら、珍しいものを――って、あれ?」
いつも俺にくっついて、隣で寝ているサリーの姿が見当たらない。しかし、俺が驚いたのはそれだけではなかった。サリーだけではなく、盗賊のディートも、魔導士のカッサもいなくなっていたのである。――ってそれよりも!
「どこだここおおおおおおおお!!!???」
俺の目に入るのは知らない物だらけだった。たった今寝ていたベッドすら、見たことのない生地でできている。それだけではない。
「あれ? なにこれ?」
俺は自分の身体をまさぐった。大して筋肉もついてない貧相な体。部屋に鏡が置いてあったから、俺はそれで自分の顔を確認する。そこには俺の知らない男がうつっていた。
「え? な、なんだこれ?」
俺は死んだのか?
これが俗にいう生まれ変わりってやつなのだろうか。でも、昨日も普通に宿屋で寝てたし――
じゃあ寝てる間に死んだって事か?
なんで? 決まってる。アルスリア帝国の執行人が襲ってきたって事か。
こんなにあっさり死ぬなんて。
じゃあサリーは? ディートは? カッサは? 皆はどうしたんだ? 生きてるのか? それとも俺みたいに生まれ変わったのか?
とにかく、ここにいたって始まらない。聖堂に行ってなにか知らないか聞いてみよう。
〇
扉を開けると階段があった。
それを降りると一つの部屋がある。
中に入ると四十代と見られる男女が食事をとっていた。
「おはよう。まさと」
女の人がそう言った先を振りむいた。しかし誰もいない。
「なにしてる。早く食べないと遅刻するぞ」
男の方もそう言うものだから、俺はまた振り返ってみた。しかし誰もいない。
「もしかして俺に言ってるの?」
俺が自分を指さすと、女の人は困った様な顔をする。男の方は呆れている様だった。
「もう、朝から困らせないで」
「えっと、人違いじゃないですか? 俺はオラトリオ公国の竜騎士、ラインハルト。えっと、今はなぜかこんな体だけど――」
「お前っ! いい加減に――」
言いかけた男を女の人が止めた。
「そ、そうなの? ラインハルトさん。えっと、私達の子のまさとにそっくりだったから――」
「俺にも何が起こってるかわからないけど、とりあえず聖堂に行って聞いてみようと思ってるんです。それじゃあ、さよなら」
どうやらこの人たちは自分の子供を見失ってしまったみたいだった。かわいそうだけど、今は俺にもやらなきゃいけない事がある。外に出ようと背を向けた時、俺のお腹が鳴った。
「あ……」
「どうやらお腹空いてるみたい。冷めちゃうし、よかったら食べていって」
女の人は優しくそう言ってくれた。確かに、俺のお腹はペコペコだった。その言葉に甘えさせてもらう事にする。聞きたい事もあるし。
「えっと、じゃあ。いただきます」
「はい、召し上がれ」と、女の人は椅子を引いてくれた。目の前にはおいしそうなパンと目玉焼きがある。俺は無我夢中で食い付いた。
「ねえ、ラインハルトさん。これからどこに行くつもりなの?」
「とりあえず聖堂で聞き込みしてサリーたちの居場所を探そうかなって思ってます」
「聖堂?」
どうやら女の人は聖堂に行った事がないらしい。珍しいな。
「そう言えばこの家は街のどの辺にあるんですか?」
「街? 世田谷だけど」
「セタガヤ?」
その地名は広いオラトリオでも聞かない名前だった。
「じゃあ、セタガヤの聖堂はどこにあるんですか?」
「ラインハルトさん。世田谷に聖堂はないの」
「えええええええ!!??」
俺は驚いて立ち上がってしまった。男の人は「いい加減にしろ」と言い残し、食べかけの朝食を残して部屋から出て行ってしまった。
女の人の話によれば、ここはオラトリオではなく日本と言う国で、誰一人として魔術を習得していないらしい。
「じゃあ! 俺はこれからどうすればいいんだ!?」
「ねえ。ラインハルトさん。私の推測だけど、あなたはそのオラトリオからこの国、日本に転生したんじゃないかな。だから今、うちのまさとの身体にあなたがいる」
「じゃあ、そのまさとって子として生きていけって?」
「私達も元に戻す方法を探すのを手伝う。だからお願い。今日一日はまさととして過ごしてもらえないかしら」
女の人はそう言って頭を下げた。その必死な姿を見たら、どうしても人助けをしたくなる。ごちそうになった恩もあるし――
「じゃあ、今日一日だけですよ?」
〇
この世界は知らない事で溢れていた。
俺は女の人にクルマと言う乗り物に乗せられている。車輪を四つ付け、魔術ではなくカガクと呼ばれる力を動力にしているらしい。しばらく走るとそのクルマは止まった。
「じゃあ、お願いね。まさ――ラインハルトさん」
「まさとでいいですよ。じゃあお迎えお願いします」
どうやらまさとと言う少年は、毎日学校に通っているらしかった。だから今日一日だけまさとになりすまし、俺はその学校に通う事になったわけ。帰りも迎えに来てくれるらしい。
「うわあ。でっかいなあ」
オラトリオの魔術学校を想像していた俺は、その学校の大きさに驚いてしまった。正門には沢山の生徒が入っていく。皆俺と同じ格好をしているようだった。それに紛れるように俺も後を追っていく。
玄関まではわかるのだけど、そこから先はどこにいけばいいのかわからない。俺はサリーに似ている一人の女子生徒に声をかけた。
「おはよう。えっと、道を聞きたいんだけど」
「うわきっも。マジで話しかけないでほしいんですけど」
その一言を残し女子生徒は去ってしまった。見た目に反して失礼な奴だ。俺は他の男子生徒に話しかける。
「ねえ君。ちょっと道を聞きたいんだけど」
「なんでてめえ学校きてんの? 死ねよ」
「いきなり死ねって、君、少し失礼過ぎないか?」
さすがの俺もその一言は見過ごせない。ちょっとお灸をすえてやることにする。
「千なる契約を結んだ荒ぶるイフリートよ。今こそその力を示せ! 火炎球!!」
充分に威力は抑えた。俺の右手から放たれた火炎球は、その胸に直撃、する予定だった。しかし当たらなかった。というより、発動しなかった。
「まじでこいつキメーわ。ホント死ねよまじで」
その生徒は一言残して歩いて行ってしまった。だけど、それよりも重要な事に気付いた。この世界は、魔力がまるでなかったのだ。
〇
結局、その後は学校の職員に道を尋ねて事なきを得た。周りの生徒を伺いながら、俺がラインハルトだとばれないようにまさとを演じてきてわかった事がある。どうやら、このまさとは皆からいじめられてるようだった。
この体だ。力もほとんどない。喧嘩じゃ勝てないだろう。でもだからと言ってこのまま見過ごすわけにはいかない。でも、今の俺には魔法も、聖剣アルセウスも持ち合わせていない。
どうしようか途方にくれていた俺は、放課後呼び出しを受けた。
〇
指定されていた校舎裏、人気のない空間に俺が顔を出すと、そこには十人程待ち構えていた。その中の一人は朝、道を聞いた奴だった。
「何の用だ? 俺、待ち合わせしてて忙しいんだけど」
「前言ったよな? なんでまた学校きてんの?」
勿論、それはまさとが言われた事だろう。俺には身に覚えがない。でも、なんとなくだけど、そのセリフがわかる気がする。
「まさ――。いや、俺が学校に通うのにお前らの許可なんて必要ないだろ!」
「うぜーんだよ死ね」
男の一人が俺に殴り掛かってきた。日々、閃光のディートと手合わせしてる俺からすれば、オークすら倒せないほどのろいパンチだった。でも、避けきれない。体がついてこないのだ。
「やめろ! ――グッ!」
顔に思いっきり食らってしまった俺は、視界が霞むのを感じた。やり返そうと俺もパンチを繰り出すが、それは男の繰り出したものより遥かに遅い。まさとの身体はあまりにも貧弱過ぎた。
「ウッ! ウウッ! アアアっ!!」
男たちは寄ってたかってまさとを、僕を袋殴りにした。抵抗しようとしても力が足りない。このままじゃまずい。まさとの身体を傷つけてしまう!!
「千の契約を結んだイフリートよ! シルフよ! ウンディーネよ! 今こそ我に力を貸せ!!」
無駄だとはわかっていたが、俺はありったけの魔術を叫んだ。しかし、術が発動する事はなかった。
結局、俺はズタボロにされるまで殴られ続けた。服も脱がされ、どうやら写真も撮られてしまったようだった。まさとには本当に悪い事をした。でも、元の身体を取り戻したら必ず俺がおまえを救って見せる。写真も消させる。こうして、俺にはどうしても元の身体を取り返さなくてはならない理由が出来た。
〇
学校の正門まで迎えに来てくれた女の人は泣いていた。もう学校には来なくてもいいとも言っていた。大丈夫。俺がこの学校を絶対変えて見せるから。今はまだ無理かもしれないけど、諦めないで。
俺は女の人に連れられてそのまま病院に向かった。こっぴどくやられたから体中にあざが出来ている。血が出ている箇所もあった。息子の身体がそんなにされたもんだから、女の人は悲しんだろう。俺は、申し訳なくて仕方なかった。
病院に行くと直ぐに部屋に通された。この国の医者だろうか。やけに白い服を着ている。
「久しぶり。まさと君」
「すいませんお医者様。出来るだけ跡が残らない様に直してあげてください」
「直してあげてくださいって――、君の身体だろう?」
医者は不思議そうに首を傾げた。確かに、今の発言は変だったかもしれない。俺は女の人に正体をばらしていいか尋ね、女の人は了承した。
「お医者様。実は俺はまさとではないんです。オラトリオ公国から来たラインハルトと言います。理由はわからないんですが、なぜかこのまさとに乗り移ったみたいで……」
俺の話を、医者はただただ聞いてくれた。
「お願いしますお医者様! 傷跡でも残したら俺はまさとに顔向けできない! ちゃんと直してやってください!」
「そうか。わかった、ラインハルト君。でもここでケガの治療はできないんだよ」
「ど、どうしてですか!? ここは病院でしょう!? あ、お金ですか!? 大丈夫です!! 俺はオラトリオから――」
「ここは精神科なんだよ」
「え?」
精神科? なんだそれ?
「落ち着いて聞きなさい。君の言うオラトリオって国は思い込みなんだよ。ラインハルトなんて人間もいやしない。君は現実に耐えられなくて妄想の世界を頭の中で作り上げてるんだよ」
「違いますお医者先生! 俺はラインハルトで! 必ず元に戻る方法を見つけだしますから――」
「じゃあ答えて見なさい。君の年齢は? 両親の名前は? 身長は? 体重は? 今迄で一番楽しかったことは?」
「え? 年齢は21、両親は……え?」
「そこまで細かく決めてないんだろう。いいかい。まさとくん。ゆっくりでいいんだよ。別に君だけが特別ってわけじゃないし、辛い事も沢山あるよ。だからゆっくり、少しづつ現実に向き合っていこう。私も協力するから」
俺の名前はラインハルトだ。オラトリオ公国では最強の剣士と呼ばれた竜騎士でサリーらの仲間と共に旅を続け学校で女子たちがかばんを見上げるとそこにはおおきなたばこがふわふわと制圧しながら精子を振りかぶり読者達がそれに釣られるように首を食べて難解な青色と荒廃した上履きが地上に叩きつけられたかと思えば鼻水に便器を取る様に最多の笑いgkぁじゃいジェイあじぇあrじゃえじぇ青いjgぺあうぃvmんr津mr歩ヴィmqwt部w905unvqm[iv90nm5bueourn[5-29al;kfaka:kafalfke jefasfhajfjaoejjjふぁじぇじぇあjkんふぁなふぇ所えじぇうty4う834j4hj4jっみむ34んヴん4@b64qb、bヴぃtヴぃmvw4むvtm:、svtwm59う6b9wvnyhfwみtccsmctwvwt5vろrfjjfkjぎぎあふぁあkなf;いえひじぇじぇjjてtじょえjjkふぁkjふぁkんふぃえじcxj眼ヶjるjふぃslskdjcjcmcmdrklじぇおjふぉじょえfじょじぇff、dsxpwkdじぇぐhr4ぽpw。d@w。pdふぇおいjgt84j9f0k3fけ0kfけgrgp@pdskさsfじぇじょえふぉfjksdjlflじゃjl;ふぁぁjはヒア;あj;亜mccんじうぃじぇジョア:s:k:kgs:オgrjsンgsbs・sjsgsg・sg・。j・gss・gm。・、、bv。ff:f@えrrptぺお040k34kkgsmmsmsんsんhsじゃえおれ9934なあ。ああはあ・¥あ:あjgslgぁhふぁんfkんヴぃヴぃり4949qkぁ
「ラインハルト? 何言ってるんです? 僕はハインシュタインですよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます