断捨離
二千字未満
https://www.youtube.com/watch?v=6UeyJlTxe_8&list=PLEcOCM3isWx__aziWMIMFc-DaFaWCOE0F&index=33
〇
私が断捨離を始めたのは2年前の事であった。
断捨離とは、自身に必要のない物を手放す行為であり、物に溢れたこの世の中、あえてそれを実践する、ミニマリストと呼ばれる人が増えている。
かく言う私もその一人と言うわけだ。
断捨離を始めたきっかけは一本の映画だった。
深夜に流れたその映画は、自分の持ち物を全て倉庫へと預け、一日一つその倉庫から取り出すと言った内容である。
映画の主人公は、初日に倉庫からコートを取り出し、何もない自室でコートに包まって寝ていたのが印象的だ。
とにかく、私はこの映画に影響を受け、自分の家が如何に必要の無いもので溢れているかを考えるようになった。
人生は物で出来ていない。
人生に本当に必要なものは物ではない。
そう考えるようになった私は家に散らばるあらゆるものにテープを貼った。
一月内に使ったものはテープを剥がし、テープが貼られたままのものは月末に処分する。
そして月初に再びテープを貼り直し、そんな生活を2年間続けたわけだ。
結果、物で溢れていた私の家は実にすっきりし、まるで新築かと思われる程生活感は失われた。
今月分の処分を追えれば、残ったものは財布、スマートフォン、パソコン、そして何着かの衣類だけである。
新婚当初に吟味した家具も、こだわって選別した趣味のゴルフクラブも、今は我が家に存在しない。
そんな私の家を不便だと思う人がいるかもしれないが、慣れてしまうとそんな事は感じない。
必要だと思い込んでいるだけで、実際には無くても生活できる。
私の家はそんなもので溢れていた。
例えば車。
私の家はど田舎とまではいかないが、都会とも言い難い。
故に車が生活の必需品になってくると風潮され、免許を取ってからずっと車を保有していたが、実際手放してみると徒歩と公共機関だけで充分生活できた。
断捨離における利点とはなにかと問われれば幾つか思い浮かぶが、一番は貯蓄が増えるという事だろう。
家から物を無くすと同時に、私は無駄な買い物をする事がなくなった。
さっきの車の維持費もだが、余計な出費がまるっきり無くなったのである。
増えたのは貯蓄だけではなかった。
何が増えたのかと問われれば、それは自由に使える時間である。
私は意味も無く、仕事から帰るとテレビのニュースを見ていた。
ところがどうだろう。
テレビを手放したことによりその時間が無くなり、今ではゆっくりとした時間が過ごせている。
他にも利点は幾つもあるが、つまり私はそんな小さい利点に気付くことが楽しくて、結果2年間に渡り断捨離を続けてきたのである。
断捨離において一番辛かったのは、物の処分だ。
毎月膨大な物を捨てる事になる上で、そのゴミの分別、処分法が厄介なものがいくつもあったのである。
そして、今月のゴミは一つだけだが、これも今までに捨てた事がないものだ。
私は今、このゴミの処分法について頭を悩ましている最中なのである。
今となっては不必要なものだが、私がこれと出会った時はずいぶん楽しい時間を過ごさせてもらった。
だが、断捨離に情など不要である。
思い出は心の中にあればいい。
それよりも、ものを捨てる快感。
ものから解放される快感に、私は魅了されてやまないのであった。
さて、どうやって捨てたものか。
生ものであるからして、時間が経てば匂いが立つ。
さっさと処分してしまった方が良さそうだ。
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