支配者
三百字以内
〇
その昔、世界は一つであった。
人々は手を取り合い、腕力の強いものは力を、頭の賢しいものは知恵を、器量あるものは統率をそれぞれ捧げ合い、互いを補い合って暮らしていた。
その暮らしは、日を増すごとに豊かになった。
栄養のある食事を取れるようになり、病気に対応できるようになり、温かい寝床で眠れるようになった。
人々は更なる富を得ようとした。
故に神を作り出した。
神は人の間に格差を生み、恩恵の得られない人間を作り出す。
神の名は、金である。
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