第6話兼設定集

フリーズしたコロニー民を前に、演説台に登る人影があった。赤フレームの作業機だ。

「私は、この機体のボディを間借りしているAI、Adaです。あなた方は政府軍による情報規制により、ほとんど知識を持っていないので、こちらから説明させていただきます」

それまで静かだった会場から、僅かにざわつきが聞こえるようになる。

「リガロックジャーナルの方々は記録準備を。それでは、説明を始めます」

まずはこの世界からだ。

この世界は、太陽と、それを中心にする太陽系の星々からなる。しかし、そこにある時、別銀河からと思われる大量の巨大な隕石が木星に近づいてきていた。

地球から見てもそれは、不思議な光を帯びた流星のように見えていたという。

そして、その時期に、宇宙に点在する大きな岩を動かすための核熱推進機が開発されていた事もあり、試験運用として木星に入る前にその隕石を静止させ、管理下に置いた。

その隕石を研究材料として集めた結果、かなり特殊な性質を持った金属が現れた。その金属の性質を確かめる研究の結果、

その金属は、電気を貯める性質と記録する性質がある事、かなりの硬度があるが、記録するプログラムによって粒子のサイズを変えることで、ゴムのような弾性、粘土のような柔らかさに変えることが出来る事、サイズ調整により、外圧を加えなくとも中に機械を組み上げることが出来ること、など従来のどの物質にも当てはまらない性質を持っていた。

その中でも目を引くのは、

特定のプログラムを持たせた状態で必要な分充電をすると、空間を歪め、物を壊さず、殺さず、影響を与えずにナノレベルまで圧縮、開放時に方向を決めると空間を圧縮し、光の速度に近いスピードで加速出来ること、さらに、目的地についての情報を与えると、必要な設備さえあればワープ出来るというものだ。しかし、遠ければ遠い程電力を消費すると言う事と、その消費電力が極端に多い事が問題になっている。

名前は、「シューティングスターメタル」

通称SSM。


そして地球だが、アジア諸国の人口の爆発的増加から、かつての中国の一人っ子政策を取ったが、それでも人口が増え過ぎ、さらにヨーロッパ、アフリカ等でも急激な人口増により、科学の発展と食料問題が起き、あの金属、SSMの技術検証と、増え過ぎた人間の捌け口として、コロニー制作に向けた動きが始まった。

しかし、問題になったのは、自給自足についてでも、酸素でもなく、巨大なコロニーを何機も設置することによって、地球に何個もの日陰が出来てしまう事だ。それが実際起きた訳ではなく、シミュレータによる計算だった事が奇跡だった。

解決するかに見えた食糧問題が、日陰により植物が育たない事で悪化しては意味がない。そこで、SSMによるワープで、太陽系から抜けた先にコロニーを作り、太陽光と半永久核融合炉による電気と、酸素生成に特化した、半機械半樹木の特殊な木によるコロニー単体で生活できる環境についての構想が完成した。

そのうち、工業コロニー、農業コロニー、商業コロニー等の役割分担する計画が出来た。しかし、既に試作されていた小型コロニーは、全てを満たしていたが、単体としてコストが高く、そのあと使用はされたが、機能的に必要はなかったので、太陽系付近の適当な場所に設置された田舎の様な場所になってしまった。それがリガロックである。



「ここまでは皆さんが知っている部分です。しかし、最近、地球についてのニュースが少ないと思いませんか?それは、一部のコロニーを除いた殆どのコロニーも同じです。実は、この世界は平和ではなく、戦乱の中にあります。殆ど、政府の情報規制により伝えられておりませんが」

さらに大きなざわめきが起き、カメラのシャッター音とフラッシュの閃光が目立つようになった

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