第3話

それから、毎晩、眠りが近づいてくるまでの

数時間をいつかのわたしがかいた文章を

よむことでやりすごすようになった。


おぼえていないことば、感情、かなしみが

たくさんあった。

そして、それと同じくらい、

ううん、ほんとうは、

それよりずっとたくさん今も内臓のすごく

深いところに恐いくらいの力強さで

おちてくるものものがあった。


でも、いちばんにくるしいのは、

その頃のわたしが、いつか、といって考えた

その時間にわたしはいままさにいること、

そこで、泣いたり混乱したり、

取り乱したり、それから時々落ち着いたりしているこのほんとうの全てだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

勇敢なおわりと不純なはじまりと @nonn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ