第4話 ある医者の苦悩
瑠美はまた夢を見た。
五十鈴川から駆け上がるとおかげ横丁が目の前に広がっていた。
平日でも人通りが有って、声を掛けて助けを呼ぶに十分だったが・・・
「あ・・・」
しかし声を掛けることが出来ない。
自分の消極的さと緊急を知らせることへの圧力に行動がとれない。
「・・・」
瑠美はその場でただ泣きそうになっていた。
そのうち雨が降り出してきた。
「雨・・・」
傘がない瑠美はさらに不安になった。そしてその雨は強さを増し猛烈な豪雨となっていった。
傍にいた老夫婦が呟く。
「あらあ・・・あの五十鈴川も増水しちゃうのう」
「そうね。でも風情があるねえ」
瑠美はその話にガタガタと歯を揺らしていた。
「(ダメ・・・死んじゃう・・・)」
瑠美は絶望の底へ落ちていった。
・・・
次の日の朝は雨だった。
皆色とりどりの傘を指して桜明に登校していた。
いつもの3人も予鈴前には登校し、集まって昨日の話をしていた。
すると、同じクラスの相澤(あいざわ) 志帆(しほ)が1日休みの後に登校してきた。
「ヤッホー、諸君ら。この相澤、見事に復活して参りました!」
そしてその直後大分が教室へ入って来た。
「・・・相澤、席につけ」
相澤は大分の威圧感に「は、はい~・・・」とだけ答えてゆらゆらと着席した。
大分はクラス全体を見回し、全員いることを確認した。
「・・・出席を取る」
厳かに出席が大分によって取られた。
・・・休み時間・・・
相澤はクラスの中でもとりわけ明るい生徒だった。それ故クラス内でも友達も結構いた。
ある生徒は「どうしたの?昨日休みだったけど・・・」と相澤を気遣っていた。
すると、相澤は
「いや~、なんか貧血で自宅マンションの階段から転落したらしくてね。その時打ち所が悪かったせいで入院していてさ」
相澤に取り巻くクラスの生徒たちは皆「え~!大丈夫なの」と声を上げた。
相澤は両手を挙げて、心配ないと訴えた。
「大丈夫。医者からは脳にも異常がないと診断されたし、落下した時の後遺症なのか筋肉痛でさ。まあ、2,3日ぐらいで取れると言っていたよ」
その一部始終を聞き耳立てていた瑠美たちは3人目を配らせ頷いていた。
皐が気になることを言い出した。
「・・・貧血・・・症状としては怪しむ点だな」
瑠美も同意した。
「うんうん、非常に気になる」
良子がタブレット片手に調べていた。
「相澤さんも~、私のケータイに番号登録あるから~、家のソフトをコレに落としてあるんだけどね~」
2人は良子を見て、昨日のソフトという言葉に注目していた。そして良子が2人に検索結果を伝えた。
「はい、病院!・・・えー、あの如月さんと同じ千代田区にある四葉記念総合病院だね~」
「当たりだな。もう少し裏付けが欲しいところだ・・・」
「はーい!じゃあ私が聞いてくるよ」
良子と皐は率先して聞き込みしてくると志願した瑠美にその場を任せた。
瑠美は相澤の取り巻きを掻き分けて、相澤へ語り掛けた。
「・・・っちょっとごめんね。ふう、相澤さん。退院おめでと。体は大丈夫なの?」
相澤は瑠美のねぎらいに笑顔で答えた。
「うん、有難う瑠美さん。この通りだよ」
「良かった。ちょっと聞きたいことあるんだ。いいかな?」
相澤は「ええ、何かな?」と答えたので、瑠美はその病院について聞いた。
「相澤さんはどこの病院に入院してたの?」
「どこか?四葉だよ。ほらっ秋葉原の近くの・・・」
「あー、あそこ!あそこ私も良く風邪ひくとお世話になったんだ。私がよく掛かる先生は篠田先生なんだけど、同じだった?」
相澤は笑って否定した。
「私の場合は内科じゃないから。私の場合は確か脳内科だったかな?打ち所上頭を良く見てもらっていたみたいだし・・・」
「えー、脳なんて大丈夫なの?」
「うん、全く問題ないって先生が言ってたよ」
「へえ~、とってもいい先生なんだ。私も頭打ったら紹介してもらおうかな?」
「うん、そうして貰いなよ。折角桜明に入ったんだから、頭だけは大事にしないとね」
「正に!で、その先生ってなんていうひとなのかな?」
「ん~、確か・・・御手洗(みたらい)先生・・・かな。ボッサリ頭で無精髭だったけど・・・看護師さんが言うにはとても偉い先生なんだって、まだ30代後半だと聞いたけどね」
聞き耳立てていた皐と良子は瑠美の成果を心の中で褒めた。
「わかったー。良い情報ありがと相澤さん」
「いいって。良い情報は皆で共有しないとね」
そう言って瑠美は話を切り上げ、取り巻きから外れて2人の下へ帰って来た。
「と、言うことらしい・・・」
ちょっと距離があったが一部始終話を聞くことができた皐と良子は次の情報処理の移動があるため、昼休みに作戦会議をすると決めて、3人とも次の授業の準備をして、電算室へ向かっていった。
桜明の電算室には50台程のパソコンが立ち並び、全てが前方にあるサーバー端末と繋がっていた。ある程度の高レベルの作業も難なくこなせるスペックだった。
しかし、良子はその端末のスペックを調べ、「うちのより劣る~」と不満を漏らしていた。
授業は情報処理については教頭の小石川(こいしかわ) 武文(たけふみ)が担当していた。
彼は長年SANYというゲーム機端末のパイオニアと呼ばれた企業に勤めていたが、校長の黒林の熱意に打たれて、桜明の教頭に着任していた。
風貌というと、眼鏡にカツラの痩せたオジサンという始末。本人はバレていないと思っていても、どこぞの桜明の女子生徒の激写により、ツブヤキでシェアされ学園全体の知る所となっている。
しかし念を押して言うが、本人は全くバレていないと思っている。
さて、授業については桜明の生徒を教えるに至っては力不足な教員は皆無だった。そのため、彼の授業も素晴らしく刺激的で評判高いものであった。良子を除いてだが。
瑠美と皐は黙々と小石川の話す内容をメモしながらパソコンにプログラムを打っていった。この授業は自由席なため、瑠美の隣ではスヤスヤと良子が寝ていた。
最初の頃は小石川は真面目に良子のことを注意すべく、授業に関する問題を抜き打ちで出していたが、全て解かれ、それからはもはや暖簾に腕押しと思い、この桜明に良子の態度に流される生徒も皆無であったため放置していた。
突然、良子が起きた。瑠美はガバッという音に一瞬ビクっとした。すると良子は目の前のパソコンを操作し始めた。そして外部スロットにメモリーを指した。そのメモリーについて瑠美は質問をした。
「お良。それはなんなの?」
「ん~、コレね。簡易WIFIスポットだよ。これを繋げば私のタブレットとネットが繋がるんだ」
良子はカタカタとキーボードを叩き、あるサーバーへアクセスした。
「ん~、うちと繋がったぞ。ここから一つこのタブレットに送って・・・」
そしてタブレットに何かを取り入れた。その作業についても瑠美は質問をした。
「お良。何をタブレットに保存したの?」
「うん、昨日ね~ビッグデータの解析したじゃない。アレの解析ソフトを組み立てて既に入れてはあるんだけど・・・もう一つブラフなソフトを作ったんだ~」
「ブラフなソフト?」
するとタブレットにそのソフトを表示させ、瑠美へ見せた。
「調べるのにちょっと手間取った~。ほら、スマートリラックス。アプリとしては性能皆無だけど、再現をしてみたんだ」
瑠美はどこからの情報ソースかは不明ながらも良子のテクニックで探したスマートリラックスのアプリ画面をまじまじと見ていた。
そして隣の皐が前を向きながら小声で良子に言った。
「・・・お良。それを携帯にインストール可能なんだろうな・・・」
「モッチのロンだよ~」
「わかった」
皐は一言だけ言って授業に集中した。しかしながら教頭の小石川はその3人の様子に気付いていた。そして注意をした。
「全く・・・授業以外のことは休み時間でしたまえそこの3人!」
小石川に指摘され、瑠美たちは周りの生徒に注目され3人とも気まずくなった。
・・・昼休み・・・
3人はいつも通り食堂へ行き、ランチを食べた。
瑠美が先ほどの授業の件を話し始めた。
「何であのカツラは気が付いたのかな?」
皐が「ふむ」と相槌を打ってから話した。
「この学園の教師、生徒らは皆優秀だってことかな。微々たる動きも目立つのかもしれない」
良子も頷いた。
「そうそう~、でも~あのカツラは~バレていないと思っている節はいかがなものかと思うよね~」
そう良子が言うと瑠美はクスクスと笑っていた。
ランチを食べ終わると、早速本題に入った。
「では、お良のブラフアプリを早速瑠美のスマホへインストールしようか」
そう皐が言うと瑠美は「私のにするの~」と言った。皐は何故瑠美にインストールするか理由を述べた。
「瑠美が適任だ。先の聞き込みと言い、芝居が上手いからな。私やお良では不向きだ」
瑠美は総合的に考えても、皐の言い分が正しいと判断した。
そう決まると、良子のタブレットから瑠美のスマートフォンへ送るために瑠美からスマートフォンを借りた。
「このタブレットは~、スマホをこのタブレットにくっつけると情報が送れる仕様にカスタマイズしてあるからね~」
良子はタブレットの性能自慢をルンルンで語りながら、瑠美のスマートフォンへアプリを転送した。
そしてアプリをインストールした。
「よ~し、これで完璧!」
良子は動作確認をし、瑠美にスマートフォンを返した。
そして皐が放課後に四葉記念総合病院に3人でいく上での作戦を話した。
「では、このアプリを作動させた状態で瑠美は貧血症状に陥る演技をする。私たちが両脇を抱え病院へ行き、御手洗先生を指名して診てもらう。後は出たとこ勝負となるが・・・」
2人は頷き、その場をお開きにし、教室へ戻っていった。
・・・放課後・・・
16時半過ぎ、3人は四葉記念病院の前にいた。
皐は良子に確認をした。
「お良よ。その御手洗という者は本日も勤務で間違いないな」
「大丈夫よ~、確認したら、17時までは内来請け負っているそうだから」
「よし、じゃあ瑠美、準備はいいか!」
「オッケー、じゃあ失神します~」
そうして瑠美を抱え、皐と良子は病院へ入っていった。
病院内は夕方でも賑わいを見せていた。老若男女問わず、様々な専門科医が内来を受け入れているため、いつも混んでいた。
そこに皐と良子は瑠美を支えながら血相変えて、受付にやって来た。
皐が受付に必死に訴えた。
「ごめん!親友がいきなり心神喪失状態に陥って・・・」
良子もそれに乗っかった。
「う~ん、何かスマホのあるアプリをいじった途端なんだよね~。早く診てもらいたいんだけど」
受付の女性は困った。そしてもう少し症状を詳しく聞いた。
「アプリをいじって、失神ですか?あまり聞いたことがないけど・・・ただの疲れじゃなくて?」
すると皐が受付に詰め寄った。
「・・・御手洗先生ならご存じだ。この症状、友達が罹って、先生に治療してもらったんだ」
その気迫が真剣そのものだったので、受付は「少々お待ちください」と後ろへ下がり、どこかに電話していた。そして受付が電話を切ると走り早、皐に話した。
「すぐ御手洗先生が診てくれます。奥の21診察室へどうぞ」
それを聞いた皐は「ありがとうございます」と礼を述べ、その診察室へ良子と一緒に瑠美を運んでいった。
診察台に寝かされた瑠美は御手洗に聴診器を当てられて、様子を見てもらっていた。
その間、看護師がゴソゴソと裏で何かをしていた。
御手洗は皐と良子に瑠美の状態を説明した。
「うん、まだ初期だから大丈夫。最近は失神するような流行り病が多くてね。特に君らのような年代にすこぶる多い。テレビのフラッシュには気を付けてくださいという文句があるじゃない。あれみたいなもんだよ」
そう淡々と話す御手洗を皐と良子は黙って眺めていた。
すると、看護師が慌てて御手洗に話し掛けた。
「・・・先生・・・消せません・・・」
御手洗は看護師の発言に驚いた。
「なに・・・新種なのか・・・」
それを聞いた皐は御手洗に質問した。
「先生・・・<しんしゅ>とは何のことです」
御手洗は言葉が詰まった。良子は看護師さんにあることを告げた。
「ねえ~看護師さん。今ちょっとイタズラするから許してね♪」
良子は持っていたタブレットに命令を打ち込むと看護師が「ひやっ」と声を上げた。
その反応に良子は看護師にこう言った。
「?なんで看護師さんが瑠美のスマートフォンをもっているのかな?不思議だな~」
看護師も言葉が詰まった。皐は看護師に近付き、看護師のポケットから瑠美のスマートフォンを取り上げた。
「患者の持ち物を奪うなんて、あんまり褒められたことじゃないな、瑠美!」
「う~ん、そうだね」
瑠美は演技を終えて、診察台から起き上がった。
御手洗は彼女の目的が自分にあることに悟った。そして不敵に笑った。
「・・・で、君たちに話すことは何もないんだけどね」
皐は御手洗の言葉に反論した。
「流石にこの状況で無理があるぞ。先生教えてくれないか?」
御手洗は再び同じことを言った。
「語ることは何もない。語る必要もない。君たちは知らなくてもよいことだ」
皐は詰め寄ろうとしたが、良子と瑠美がその場を塞ぎ、首を横に振った。
3人はここまで来て、何も収穫が得られないまま診察室を出た。
待合所で3人は今後の動きについて話し合った。
皐は当然の如く、当面の目標について語った。
「御手洗だ。アレから情報を聞き出すしかない」
良子も頷いた。
「そうね~。あの先生が今のところの一番の手掛かりだものね~」
瑠美が提案した。
「さっちゃんにお良。こうなったらとことんやるしかないよ」
2人は瑠美を見て、良子が瑠美に聞いた。
「とことんって?」
「勿論、尾行!」
良子はう~んと悩んだが、皐はそれに乗っかった。
皐はあの御手洗の開き直った態度が気に入らなかったためでもあった。
「そうだな。よし!外で張るか」
「うん、じゃあ外に隠れよー」
「ふえ~」
良子はあんまり人を付けることはしたくはなかったが、2対1での多数決で付き合うことにした。
・・・病院外 繁み 18:30
辺りは陽が落ちてすっかり暗くなり、街灯が点々と周囲を照らしていた。
3人は病院の垣根の繁みに隠れていた。すると、正面口から御手洗が出てきた。
御手洗はスーツ姿の上に研究員の白衣を身に纏っていた。座っていたからよくわからなかったが背丈も170あるぐらいで猫背な男だった。見た目がひ弱そうだった。
皐は瑠美と良子に「ついてこい」と合図し、道の角々を潜みながら尾行していった。
皐は人気のいない暗がりに御手洗が入っていくのを望んでいた。人気のないところなら話しやすいと考えていた。
皐の期待通り、御手洗は人気のない道々へ足を進めていった。そして、丁度いいと思う時点で瑠美と良子に知らせた。
「次の角で勝負をかけるぞ」
瑠美と良子は頷き、御手洗が次の角を曲がった時に勢いよく御手洗を呼び止めた。
「先生!・・・なっ」
3人が呼び止めたとき、御手洗は後ろ姿でなく3人の前を向いていた。
御手洗はその場でタバコに火を付けて、3人にこう言った。
「・・・ふう、何に付きまとわれていたかと思えば君たちか・・・。尾行が下手過ぎていささか笑ったぞ」
3人は気付かれていたことに赤面していた。それを気にせず御手洗が話続けた。
「君らには診察室で忠告したはずだぞ。何も詮索するなと・・・これは大人の仕事だからな」
そう言って御手洗はその場で一服した。
その姿に皐は憤りを覚え、御手洗に吼えた。
「・・・私たちの友達が・・・被害にあっているというのに・・・私も未知の力で蹴り飛ばされて・・・それを黙っていろと言うのか!」
今でも飛びかかりそうな皐を瑠美と良子は取り押さえていた。
その姿に御手洗は苦笑した。
「・・・っ、失礼した。なるほどね。ならば少し状況を教えてあげよう」
そう御手洗が言うと、御手洗の背後と瑠美たちの背後に見慣れた制服を着た女子生徒が10人フラフラしながら立っていた。
「なっ!」
皐は身構えて、周囲をみた。取り囲まれている。そう皐は確認した。
「あわわわ・・・」
「うわ~」
瑠美と良子も皐に体を寄せるように縮こまっていた。
あのマンションの襲撃のゾンビ染みた者が、そして1人1人皐を凌駕する程に力がある者が、今にも瑠美たちに襲い掛かってきそうだった。
御手洗はタバコを吸い終わり「ふう」と一息ついてから、スマートフォンを取り出した。
そしてあるアプリを起動させた。
御手洗のスマートフォンの画面が暗い中青白く発光していた。
御手洗は瑠美たちにこう述べた。
「君たちが調べている代物は<スマートコンプレックス>というバグアプリだ。<スマートリラックス>とは違うもの。この子達はそれをインストールして、またはされてか知らんが狂人化状態に陥った。そしてそれを悪用する輩がいるってことさ」
桜明の制服を着た10人が一斉に襲い掛かって来た。皐は身構えたが、御手洗が一人一人を皐が知らないような急所を突いて、それもまた尋常じゃない速さで桜明の生徒を制圧した。
「私は<バグアプリ>と駆逐する研究者、職員というわけさ。元々、すべてが国家機密に準するものだからね。君たちにもそれ相応の口止めが必要となる。ただの国家公務員ではない。さてもう日常には戻れないよ」
瑠美、皐、良子共、御手洗の正体に驚きを隠せなかった。
恐る恐る瑠美は御手洗に質問した。
「だっ、だとすると、御手洗さんはいい方なんですね」
御手洗は笑った。そして瑠美に語り掛けた。
「お嬢さん。私らは国家機密を内密に処理しようとしているんだ。善人ではないよ」
良子は御手洗に倒された桜明の生徒を一人一人確認していた。
「大丈夫・・・外傷はない。スヤスヤ寝ているよ」
皐は御手洗の力について質問をした。
「先生・・・貴方のその技は一体なんですか?」
御手洗は皐の問いかけに答えた。
「ああ・・・アレは私しか使えん特殊能力とでも言っておこう。さてと、君らは桜明の生徒で、桜明の生徒がこのようにして襲い掛かって来た」
御手洗が話始めたことについて、3人は立ち上がり聞いていた。
「君らが追っている事件で次に向かう所の目処が立っているのではないかな?」
瑠美は首を横にひねり考えた。良子も上を向いて考えた。皐は下を向いた。
そして3人同時に首を元に戻し、3人共顔を見合わせた。
「あー!」
3人とも声を上げた。良子が先に話し出した。
「このバグアプリは~どこからともなくダウンロードされ~自動的にインストールされる」
次いで瑠美が語り出す。
「どこからというところが特定されればそこが火元!」
最後に皐が語った。
「桜明の生徒が多数被害を被っていた。今回の共通する出所は・・・学園だ」
御手洗は3人が辿り着いた答えに満足していた。そして御手洗は3人に勧めた。
「急いだ方がいいな。私はこの通り内密で動けない。だが、被害が増えるのはやぶさかではない。私がここまで話した君たちに期待したいと思う。もう君らは巻き込まれたのだからな。決定的な証拠さえ掴めたら我々は動こう。それだけは約束しよう」
3人はコクリと頷き、桜明に向かおうとした。良子は桜明の生徒たちをどうするか瑠美と皐に相談したが、御手洗が3人に心配ないと言った。
「安心しろ。我々がこの生徒たちを全て解き放ち介抱する」
それを聞いた瑠美たちは急ぎ学園へ向かって行った。
御手洗が走り去る3人を見て頭を掻く。
「(・・・うーむ。彼女らを利用してしまったな・・・。後で榊に言われそうだ・・・)」
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