救急救命士
「バイタルチェックいそげ!! 出血が
「最寄りの提携病院は25キロほど先です!!」
同行している社員が
「担架に乗せるぞ、1、2、3!!」
動力ホイール付き
「バイタルサインは、意識レベル
負傷者のスーツに繋いだ
「輸液に
「少なすぎませんか?」
「BDが強心剤代わりになってるから、これ以上入れると危険だ」
「出られます」
「先方への連絡は?」
「受け入れヨシとのこと」
「じゃ、ゴーで」
すべては声に出して行動する。ログとして残すのも仕事のうちだ。
ヘリの後部ハッチに向け、動力担架が自走する。段差の衝撃を特殊ホイールが吸収しつつ乗り越える。
直後、ヘリの
飛び立つヘリを見送り、負傷者の同僚が列車に戻る。
バイザーARに表示されたリストに一人だけレッドマークがついている。残時間のカウントが無慈悲に進んでいく。
うんざりとした様子で隊長が
「まだギリギリでオンタイムだ。みんな乗ったな? 仕事を続けるぞ」
「前に撃たれた時は助かったけど、今回はどうですか……」
弱々しい声がヘリの中にこぼれる。
「大腿部の静脈と神経にダメージがあるけど死にはしないよ」
「仕事に復帰できますかね」
「それは医者に聞いてくれ。そこまで生かして連れて行くのが俺の仕事だ」
そもそも治療は医者の仕事。治療を受けられる場所まで連れて行くのがメディックだ。
「到着まで60秒!!」
「よし、よく頑張ったな。これで治療を受けられるぞ」
「これからが辛いんですけどね」
「それだけ軽口叩けるなら大丈夫だろ。
病院の屋上にヘリが着陸する。同時に医者と看護師が走り寄る。
これまで負傷者に行った処置は音声からAIが起こしたテキストデータでタイムテーブル一覧になっている。これはメディックの処置も、スーツの保護機能で投薬、圧迫止血されたものも含めてだ。患者のバイタル変化も同様。
これを無線データと記録メディア、プリントアウトで渡す。無線データは病院のサーバに送られカルテ化される。後から保険会社に請求が行く。メディアとプリントは現場で医者が参考にするためだ。
「はい、連絡のあった彼ですね」
「よろしくお願いします!!」
医者はプリントアウトをめくり、流し見しながら負傷者の患部を見る。
「きっちりしてるな。あそこのメディック部門は腕がいい」
処置室に向かう医者の後ろを看護師たちと動力担架が付いていく。
カツカツという足音と、モーター音が廊下に響く。
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