第299話 見知らぬ露天風呂




ウツロは任務帰り、北支部近くの、山中を歩く。






ふと辺りに、

白いモヤがかかっている事に気づく。



なんだこの白い煙

湿り気があって暖かい・・・





渓流の近くの岩山に

水溜りができてそこから白い煙が出ている。





「これは・・・『露天風呂』ですよ!」





ろて・・・なんだって?



ミラ曰く、

これは服を脱いで浸かるモノらしい。



北部の山脈のどっかには「温泉街」なるものもあるんだっけか

まぁ、山からお湯が沸く現象自体は聞いたことあるけども




いや、おかしいだろ




急に湧き出すのも変だし

しかも、岩盤にこんな都合のいい穴が開くわけがない


この破壊跡、最近できた感じだ・・・何かの罠?






はっ、もしかして・・・この間の私の魔法の練習の・・・流れ弾が?






(お前のせいかよ)


確かに同じ様な破壊跡がちらほら








$$$









ミストクラノスに近い見晴らしのいい場所・・・


広がる平野と遠くに見えるリムガントの街

時刻は夕刻で、赤と紫の混じる空・・・


さらに、ひらひらと舞い落ちる枯れ葉も、また情緒的で・・・





ミラが、頬を赤らめながら、俺の外套をちょいちょいと引っ張る。





こんなこともあろうかと・・・


着替えの『浴衣』も準備しておきました。





「・・・」





何を想定したらそうなるんだよ!

つーか、荷物の余剰には水と食料を入れとけとあれほど・・・



はぁ・・・怒っても仕方ない





「よし、入ってこいよ」





俺は覗かないようにするし

あのへんで魔獣の見張りしてるからさ





・・・





少し不機嫌そうな顔をして

しばらく考えるミラ




「いいえ、今回は、ウツロ先輩が入って下さい、私が、見張りをしますから」







「・・・ん?」




何をたくらんでる?




「たくらむなんてひどい、私は、日頃苦労を掛ける先輩をいたわりたい一心で・・・」








ふふ・・・


これはこれでアリ


湯船につかるウツロ先輩の胸板


そして、そして、あわよくば、湯船につかる瞬間、ウツロ先輩の筋肉質なお尻を見る事が・・・









「・・・声に出てんぞ(ドン引き」




ウツロはミラの頬を締め上げる。



「ぐぐ・・・しまった、つい独り言を・・・」



助平すけべえもたいがいにしろよ」



「すいません、自重しますぅ」








結局、二人とも足だけ浸かって帰ることになった。


(ミラ、体が火照ったからって、胸元のボタン緩めるのやめろ)





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