第294話 ソーシャルディスタンス
ここ最近クラスティア王国では「妙な疫病」が流行しているらしい。
王国政府方針でマスクをしてさらに
人と人との距離は1m以上あける事が推奨され
「ソーシャルディスタンス」と呼ばれている。
首都リムガント辺りでは色々大変らしいけど、
田舎のミストクラノスでやる意味あるのかと思わなくもないが
やってますアピールがしたい支部長命令で色々なルール等ができている。
ウツロは久しぶりに北支部の戸を開ける。
噂通りの物々しさである。
特にケーリーさんの完全武装っぷりがすごい。
俺を睨みつけながら
やたら俺の近くで消毒液を吹き付けている気がするが、気にしない。
個人の机も1m離されてる。
「あれ・・・俺の机は?」
顔を見合わせる支部長とケーリーさん
「ああ・・・そういえば、ウツロさんの机はスペースが足りなかったので倉庫に片づけましたね、そういえば」
「ええ」
それ、酷くない?
そりゃ、いつも外で魔獣討伐してるから
めったに使わないけど・・・
「安心しないさい、ウツロ君・・・あそこのスペースは『フリーアドレス』だから存分に使いなさい、あと報告書仕上げるだけなら、『リモートワーク』でも大丈夫だよ」
(その単語言いたいだけだろ)
結局、体よく、
つまはじきに されている気が・・・
$$$
「ウツロ先輩、こんな みんなから離れた場所 で何やってるんですか?」
ミラがこちらにやってくる。
この女、マスクをする素振りさえない・・・
まぁこいつの魔力なら
どんな病気も病原体の方が消滅しそうだが
いつも通り距離が近い。
「密だ、ソーシャルディスタンス取れ」
ミラを押しのけるが
抵抗してくる。
「私はそんな「社会風潮」気にしません」
「気にしろ」
あれ、待ってください・・・
1m距離を取らなければならないという事は・・・
むしろ接触してしまえば、ひとつの個体として認識されるって事で・・・・
・・・はっ!?
「いや、わけわからんから」
そして、いつも通りミラは離れなかった。
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