第293話【行商人編】人生に冒険を





珍しい薬草は、それはそれは高値で取引されるため

カルロは道すがら生えている草にも目を光らせる。






しかし、そんなモノはめったに生えていない。


「ここ他の行商人も通るし、そんなの摘まれている、そりゃそうだろう」


カルロはつぶやく。

(俺は最初から探す事すらしていないけど)



ならば、新規開拓だ。



「まだ見ぬ、新薬草で大儲けだよ、ウツロ」



カルロは道端に生えている葉を摘み袋に入れる。


「この葉の形・・・この間、市場で見た高級薬草に似てる・・・もしかしたら・・・」



カルロは明らかに怪しい葉を乾燥させてお湯で煮たせている。

本物ならとても美味で嗜好品でもあると聞く・・・



「こら、ウツロ何処行くの?」

カルロに首根っこを掴まれる。


「味見させる気だろ」





「本当に飲まなくていいの?」


「?」






「もしかしたら、ウツロの魔力?が上昇する効果がある「かも」ねぇ・・・」







「・・・今回だけだからな・・・」


(・・・ちょろい)





出来上がったソレはすごい色をしていた。


ぐ、これは色的に絶対不味い奴・・・





「見た目で判断しちゃだめだよ・・・もしかしたら!もしかしたら!があるかもしれない」





「人生には堅実に進める部分も必要だが、同時に冒険も必要だ」





いっせーので





ぶぶっ






あまりの不味さにカルロとウツロはそのお茶を吹き出した。




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