第288話 スキル『強奪』とステータスオープン





・・・






結論を言おう、



今俺はミラと二人でダークエルフの少年と対峙している。




エリリート隊長の立てた


綿密で完璧で抜け漏れのない作戦

ほぼ確実に成功する見込みの作戦

エルフという存在について人間族が完全に勝利する歴史的な作戦


は見事に失敗してしまう。





聞けばこいつは

世界樹のふもとエルフの里の総本山の出自らしい。


魔法について重ねてきた歴史が違う

魔法技術で正面から当たるのは分が悪かったんだろう、結果論だが





「く・・・・くくく・・・・くはっはは!!!」




禍々しい魔力を放ち

浅黒い肌のエルフの少年は高笑いが止まらない。



(聞いていた通りのイキりっぷり)


ちらりと横を見る。

ミラは冷静そうだ、というかなんか憐れむような目を向けている。




「まぁ聞け」




「お前たちが、この俺様に絶対に勝てない理由を教えてやろう!」





聞いてもいないのに自分の能力を喋り出す相手





「俺は『強奪』というスキルを持っている!」





なんでもこのダークエルフ少年は他人の魔法を

見ただけで習得して奪うことができるらしい。

さっきのエリリート隊を全滅させた魔法もそれか・・・



(何それ欲しい)




一通り説明を終えたそいつは次に値踏みするようにこちらを観察する。

目に魔力が集中しているように見える。




こっちの能力探ってる感じか

ちっ、エルフの能力便利だな








$$$









(まずは女の方・・・)





・・・





ちょ・・・・






ちょちょちょちょ・・・ちょちょちょ?





この頭の悪そうな女・・・


なんという『魔力数値』!!





しかも・・・





取得している魔法ひとつひとつの威力も高い。





これを『強奪』できれば・・・

世界樹のババア共への復讐さえ可能に・・・




『ただしすべて魔法発動がランダムになる』




・・・




冷静に二度見する。





『ランダムになる』





・・・使い辛い・・・





「あー・・・お前の能力を奪うのは・・・勘弁してやるぜ、くくく」





次は男の方だ。





こいつは・・・





「ぷ!」





「お前も勘弁してやるぜ」


ダークエルフはこちらを見ながら半笑いだ。



「ウツロ先輩!良かったですね!」



(嬉しそうな顔やめろ)





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る