第276話 『モブ厳感覚』を持つ男 その2
俺はモブ厳される直前その『未来』を見ることができる。
だが、この『モブ厳感覚』の存在を誰かに打ち明けることは少ない。
その理由・・・
一にも二にもその存在を証明できないということに尽きる。
体内を巡る魔力の人体に与える影響については未だに未知の部分が多い。
魔法は体内より放出された魔力によって事象を起こす。
だが、体内に直接影響を与える場合はその存在を観測できない。
つまりはだ。
「この魔獣ヤバイ!」
「大災害が起こる」
「モブ厳、来そう、来るよッ」
などと言っても
単に『臆病風に吹かれた心配性な人』にしか見えないという事である。
あまつさえ、その未来が突拍子だったりすると
(何言ってんだこの人)と思われるような狂人に見られかねない。
この能力を逆に利用してカッコよく立ち回れれば、
ヒーローになれるかもしれないが・・・
このモーブ=オーディナリー、能力は平均的だった。
そう・・・剣術も魔術も出来るけれど、圧倒的モブ
ならば、逃げ続けるという選択肢も当然あった。
モブ厳される瞬間逃げてしまうのだ。
誰だって大怪我したくない。
痛いのは嫌だ。
死にたくない、死ぬ思いをしたくない。
過去一度だけ逃げたことがあった。
代わりに見知らぬ誰かが犠牲になった。
・・・
立ち向かっても、逃げても、結局辛いなら・・・俺は
モーブは顔を少し上げ、魔法協会本部の廊下を進むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます