第275話 寒い日、ベットの中も寒い




アレクール=ヘルバーン(火魔女)は思い出す。





あれは魔法学校入学の前、故郷の寒村から旅立つ日の事、

村のみんな総出で見送りをしてくれた。

家族にも、しばしの別れを告げる。


良く面倒を見てくれたおばあちゃんは一番悲しんでいた。




「アレクが居なくなったら・・・家の中が、寒くなってしまうじゃない!」




・・・



この言葉の意味


私という人間は魔力を多く持って生まれ、

なおかつ、火の属性に愛されていたらしい。


私から日々発散される魔力は熱を帯びており、冬、家の中に私が居るだけで、ポカポカと暖かったそうだ。




逆に夏は・・・




やめておこう、思い出す私が辛い。







$$$







魔法協会リムガント本部女子寮



アレクは疲れてベットに潜る。


(今日も一日大変だったな・・・)




近頃は肌寒い日が続く。

周りの魔女達も寒そうに震えて暖を取っている。



私は平気だった。というか、これまでの人生で、寒さで体が冷えると感じたことがあまりない気がする。



ちょっと得意気な、良い気分になってきた。




ふふ




・・・




でもまぁ・・・

私の胸部はちょっと・・・涼しい・・・いや、寒いかも



・・・なーんて・・・




うう、言ってて悲しくなってきた。





ん?





背中に、ふかふかでポヨポヨした何かが当たっている。




「この抱き枕、あったかい~」




この声・・・


ミラ先輩!


どうしてこんなところに、というか私のベットの中に!





「いいじゃない・・・減るもんじゃなし」




・・・




減ります・・・




私の精神が、すり減りますから!!





私は抵抗したものの

その日からしばらく、

ミラ先輩は私のベットで寝るのが習慣化した。



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