第252話 魔鎚のミヅチは昂っている



薄暗い森の入口で待機が続く。





ミヅチは笑う。


(・・・強い奴の匂いが、近づいてくるな・・・)


魔鎚を担いでいる手を持ち替える。



「俺は先に行くぜ!!」



声を張り上げ、

凄い速度で駆けだしていく。


(・・・走ったトコ地面がえぐれてる)




「おい、先に行かせていいのか?」





「・・・構わない、あいつが独断専行するのはいつもの事」


というか戦闘要員の数に入れていない。



魔法協会『魔鎚のミヅチ』は有名だが、

ミヅチさんは 魔法協会を、入会しては退職し、入会しては退職し を繰り返しているので階級的にはテツィの下どころか、ウツロの下でもある「新人」という扱いだ。




「そして、だいたい負けてやられている までがセット」





私達は失敗前提で引き気味に戦闘。

一味の存在が確認出来たら、援軍呼んで時間稼ぎ。



「・・・了解」






$$$







毒針盗賊団は少人数で森を進む。





魔法協会の刺客も追跡してきていると聞く。

団長のポズンは仲間により慎重に進むように促す。




ガサガサ!!




「ポズン様!何か来ます」




魔獣?・・・



いや人間・・・か?




白い息を吐く、

魔獣と見間違えても無理はないほどの筋肉隆々の巨体




「魔法協会、『魔鎚のミヅチ』!」




「ひぃ」




「怯むな」

ポズン団長の一喝に一味は冷静さを取り戻す。




「散会しろ、奴とは俺が一対一で片づける」





・・・





「タイマン、悪くねぇ」




「今日の俺は心が昂っている・・・なぜだかわかるか?」





「?」





後輩が背伸びしようと頑張っている姿を見たからだ。




いいじゃねーか




心が奮い立つ!




ニヤリと不敵に笑う大男に

ポズンは冷や汗を流す。



「・・・来い、化け物」



ポズンは戦闘態勢を取る。



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