第236話 トウカゲちゃんの嫁探し
北支部に赴任したての頃だった。
トウカゲちゃんが休日遊びに来ていた。
お母さんに頼りなさいという事で、下宿の台所を借りて料理を作ろうとしていた。
「ナイフで手を斬りそうだから危ない」なんて言っても彼女は聞かない。
「ボクを子ども扱いしないで」
いやどう見ても子供なんだが・・・
あれ、そういえば、ずっと子供のままだけど
そのあたりはどうなっているんだろう。
そのような疑問も「魔法だから」の一言で片づけてしまっている自分が居た。
「ずっと・・・まま・・・っていえばだよ」
「?」
「ウツロちゃん、休日にご飯を作ってくれるような『いい人』はいないの」
これは・・・
ウチの息子がひとり身ボヤキ
うぐ
それは痛い部分を突かれた気がする。
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「ボクは『ケーリーちゃん』が良いと思うんだよ」
思わぬ名前が出て、料理を吹き出しそうになる。
どうして名前を知っているのか
「この間ミストクラノスで道に迷っていた所を助けてもらっちゃって」
(迷子になりかけてた?)
「あのひと・・・俺の事をすごい剣幕で睨んでくるんだが」
「わかってないなぁ、ウツロちゃん」
「?」
「それはツンデーレって奴なんだよ」
$$$
「すいません、回覧板ですが」
噂をすればケーリーさんの声がした。
ああ、寮母のお婆さんは教会へ礼拝に行ってるんだっけ
「お疲れ様です、わざわざすいません」
とりあえず、応対しに行く。
「ウツロお兄ちゃん、ウツロお兄ちゃん」
後ろからぶりっ子のような声、
ウツロお兄ちゃん?
「その人・・・だぁれ?」
「もしかして・・・『ウツロお兄ちゃんの恋人さん』なのかな、きゃあ」
トウカゲちゃんがここぞとばかりに『幼気な子供のフリ』をしている
いつもとキャラが違ぇ
「違います」
「え」
「ありえません」
ニコやかな笑みに強い否定を感じる声だった。
「・・・」
涙目のトウカゲ
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「ウツロちゃん『悪印象はいつか好印象に変換可能』ってどこかの文献に書いてあったよッ」
後日、
トウカゲちゃんのフォローは、雑だった。
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