第235話 ミステ王女はスイーツを食したい その2
魔法協会本部の
いつもは意気揚々に好きなメニューを食べれて楽しい時間だったが
今日はなんだか落ち着かない。
(王女である私の周りには、いつだって誰かが控えていたし、誰からも挨拶されて気にされていた)
それは、『クラスティア王女という仮面』があればこその事、
その仮面がなくなった状態が今だとするなら・・・
ミステリア=クラスティアという人間は・・・
王族補正が無ければ、何の魅力もない人間という事になってしまう・・
冷や汗が止まらない。
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「とっても怪しいです」
アレクとスフィーは廊下を歩きながら話をしている。
「?」
「ミステさんの事ですよ」
「事件の匂いがします、あの仮面の下に『とんでもない事実』を隠してるに違いありませんッ」
急に何を言い出すんだろう、アレクちゃん
他にも怪しい人、一杯いるじゃない?と思ったが、その言葉をごくりと飲み込む。
(そういえば、最近『みすてりー小説』なるものにハマってましたわね)
・・・
スフィーと別れたアレクは薄暗い廊下を歩く。
後ろから寒気のする視線を感じる。
心臓の音が早まる・・・
しゅーこーしゅーこーふごふご
ぎゃあああああ、
暗い廊下の陰からのぞく息遣いの荒い仮面にアレクは悲鳴をあげる。
「疑ってごめんなさい、消さないで下さいッ」
本気で泣くアレク
「?」
ミステは首をかしげる。
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休日、
リムガントの街に繰り出すアレクとスフィとミステの3人
(なぜ、クレープを食べに行く流れに・・・)
(誘われて断れなかったんです)
(それに・・・クレープを食べれば、仮面の内の素顔が見れるかも・・・ふふ)
(この間本気で泣いてたのに懲りないですわね)
・・・
ミステは、緊張しているのか、ほとんどしゃべらない
「あの・・・私なんかと一緒に来てもらって有難うございます」
「私なんて、たまにしか作戦に参加してないし、あんまり役に立ってないし・・・その・・・」
「そんなことありませんよ」
他のみんなも
以前よりも魔法の発動がずっとずっとスムーズになってるって褒めてましたよ
「炎魔法の運用が効率的で私も少し真似をしているくらいですし」
「氷魔法もとっても上手ですわ」
「・・・!?」
仮面に手を当ててうずくまるミステ
列に並ぶ時間は、嬉しさと興奮であっという間に過ぎ去り、
そして、念願のクレープ実食
クレープを食べる。
(ああ、なんておいしい)
器用に仮面をしたまま食べるが
生クリームがこぼれそうになった瞬間仮面から手が離れる。
ポロっと仮面が落ちる。
あ
ミステリア王女?
まずいまずいまずい
魔法協会の同僚に正体がバレた
もう私は・・・ここに居られなくなる・・・
「・・・にそっくりですね!」
「・・・」
「まさか、ミステリア王女様が魔法協会の魔女として働いているわけないじゃないですか」
「そうですわ、仮にも一国の王女ですし、そんな場所に護衛も付けずに来ているなんて、王女としての自覚のなさを疑いますわ」
あはは・・・
常識外れを再認識するとともに
自分の息抜きに対して、少し後ろめたいミステだった。
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