第230話【星屑祀編】星を見ながら将来について語り合いましょう
『その日を生き抜くこと』
それ以上の目的なんてない。
近頃は
目的意識ってものが、
どんどん希薄になっていくのがわかる。
自分が何を目指していたのか分からない。
昔の俺が何を考えていたかなんて
正直もう忘れた、
紆余曲折を経て、ここに居る。
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星屑が夜空に白い線を引く。
引かれた線の周りが七色に光って、
うねりをもってカーテンのような模様を描く。
雲と星と星屑と山々と
その夜空に描かれたその芸術作品に
俺とミラはため息をつくばかりだった。
「・・・」
馬鹿にしてて、申し訳ない気分だ。
「ウツロ先輩・・・」
こっちを振り向くミラ
星を映すミラの瞳もキラキラ輝いている。
なんだか急に鼓動が高鳴るのを感じた。
「ああ、すごいな」
「ええ・・・新しい魔法を・・・思いつきそうなぐらいです!」
(え、いきなり?、どゆこと?、魔法ってそんな料理のレシピみたいに思いつく物なのか)
「今ここで試し撃ちを・・・」
「や め ろ」
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「まったく、ミラは天才だな」
今までたくさんの魔女や魔法使いを見てきたが、
この子ほど多彩で攻撃力に特化した魔法はあまり見たことがない。
皮肉ではなく、正直な感想だ。
「・・・」
ミラは褒められたことに気づいて
かーっと赤くなる。
「ぜ・・・全部ウツロ先輩のおかげです」
最近になってからです・・・
新しい魔法を思いついて、既存の魔法だって、鋭くなっていくのがわかる・・・
それも全部・・・ウツロ先輩と出会ってから・・・
「・・・」
俺は何もしていない。
これだけははっきりと言える気がした。
「ウツロ先輩と一緒なら・・・きっと、どこまでも行ける・・・そんな気がする」
ウツロは黙って聞く。
ミラの目はどこまでも澄んでキレイだ。
反面、自分の何かが曇る。
「そしてゆくゆくは・・・ウツロ先輩と私が、『ふたりで魔法協会の七賢人』になることが私の目標です」
「・・・え」
いや・・・それは無理じゃね?
そんな子供の絵本みたいなノリで言われても
俺の顔を察したのか、
必死に弁明するミラ
「いえ、アクアローナ様も、「それ、いける」って言ってましたし」
(そりゃ、無理とは言わんだろうけど)
こう言っちゃあなんだが、あの人、ああ見えて、すごい方なんだぞ
「ふ」
まぁ、ミラなら・・・いけるかもな
ウツロはミラの頭をぽんぽんと叩く。
「く・・・馬鹿にされたような・・・気がします」
えーい、こうです
今更ながら、
ミラの胸ががっつり当たっているのが、
いたたいまれなかった。
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