第220話【エレノールさん編】悪夢と遅刻と余り物



解雇通知




目をこすってもう一度見る。


ウツロは『それ』を突きつけられる。

「いや、そんなまさか」


冷や汗が止まらない。




北支部長が残念そうに首をひねる。

「いやぁ、残念だよ。君の様な 優秀な人材 を解雇せねばならないなんて、うう」

涙をぬぐう、フリをする。


おい、昨日会ったばかりで優秀とかわかんないだろうに



「貴殿のますますの発展を・・・お祈り申し上げます」


人を射殺すような目

そして、ニヤつく経理の女の子ケーリー



皆、遠巻きに

ウツロを可哀想な目で見るばかり・・・




こんな・・・

こんなことって・・・




・・・




目が醒める。

夢だったか・・・

なんという悪夢・・・




井戸で顔を洗う。





ん・・・

時間・・・

ヤバい遅刻だ。






$$$







ウツロは北支部にこっそりと入る。

まだ、目が醒め切っておらず、意識が朦朧としていた。



「すいません、遅刻しました」



北支部長と数人

魔女や剣士は出払っているのか、

ガランとしている。



「はは、かまわないよ、部隊に配属していないうちは問題ない」

北支部長はおおらかだ。



ケーリー「重役出勤なんて・・・大した御身分ですね」



ぼそぼそと小さな声で嫌味を言う、女の子

ぷいと別の方向を向いて作業に戻る。



昨日に引き続き

書類の作成を続ける。

すごく居心地が悪い。





$$$






魔法協会本部、

エレナは仕事内容の資料に目を通していく。



私の仕事は、

ウツロ=ハイイロさんに仕事を与えてサポートすること・・・と



あれ、ひとり・・・?



通常、魔法協会は数人で部隊を構成して動く。

なぜ、この人はソロ部隊なのだろう・・・




「ああ・・・ええっと・・・それは」




「この間の【魔法協会部隊編成会議】で・・・余った人らしいよ」




余った?

どういうことだ。

今は人員不足でどの部隊も引っ張りだこのはずなのに



(察するに・・・『相当癖のある人物』なんだろうか)



エレナは魔法協会の色々な前例を思い返しながら、

魔法の書のメッセージを送ることをためらった。


『はぁ、てめえの命令なんて聞いてられっかよ、ああん?』

とか言われたらどうしよう・・・


少しビビっていた。




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