第217話【エレノールさん編】絶槍エレナは休業中
魔法の書でウツロに仕事を依頼してサポートしてくれるエレノールさん
彼女はウツロにとって謎多き人だった。
未だに顔を合わせたことがない。
声も聞いたことがない。
魔法の書のメッセージのやり取りしかしていない。
可能性だけ言えば、架空の人物であってもおかしくはない。
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銀髪のメデューサ・・・
魔法協会が、近年最も手を焼いた魔獣だった。
壮絶な戦いののち、奴を仕留めたのは、絶槍エレナの部隊だった。
「・・・!」
エレナは目を開ける。
「エレナさん、目を覚ましたのですね、良かった本当に良かった」
涙を流す隊員。
生きてる・・・
「他の隊員も軽症で済んでいます・・・全部エレナさんのおかげです」
他のみんなも・・・
ベットから立ち上がろうと手を付く。
ガタガタッ
足に力が入らず、ベットから転げ落ちる。
「エレナさんっ」
私の足は・・・
メデューサの最期の呪いで石の様に固く動かなくなっていた・・・
色々な魔法薬を試したが、
今現在の技術では、治る見込みはないらしい。
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私は車いすに腰かける。
段々慣れてきたな、車いす
今日は、
アクアローナ様が見舞いに来ていた。
「エレナ、大丈夫ですか?」
「ええ」
「メルビアも、こっちへ来なさい」
気丈に振舞っているようで、
目の下が赤く腫れているメルビア姉さん・・・
エレナ「ほら・・・私はまだ生きてますし、そんなに心配しなくても」
メルビ「それは、そうだが・・・そうだが・・・ううう・・・」
我慢していてもポロポロと涙がこぼれる。
アクア「そういえば、エレナ、車いすに装着した『魔力ブースト』は試してみましたか?」
エレナ「え・・・ええ、まぁ」
(・・・使うわけないじゃないですか、間違って押すと危ないから外して欲しいですが・・・言い辛い)
「・・・そうそう、そういえば今日は・・・退屈しているだろうと思って、あなたに仕事を依頼しに来たのです」
仕事?
長い長い魔法協会本部の廊下を抜けて、
綺麗な居室にやってきた。
魔獣討伐情報サポート部・・・
最近、考案された部署で『魔法の書』の情報のやり取りを最大限生かしつつ、
魔獣討伐の業務の効率化を図る部署だそうだ。
いままで、大きな部隊を主体に動かしてきたが、
これからは小さな部隊も活躍させて、
よりクラスティア王国の治安を向上させる実地試験をおこなっているらしい。
えーっと私が最初にサポートするのは・・・
ウツロ=ハイイロ君
ハイイロ?
どこかで聞いた名字だな・・・
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