第216話 大都会リムガント 書庫通り



辺境少女再び

※138話続き




辺境の村出身の少女

エマ=ワトソンは魔法学校の入学試験を受けて無事合格した。

郊外の寮に引っ越しを済ませ、

今日は、授業で使う教科書を買いにリムガントを訪れていた。


相変わらず迷路のような都市に戸惑うエマ




途方に暮れていると

見知った人物が通りかかる。




「・・・ウツロさん!」




(お、この間の辺境少女)


「ようやく、出所できたんですね、おめでとうございます」


「・・・・あのあと、すぐに解放されたぞ、一応」





$$$






エマの目的地の『書庫通り』に到着する。

入口に偽装魔法が展開されており、壁をすり抜けないと到着できない。

何でも、魔女迫害時代の名残だそうだ。

ガイドブックにも載っていて、観光客にもウケがいいらしい。



「ウツロさんはどうしてここに?」

「ああ、人と待ち合わせをな・・・あいつ、何処ほっつき歩いてるんだか」




「・・・」




書庫通りは人で ごった返していた。

色々な人が歩く。



女の人は化粧をしている人も多い。

辺境ではあまり見られない光景だ。

自分は地味かな?という気分になってきた。




・・・!




(・・・なんて綺麗な人)

エマは通りかかったひとりの女性を見て、ため息をつく。


(すごい美人でスタイルもいい、女の私でもなんだかドキドキする)


紺色のローブ、魔法協会員の魔女だ・・・

これはウツロさんが話しかけれないレベル・・・





ミラ「あ、ウツロ先輩~」





気づいてこちらに駆け寄ってくる『例の美人』

あわわ・・・こっち来た!?



「探したぞ」

「すいません、久々で迷っちゃって」




え?・・・まさか知り合い・・・




ミラは、ウツロと一緒にいるエマに気づく。



ミラ「ウツロ先輩・・・その人・・・やっぱり少女趣味ロリコンだったんですね」


おい、やめろ、また変な噂が立つだろうが






$$$






ウツロさんとミラさんは

魔法協会の同じ支部所属で一緒に仕事をしているらしい。


エマは考える。



それにしても・・・



(ふたりの距離が近い)



ミラさんぐいぐい行くし、

ウツロさんもなんだか慣れてるみたいだし




エマ「もしかして・・・おふたりは・・・お付き合い・・・してるんですか?」

顔の奥がなんだか熱い。いきなりストレートすぎたかな?





ウツロ「・・・そんなことはないが」





「・・・」

「・・・」




・・・しばしの沈黙、





ウツロ(おい、ミラ、『ほんと こいつ空気読めねぇなぁ』みたいな顔やめろ)




ミラ「ウツロ先輩ひどいです・・・昨晩はあんなに激しく求めてきたのに///」




「激しく・・・求め」

エマの顔が真っ赤に染まって湯気が立ち上る。

そ・・・そそそそれってどういうこと

ふたりとも精神年齢は幼く見えても、やっぱり『大人』なんだ




エマ「大人ですもの、当然ですよね」




ミラ「・・・」

大人なら当然・・・だと!?




「どうしましょう、どうしましょう、ウツロ先輩、大人なら当然って・・・うう」

涙目で、こっそりウツロに耳打ちするミラ


ウツロ「子供 からかって、カウンター喰らって 狼狽うろたえるなよ」






$$$






エマは本来の目的を思い出す。

書庫通りに魔法学校の教科書を買いに来ていたのだった。




エマ「ウツロさんは卒業生だから、店の場所を知ってますよね」




ウツロ「いや、わからん、そもそも俺は魔法学校卒じゃないしな」

え、そうなんですね




ウツロ「ミラは確か」




振り返るとミラは地面にうずくまっていた。

(魔法学校・・・『れでぃーす』・・・やんちゃしてた黒歴史・・・ふふ)


(ミラは過去の話すると たまに こうなるな、深くは聞く気ないけど)




「でも、ウツロ先輩は『そんな私でも愛してる』って言ってくれたから、大丈夫」

ミラは気を取り直す。



(そんなこと言ったっけ?)




(ほんと仲がいいな)

エマはふたりの微笑ましい様子にため息をつく。




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