第16話 ミラージュ=イエール その2
「ミラージュ=イエールと申しまーす☆」
朝から元気に飛び跳ねる彼女
ああ、頭に響くからやめて・・・
それにしても、
跳ねるたびに彼女の豊満な胸が揺れて、短すぎるスカートがヒラヒラして目に毒だな。
ウツロ「・・・」
ミラ「・・・」
ミラ「もしかして、ウツロン先輩は
ウツロ「・・・は・・・そんなことは断じてない・・・」
ミラ(・・・なら・・・どうしてそんなに焦って目を反らすんだろう?)
ああ、この子は扱いづらいな
というかどうして採用したんだろう、人事部は何をしているんだ。
エレノールさんの情報ではこの子には『卓越した魔術の才能があり、魔法協会の常識を覆す人材』とのことだけど
【今回の依頼 街の近くに住み着いた盗賊コボルト 8匹】
うわ・・・重い仕事・・・
コボルトは2本脚で歩く狼である。
奴らは単体ならば雑魚であるが集団で囲まれるとヤバい。
ウツロ「俺の下につくからは・・・俺の指示に従ってもらう」
ミラ「サーイエッサー」
びしっと敬礼するミラ
声が大きい・・・
$$$
あそこにコボルトのアジトがあるらしい。
こうやって遠くから石を投げて、油断して出てきた奴を一匹ずつ仕留める。複数出てきたら逃げる。
草むらに隠れて説明する。
屈んだ彼女の胸元が強調されて目に毒だ。
ミラは汚いものを見る目でウツロを見る。
ミラ「なんかストーカーっぽくて陰湿ですね。はっ・・・まさか普段も女の子に・・・」
ウツロ「・・・しねぇよ」
10分後、1匹出てきた。
やりすぎると大勢出てきてしまうからな、1匹出るくらいの音を立てるのが大切。
自分の方から身を乗り出すミラの胸が当たっているような気がするが気にしない。
ウツロ「よし、俺が手本見せるから、待機しとけ」
ミラは黙って敬礼する。
ちゃんと言うこと聞いてくれるあたり普通にいい子じゃないか、どうして北支部の面々はあそこまで手を焼いたんだろう?
ウツロの物陰からの風切りがコボルトをかすめる。
ウツロ「ちっ・・・外した」
コボルトがウツロに襲い掛かる。
はん、この程度、余裕、だったのだが・・・ミラにはピンチに見えたようで・・・
ミラ「先輩!!」
ミラが魔法を発動する。ミラの頭の上にゲームセンターのスロットマシンが現れる。
スロットマシンのリールの目が止まり魔法が発動する。
『雷』の目
轟音と共に白いイカズチがコボルトに襲い掛かる。コボルトは真っ黒に焦げて灰になってしまった。
ウツロ(なんて・・・魔法出力・・・)
【
ミラージュ=イエールの特殊魔法、魔法使いというのは一般的に得意、不得意な属性があるのが普通だが、
彼女の場合、すべての属性について高位の魔術を使うことができる。
ただし、スロットでその目が出た時しか使えず、キャンセルもできない。
ああ、そんな大きな音を出したら・・・
案の定、血相欠いて、コボルト7匹が飛び出してきた。
7匹か・・・逃げよう。
ウツロ「ミラ、ここから逃げるぞ。あと1回魔法をぶっ放せ!!」
ミラ「りょーかい!」
ミラは嬉しそうに魔法を発動する。
スロットが止まる。
『闇』の目
ミラの顔が青くなる。
ミラ「先輩・・・ヤバいです・・・逃げて」
ウツロ「ん?今なんて言った?」
黒い炎を纏った物体が高く舞い上がって落ちてくる。コボルトの集団の真ん中に着地する。
ミラだった。メラメラと燃える黒い炎の中心にいる彼女はうっすら笑っていた。
ウツロ(馬鹿、あいつ、群れの真ん中に・・・)
一匹のコボルトが背後から彼女に襲い掛かるが、裏拳を顔面に食らってはじけ飛んでしまう。
ウツロ「・・・素手?」
次々襲い掛かるコボルトを彼女は拳と蹴りでけちらしていく。5分もかからず、コボルトは全滅した。
ウツロ「うお・・・すごいな・・・流石、魔法協会の常識を覆す人材」
ミラの炎は消えていない。じーっとこちらを見ている。
次の瞬間彼女の拳が顔面に来るのが見えた。ウツロはなんとか剣でガードした。
数mふっ飛ばされた。ウツロの剣は針金のようにぐにゃっと曲がっていた。
ウツロ(まさか・・・)
ウツロも彼女の標的のようだった・・・
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