第10話 ウツロの風切り活用法



風切り




『風切り』は剣から斬撃を飛ばす初歩魔法である。

初歩というのは原始的という意味であり、その魔法の扱いはひどく難しい。



風切りは長い釣り竿を振るイメージに近く、剣から魔法を飛ばして、しなりでブンと音が鳴る一瞬のみ鋭い切れ味が発生する。逆に言うと、その部分以外に切れ味がないので間合いを読み間違えると全く効果のない優しい攻撃になってしまう。


その点以外は『圧倒的に魔力消費が少なく、即時発動でき、遠距離攻撃で、それなりに威力も高い攻撃魔法』であり、使い勝手が良いと言える。


通常威力の風切り1回で1の魔力を消耗する。よって、魔力5のウツロが放つことができる風切りの回数は5回だ。しかし、ウツロは極力力を抜くことで、0.5刻みで風切りを放つことができ、10回の風切りを放つことが可能となる。(0.5の風切りの威力は半分程度に落ちる。)現在は0.2刻みにチャレンジ中である。



先の巨大スライムの戦闘で見せた変則技 鳥串 などはウツロのオリジナル技であり、これもいかに消費魔力を少なく戦闘するかをつき詰めた結果であった。

(ちなみに 鳥串 はよく通っている居酒屋の看板メニューの名前から命名)



剣の師匠「なんだかその努力はとても後ろ向きですな」

ウツロ「・・・」



そこには味噌を節約した味噌汁のような切なさがあった・・・

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