5
「ふう……」
全ての仕事をやり遂げた僕は、PCの前に座ったまま大きく溜息をついた。
後は、
彼女が本当に、先に進みたいと考えているならば、きっと上手くいく。
僕は適当に別れの挨拶を済ませると、ログアウト処理を実行した。
それから右手をマウスへと持ち替え、思い出の詰まったフォルダを開く。
今日撮ったこれらの画像は、葉漆の元へと転送しなければならない。
いや、正確にはレーゲンの元へ、だ。
僕は葉漆のメールアドレスを知らないし、万が一知っていたところで、そんなことをしたら僕がリッカだということが明るみに出てしまう。
だから転送先はレーゲンのアカウント。
そして転送元はリッカのアカウントだ。
このゲームではリアルでのトラブルを避けるためか、プレイヤー同士でやりとりのできるメールアドレスが各自に割り当てられている。
僕はそれを使って、彼女の元にナギの画像や記念撮影を送付しようというのだ。
実際にメールを送る前に、一応画像をチェックする。
下着姿で僕の部屋のベッドに寝転がるナギ。
うん、非常に可愛い。
エンターキーを押下すると、次へ次へと画像が切り替わっていく。
龍船の上で撮ったスクリーンショット。
そして、最後の一枚はフリズスキャールヴ最上層のものだ。
遥か彼方の大都市をバックに、人間族の
「ふふ」
思わず、口元から笑みが零れ出す。
これは、ゲームだから。
このゲームでは、さすがにそこまでのシステムは実装されていないけれど。
そこに写った二人は、とてもいい表情をしているように、僕には思えてならなかった。
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