第4話 ありがとう。

「先輩、リストカットしてますよ、ね?」

私は固まった

長袖の時期ではあった。

なぜ気付いたのか。

わからなかった。


理由は、傷を見たわけではなく

私がいつもカッターを持っているからだと。

その日に限って私は、

昨日の血を少し拭き取り忘れていた。


言い逃れできない。

そう思った私はすべてを語った。

その後輩は飽きずに話を聞いてくれた。

見下しもしなかった。

そのいやすい環境があること

それがうれしかった。




今は部活を引退したが、

いまだに昼休みに一緒にいてもらっている。

ほかの後輩たちも一緒に。

夏服の時期もしてしまっているから、みんな気付いている。

でも、責めてくる後輩はいない。

注意はしてくれるけど、怒るわけでもない。


後輩たちに感謝

すべての人に感謝


ありがとう。

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構ってほしいわけじゃない 露草 @chisato_hiyoko

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