第25話 四つ目の星
ㅤ次に行った星は、これまで見た中でも大変大きな星だった。色はこの前行った星と似ているけど。
ㅤ降り立って、近くで地面を見ると、大きく二つに分かれていることに気づいた。どちらとも黄みがかっているけど、片方は
ㅤ触れてみると金はツルツルしてて、軽く叩くとカチカチと音が鳴る。岩はゴツゴツしてるけど滑らかさもある。
ㅤそこで出会った人にもまた、個性があった。
「ようこそおいでくださいました、この星は初めてですかな」
ㅤタキシードと蝶ネクタイを黒で合わせ、髪型もピシッと七三で分けた紳士的で彫りの深い男性に声をかけられた。
「ア、ハイ、初めてです」
「どのようなご用件で来られたのでしょう。ご旅行ですか、お仕事ですか」
「えっと、そのどちらでもないというか、人を探してまして」
「ヒト」
「ワタシの星まで手紙を出してくれてた人なんですけど、この星では異文化交流についてはどうなんですか」
「もちろん、この星は貿易において貴重な資源がございますので、
「そ、そうですか」
ㅤとても丁寧に対応してくれているけど、何か星の人がいるのはこういうとこではなさそうだなと、例の勘が早くも働いた。
「では、ちょっと来て早々で大変失礼ですが、お
「え、なぜですか。お友達を探さないでよろしいのですか」
「ああ、たぶん、この星にいるような、カッコいい紳士的な方とはまた少し違うと思いますので」
「……では、お土産に金を買っていかれるのはいかがでしょう」
「金?」
「我が星の名物なので、何グラムでもお売りいたします」
「いやぁワタシ、あんまりお金がないもので、すみません」
ㅤそう軽く会釈して、自分の宇宙船の方へ振り向いたら、後ろから、
「何だとこの野郎!」
と、突然大きな声がしたので、振り返ると先ほどの紳士的な男性が笑顔で立っていた。
ㅤ何だかよくわからないけど、聞き間違いかなと思って、また前を向いて歩みを進めようとすると、
「この貧乏人め!」
と、はっきり聞こえた。なのに振り返ると、そんな怒声を浴びせるような表情の人はいなかった。
ㅤとってもおかしいので、今度はその声がした瞬間に振り返ってみようと、ダルマさんが転んだの要領で歩こうと、考えてやってみる。
ㅤダ、ル、マ、さ、ん、が、こ、ろ、ん、だ!
「お前みたいなやつには、金よりも、岩を投げつけてやれ!」
ㅤはっきりそう言われたタイミングに振り返ると、やはり同じ男性しかいなかった。しかし、よく見てみると笑いながらも目は充血しているし、手は拳を固めて震えている。
ㅤものすごく怖い。しばらくその姿に圧倒されていると、目尻を下げて、口をはっきり開けてしゃべった。
「おとといきやがれ!」
ㅤそこからはもう、全力で走って逃げた。自分の方がダルマさんが転んだで、タッチして逃げる側になっていた。
ㅤ結局、星の人への手がかりは何もないまま、四つの星を渡り歩いた。
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