第23話 二つ目の星
ㅤ一つ目の星をあとにして、早速二つ目の星に来た。外から見ると、うまく言えないけど、うぐいす色の星。
ㅤ着陸すると、そこに不思議な光景が広がっていた。
「みんな寝てる……?」
ㅤ様子が変なので、念のため簡易宇宙服で、その人たちに近づいてみることにした。
すると、一番近くにいた男性と目が合った。
「ごきげんよう」
「ご、ごきげんよう?」
ㅤ彼はやたら身なりの良さそうな、金色の服をまとっているが、寝ている。地面に横たわっている。ワタシが目の前にいても起き上がる素ぶりがない。
「あのぉ、すみません」
「ちょっと君。失礼じゃないか。横から話しかけるなんて」
ㅤええ。横向いてるのは貴方なんですけど。どうしてワタシが横を向いてることに。しかし、その男性は横たわることをやめない。仕方ないので、ワタシは首を傾げながら話すことにした。
「す、すみませんでした。あの、わたくし、人を探しておりまして。星の人とおっしゃる方なんですけど」
「何、星の人? ㅤそれはおいどんのことではないか。星を束ねる、全ての神。おいどんに始まり、おいどんに終わる。星の神とは、おいどんのことではないか」
ㅤな、なんだ、この人……。たぶん、この人じゃないよ、絶対この人じゃないよ。
「おいどん、すなわちおいどん。この星に住むものは、皆がおいどんであり、おいどんという名の神なのだ」
「エ、あ、はい」
「神より上はいない。上がいなけりゃ下はない。おいどんはそうやって暮らしている」
ㅤとにかく、この人が星の人ではないことが分かった。首が痛くなってきた。
ㅤしかし、何だか面白い星だ。周りの人たち皆横たわってて、何だか偉そうなのかダルそうなのかわからないけど、この星では全ての人が平等に偉いんだろうか。
ㅤそんなことありえるのかなって思うけど、全員が全員自信満々な人であふれてるのも悪くない。平和そうだ。
「ここ、いい星ですね」
ㅤそう呟いたら、
「無礼者!」
と、怒られた。そんなこと当たり前だからだろうか。また勢い任せに「ごめんなさい」と謝罪したら、
「横から話しかけるなんて失礼だ」
ともう一度言われた。なるほど、ワタシが正面を向いていようが、この人たちにとって正面が横なら、ワタシは横向きなのだ。それが「星に入っては星に従え」というやつか。
ㅤ学ぶことはできたけど、ここに星の人はいなさそうだ。星の人は自分たちのこと「おいどん」という言い方はしないから。
ㅤ最後に、ワタシも横になってみた。そしたら先ほどの男性に、
「すごく姿勢が良いな」
と、笑顔で褒められた。
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